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6. 次の狩場

現在Lv:2/経験値:2/75】


レベルが上がったことによる変化は、数字以上に実感できた。

体の反応速度は確実に向上し、粘液の動きに“意思”が通じやすくなっている。

粘度も自由度も高くなり、地面を這う速度すら段違いだった。


(これが、成長ってやつか……)


だが、問題もある。


――獲物が減ってきた。


虫たちは俺の気配を感じて逃げるようになった。

ネズミも、捕食者として認識したのか、警戒し始めている。

さっきまで反射的に飛び出してきた奴らが、距離を取って俺を“避けている”。


(つまり、ここはもう“俺の狩場”じゃなくなったってことか)


支配した狩場に獲物はいない。

支配者は常に、次の狩場を求めて動くしかない。


そう、つまり――“階層移動”だ。



第1層の南端。

ダンジョンの中でも特に湿度が高く、地面が泥に変わりかけている場所に、それはある。


――階段。


自然に形成された下り階段のような構造。

ここを越えれば、ダンジョン第2層。

より強い魔物が住み、より豊富な経験値が眠る、未知の世界。


(行くしかない……)


もちろん危険はある。

レベル1の敵を相手にヒーヒー言ってた俺が、そこへ行くのは、正直、無謀とも言える。


だが、俺には“確信”があった。


(俺はもう、最初の“ただのスライム”じゃない)


腐狼を喰い、レベルを上げ、粘液を鍛え、戦術を磨いた。

俺には“生き延びた”という経験値がある。


そしてなにより――


(もっと喰いたい)


レベルを上げたい。

スキルを増やしたい。

進化したい。


もっと、もっと。

貪欲に。執念深く。


それが俺の、生存本能だ。



ズル……ズル……。


階段を下る。

湿った岩肌に粘液が張り付き、ぬめった音が小さく響く。


視界は暗い。だが、わかる。

空気が違う。温度が少し下がり、代わりに魔素の濃度が高くなっている。


――第2層。


それは、第1層のような「無秩序な獣の巣」ではなかった。


地面は硬く、滑らかな石が敷かれている。

壁には何かの爪痕が走り、時おり風が吹くような“気配”が通り過ぎていく。


そして、何よりも――音。


「ゴギャ……」


「キュ……ギ……ィ……」


第1層のようなネズミや虫の鳴き声ではない。

これは……もっと、“異形”だ。


(……くるな)


直感が告げる。

この階には、俺の知らない“強者”がいる。


だが、恐れと同時に――興奮も湧き上がる。


(いいじゃねえか。強くなるには、強い敵が必要だ)


【ステータス表示】



名前:なし

種族:スライム

Lv:2

HP:15/15

MP:5/5

攻撃:2 防御:2 敏捷:2

スキル:捕食Lv2、粘着質操作、腐食属性:小

称号:一つ上の捕食者

経験値:2/75



(次は、Lv3。そして――Lv5、進化)


そのための、狩場はここにある。


俺は、音のした方へと――

新たな狩場の中心へと、滑り込んでいった。


 


――To be continued…


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