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8. 罠の部屋

第2層の奥へ進むにつれて、空気の“構造”が変わった。


最初のうちは自然の洞窟だった通路が、いつの間にか人の手で作られたような石造りの廊下に変わっていた。

天井は低く、両壁にはツタのようなものが這っている。

踏みしめるたび、石畳がわずかに揺れる。


(……罠がある)


明確な危機感。

誰が作ったかもわからない構造物だが、“この先に何かある”と本能が告げていた。


そして、通路の終点――

視界の先に、広間が現れた。



部屋は約10メートル四方。天井は高く、壁面には亀裂が走り、魔素の濃度が異常に高い。

だが、それよりも目を引いたのは――


「……死体?」


広間の中央に転がる、乾ききった皮と骨。

形状からして、あれは腐狼。

その周囲にも、ネズミ型や羽虫型のモンスターの死骸がいくつも積もっていた。


(一体、何が……)


踏み込んだ瞬間、右の床石がわずかに沈む。


――カチッ。


(まずい!)


次の瞬間、俺は全身を平たく潰すように粘液を広げ、床に張りついた。

直後、天井から――


ギギギギ……ガシャアアッ!!!


無数の鉄杭が“上”から突き刺さるように落ちてきた。


バシュバシュバシュ!


一撃で貫かれた獣の死骸が粉々に砕ける。

その中にいたら……確実に死んでいた。


(……これが、この部屋の“罠”か)


動く者に反応して、落ちてくる“杭”。

しかも、床には複数の感圧板。踏めば即死。


獣たちは、獲物を追ってこの部屋に入った瞬間、まとめて“仕留められた”のだろう。


(逆に言えば、ここは“罠が敵”の部屋。モンスターはいない)


ならば、得られるものもある。


俺は粘液を小さく絞りながら、感圧板を避けてゆっくりと進む。

先ほどの反応で、“どの石が作動するか”は確認できた。

それさえわかっていれば、進む道はある。


(この……わずか数ミリの段差、これが“生死”を分けるなんてな)


スライムの最大の利点は“重さと面積を調整できる”こと。

感圧式の罠なら、そもそも“触れなければ”発動しない。


――数分後。


部屋の奥、崩れた石柱の裏で、俺はそれを見つけた。


【宝箱】

木製。ダンジョンでは極めて珍しい“人工物”。

蓋は半開きで、内部には――


(……魔石?)


小さな紫色の欠片。

魔力が凝縮された結晶体で、通常なら高レベルモンスターの心臓部にしか存在しない。


【アイテム入手:微細魔石(ランクC)】

【効果:捕食時のスキル変異補助】

【副効果:進化素材:対応種限定】


(進化素材……!?)


今はまだLv2だが、将来的に“進化”する際の分岐や性能に関わる可能性があるということだ。


だとすれば――


(ここに来たのは、無駄じゃなかった)


この広間は“罠”そのものが敵だった。

だが、それを突破した者にだけ、報酬がある。


俺はゆっくりと魔石を体内に取り込み、同時に広間を出た。


もう一度、落とし杭のゾーンを抜けながら、背後の死体たちに思う。


(……次は、俺が喰う側だ)


この罠を越えた俺は、もう一段強くなった。

経験値だけじゃない。

罠を読み、判断し、回避した。

それは、“知性”の進化だった。


 


――To be continued…


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