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## 第3章:土の壁

朝が来た。


遥人は、壁の隙間から差し込む光に目を細めた。夜の恐怖は、まだ体に残っていた。あの緑色の“何か”は、夜が明けるとともに消えていた。まるで、太陽の光に溶けるように。


彼はゆっくりと立ち上がり、外に出た。空は再び青く、雲は四角く浮かんでいる。だが、昨日とは違う。この世界が“安全ではない”ことを、彼は知ってしまった。


「壁が……壊されかけてる」


木材で作った簡易な囲いは、いくつかのブロックが欠けていた。夜の間に攻撃されたのだ。遥人はその痕跡を見つめながら、考えた。木では弱い。もっと“硬い”ものが必要だ。


彼は地面に目を向けた。草の下には、茶色いブロックが広がっている。土だ。拳で叩いてみると、木よりも柔らかく、すぐに壊れた。だが、量は豊富だ。どこにでもある。


「とりあえず、これで囲ってみるか」


遥人は、土を掘り始めた。拳で叩き、ブロックを拾う。何度も繰り返すうちに、彼の“持ち物”は土で満たされていった。


彼は、木の囲いの外側に土を積み始めた。高さは2ブロック。自分の背より少し高い。これなら、あの“緑の奴”も簡単には入ってこられないはずだ。


「……これが、壁か」


積み上げた土の壁を見て、遥人は小さく息を吐いた。不格好で、隙間もある。だが、昨日よりは“守られている”気がした。


彼は、壁の内側に小さな空間を作った。作業台を置き、木材を並べる。棒を作り、ツルハシを作る。昨日よりも手際が良くなっている。体が、この世界の“ルール”に慣れてきている。


「次は……石だな」


遥人は、壁の外に目を向けた。遠くに、灰色の岩肌が見える。あそこまで行けば、石が手に入るかもしれない。だが、夜が来る前に戻ってこなければならない。


彼は、壁の内側に“目印”として松明のようなものを作ろうと考えた。だが、火の起こし方が分からない。石炭もない。光がない。


「……まだ、知らないことだらけだ」


遥人は、土の壁に手を当てた。冷たく、ざらついている。だが、それが今の彼を守ってくれている。


この世界には、敵がいる。夜が来る。守らなければならない。


遥人は、初めて“拠点”という言葉を思い浮かべた。


それは、生き延びるための場所。自分だけの場所。


そして、彼はその場所を、少しずつ“形”にしていこうと決めた。


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