表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

燃え尽きた村

 白い灰が風に舞っている。燃え尽きた木の残骸が所々に散っている。

 恐らく村の入口だったであろう場所。そこにシーバスはいた。

 

 (とてつもなく大きな力を感じて来てみれば、酷い有様ですね。)

 

 村の生き残りが一人でもいれば。

 そう思って辺りを見回してみるが、目に映るのは、かろうじて人間だと分かる程度の骨だけ。

 

 大きな戦いがあった。というよりも、何か大きな衝撃や爆発があった様に見える。

 たった一撃でこの村が崩壊したような……。

 その証拠に、血生臭さや、焦げ臭さを感じない。

 戦いがあったとしても、それらを消し去るほどに強力な何かがあった、と考えるのが妥当だ。

 

 (こんな田舎の村で、これほどの力。非常に興味深い。)

 

 村の中心へと向かっていく。


 (おや?あれは?)


 発見したのは、一人の少年だった。

 年齢は十五歳程度。ボロボロの服に傷だらけの体。意識は完全に失われているようだ。

 

 (まだ呼吸はある。だがこのままだと……)

 

 シーバスは少年に手を触れた。

 その瞬間だった。

 少年はその手を強く掴むと、鋭い目つきで睨みつけた。

 

 「俺に触れるな。」

 

 ドスの効いた声から放たれる冷たい言葉。

 今にも死にそうに見えた少年からの完全な拒絶。


 だが、シーバスは驚くどころかまるでダイヤの原石を見つけたかの様に目を輝かせていた。

 

 「失礼しました。助けが必要かと思いましたので。」

 

 両手を挙げ、戦闘の意志がないことを示すシーバス。

 少年は「ふんっ」と目を逸らすと、立ち上がった。

 先ほどまでの状況が嘘のように、見る見るうちに傷が癒えていく。

 

 まさに圧倒的な自己治癒能力。

 他にもこういった類の能力者はいるが、このスピードでの回復は、そうそう見ることはできない。

 それにこの村の惨状を考えれば、この少年にはまだ何かがある。

 

 ここで終わらせるのは勿体無い。

 

 シーバスは道を塞ぐように、少年の前に立った。

 

 「邪魔だ。どけ。」

 「よければお名前を伺っても?私、弟子を探していまして。」

 「どかないなら、死ね。」

 

 少年は躊躇なく拳を繰り出した。

 シーバスはそれを立った一本の指で受け止めると、そのまま弾き飛ばした。

 

 数メートル先で地面に傷をつけながらも、受け身を取る少年。

 その姿に、シーバスの興味が深くなっていく。

 

 (かなり強めに弾いたつもりでしたが……ふむふむ。運動能力も悪くない。じゃあ次は何を見せてくれる?)

 

 少年は唇を強く噛み「ぶっ殺してやる。」と呟くと、その能力を発動した。

  

『ボックス解放”リジェネレイション”』

 

 ボキッ、ボキボキボキッ 

 右腕を砕き、伸ばし、再生する――それを数瞬で十数回繰り返した。

 関節の数は倍に増え、骨が異常な角度で接続され、肉と筋はそれに追従する。

 最終的に出来上がったのは、鞭のようにしなる、まるで別の生物のような異形の腕だった。

 

 「デタラメな能力ですね。細胞レベルの分解と再生。果たして分解に限界はあるのか?再生には回数制限があるのか?色々と教えていただけるとありがたいのですが。」

 「答えは『知らねえ』だ!」

 

 両腕を垂らしたまま、地面を抉るようにずるりと歩を進める。

 爪先が土を削り、禍々しい音が響いた。


 一歩、また一歩――そのままの勢いで、ずしんと腕を持ち上げる。

 次の瞬間、真横からシーバスのこめかみ目掛けて、風を裂くように振り抜いた。

 

 「ボックス解放”ヴォイド”。」


 空気が悲鳴を上げる。地鳴りのような一撃だった。

 

 「……そっちの方がデタラメだろ。」

 「ふふふ。大したことはありませんよ。」

 

 少年の腕は肩から切り落とされていた。体は自由に動かない。まるで透明な箱にピッタリと詰められた様だった。

 それは少しずつ少年の首を圧迫し、強制的に意識を奪っていく。

 

 「完全に世界と断絶される壁を作り出し、その中に超空洞を作る。再生に必要な情報・物質の流れすら断絶されるこの空間内では、どんな能力も”無効”にする。まあ簡単に言えば、何も出来ないということです。」

 「くそっ……息が……」

 「あなたのことは十分に分かりました。先ほどの質問の答えを伺っても?」

 「だから言ってんだろ……知らねえ……よ……」


 少年は再び気を失った。 

 シーバスは能力を解く。

 

 先ほどまでが嘘のように穏やかな顔で眠る少年。

 

 (あれほどの攻撃性。元々のものなのか。それとも……少し探ってみますか。)


 シーバスは少年の手を握ると、目を閉じた。

 

 そして少年の深層心理、記憶の部分へと潜り込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ