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9. 毒壁と羽斬りの間

魔石を取り込み、罠の間を抜けた俺は、再び第2層の奥へと足を――いや、粘液を――滑らせていた。


(魔石……進化素材。どう使うかはまだわからないが、間違いなく重要なモノだ)


【ステータス】


名前:なし

種族:スライム

Lv:2

経験値:11/75

HP:15/15

MP:5/5

スキル:捕食Lv2、粘着質操作、腐食属性(小)、耐毒(初級)

所持アイテム:微細魔石(Cランク)


あと64EXP。

だが、手応えはある。

第2層には、“強くて喰い応えのある敵”が確かにいる。


だからこそ、気を抜けば即死する。



先に進むと、通路が狭くなり始めた。

そして途中で二手に分かれていた。


一方は、苔と湿気の匂いが強い。

もう一方は、乾いていて風の通りが良い。


(罠があるのは……湿った方だな)


俺は湿気の方を選んだ。理由は逆説的だ。

罠がある=敵が少ない=生き延びられる可能性が高い。


獲物が多い道は、それだけ“先客”がいる。

今の俺のHPとMPでは、大群を相手にしたらひとたまりもない。



進んでいくと、異変が起きた。

空気に“ぬめり”がある。

さっきまでとは別種の“毒”の気配――いや、これは……粘液?


(……毒粘液か)


確認する間もなく、次の角を曲がった瞬間――壁全体から“緑色の粘液”が噴き出した!


ズブッ!


すかさず後退し、跳ねて回避。


【被毒:0(無接触)】


毒ではなく、攻撃を目的とした“液体罠”。

触れた瞬間に焼かれ、内部から分解されるタイプだ。


粘液の分布は壁の溝に沿って構築されており、一定時間ごとに放出されるパターンがある。


(読める……なら、通れる)


俺は放出のタイミングに合わせて粘液を一気に“縮小”させ、床を這うように前進。

落ちる液体の合間をすり抜け、わずか5秒で通過した。



だが――それで終わりではなかった。


次の部屋は、広く、そして高い。


空気の密度が薄い。これは、上空に“空間”がある証拠。

天井を仰ぐと、そこには――


(……飛んでる)


コウモリのような翼を持った魔物が数匹、逆さにぶら下がっていた。

体長50cm。鋭い爪。尾にナイフのような“羽”が突き刺さっている。


【種族:羽斬魔うざんま

【Lv4】

【状態:休眠→覚醒】


(しまった……!)


踏み入った瞬間、床が“カツン”と音を立てた。


ギャアアアアアアア!


一斉に羽斬魔たちが飛び立ち、尾の刃を空中から投げつけてくる!


ヒュンッ!


ヒュンッ!


シュバァン!!


3本の刃が俺の周囲に突き刺さる。地面が削れ、石が砕けた。


(やばい……空中戦は苦手!)


俺は空を飛べない。攻撃手段も接触型が主。

魔弾のような遠距離スキルは、まだ使えない。


どうするか――

そう考えたとき、思い出した。


(……毒粘液)


後方、通ってきた粘液罠のエリア。

あそこまで誘導すれば……!


俺はすぐに、床を這いながら後退。

羽斬魔たちは距離を取られまいと猛スピードで追ってくる。


扉を飛び越え、毒粘液の通路へ。


ヒュンッ!


尾の刃が追いかけてくる。だが、通路の先――


ジュブッ!!


羽斬魔の1体が、粘液の射線に入った瞬間、体が溶け始めた。


「ギャアアッ!!」


空中でバランスを崩し、地面に落下。

そこへすかさず俺が襲いかかる。


【捕食開始】


羽をもがれ、もがき苦しむ異形の体が、俺の粘液に包まれていく。

体の構造は薄く、耐久も低い。


これは――喰える!


【捕食成功】

【経験値+15】

【現在経験値:26/75】


(よし……まだいる!)


もう1体も同じように粘液地帯に突っ込ませる。


毒と衝突、そして――


【捕食成功】

【経験値+15】

【現在経験値:41/75】


俺はその場に静かに広がりながら、血のような羽を吸い込み、心の奥で小さく笑った。


(罠も敵も、使いよう)


今の俺は、“戦っている”。


捕食して、成長して、思考して、獲物を狩る。

それこそが俺の生存戦術。


そしてその先には――


(進化が待ってる)


レベルアップ、それが全て。

進化とは、その向こうにある“報酬”だ。


 


――To be continued…


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