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風の書 4

100年祭?何それ?

パン祭りよりは歴史がありそうだが。

『、、、なんじゃ?その100年祭とは』

『あら?ご存知なかったの?

風都で100年ごとに開催される記念祭のことでしてよ。

毎回盛大な祭りを催しますの』

毎回ということはもう何度もやっているのだろうか?

人間の寿命としたら生涯のうちに一度参加できるかどうかだが。


『意外だな、人嫌いのマリーが、そんな人がたくさん集まりそうなところに行くなんて』

『何をおっしゃってますの?

そこで開催されるオークションが目当てに決まっているじゃない。

世界中の宝物や珍品、古代の遺物、宝石が集まるのよ?

今回は風都側からとびきりの宝石が出品されるって情報もあるの。

多少のゴミ臭は我慢できますわよ。』

なるほど。

それは盛大な祭りになりそうだ。


『他には何かやるのかい?』

『そうね、、わたくしは興味ないけど、武道大会や秘境のダンジョンを公開するって話もありますわね』

『、、、そのオークションとやらに情報は集まるのか?

例えば、、、獄炎龍の情報とか。』

『え?まあ、何かしらの書物や関連するアイテムなんかは出てくるかも知れませんわね。

、、、貴女、何か探しているの?』

アトラは答えなかった。

考えているのだ。

そこに父親の情報がある可能性を。


実は試したことがある。

アトラの父親が今どこにいるのか?

案内をするのはまだ先だが、大体の位置くらいは把握しておきたかったし、

何より、生存確認をしたかった。

だが、、、

案内スキルの案内先に選択肢として出てこなかったのだ。

理由は簡単。

アトラ自身に父親の記憶があまりなく、獄炎龍も魔王級の魔物だ。

情報が極端に少なかった。

私の案内スキルは情報や記憶が、ある一定以上ないと発動できない。

なので、一緒に旅をする中で獄炎龍の情報も集めて行こう、という話になったのだった。

おそらくマリーとの行動を許可した理由もこういった背景があったからかもしれない。


風都、、かなり歴史のありそうな場所だ。

その奥には風龍が住むと言われる風の丘もある。

アトラの調べた情報では、龍族の中で風龍が一番古くから存在しているらしい。

これはもしかして、本当に情報が手に入るかも知れない。

『アトラ!』

『、、、』

期待に胸を膨らまして彼女に話しかけたが、

アトラは暗い表情のままだった。

、、、無理もないか。

今まで散々期待して裏切られてきたのだ。

魔王の情報とは、それほどに信憑性がないものだ。

風都に行って何も情報が得られなければ、それこそもうお手上げだ。

『アトラ、、、』

『ボク、ナデテイイヨー?

プニプニダヨー?』

『、、、スラ丸』

こいつは本当に人の心に敏感なやつだ。

まったく、、

『よろしくって!?それなら遠慮なく!!』

マリーがめちゃくちゃプニプニしだした。

こいつは本当に人の心が読めないやつだ。

まったく!

『、、、ふっ』

アトラが笑った。


まあ、じゃあいいか



翌日、

我ら最強のパーティは風都へと向かった!

のだが、、

アトラとスラ丸を抱えたマリーは風月の背に。

私は口に咥えられた。

、、、なんで?

伸びる心配はないけど、空のポーチを抱えた私が風月に咥えられて、必死に速さに耐える様は、、

なんとも惨めだった。

顔を隠さずにはいられない。

だって泣いちゃうから。

〈、、、〉

〈出てきたんなら何か言いなさいよ!〉

〈かける言葉もありません、、。〉

あ、泣いちゃう。


そうこうしながら移動すると、夜になり、風都が見えてきた。

『ここが風都か、、』

まだ外から眺めているだけだが、大きい。

今まで村しか見てなかったから、というのを除外しても、

かなり大きい。

さすが首都だ。

それにかなり人も多い。


『どうする?

君らのオーラだとこの人の多さはさすがにマズいんじゃない?

俺の風纏いに入るか?』

『、、、あ?』

なんで威圧するのさ。

『、、、心配はない。』

『そうですわ。わたくし達の力を舐めてもらっては困りますわ。』

ーーーフッと

2人が息を吐いて集中しはじめた。

かと思うと、

『あれ?禍々しいオーラが消えた?』

『、、、そうじゃ。

短時間であれば完全にオーラを消せる。』

『しかし、この状態を長く続けるのは本当にしんどい事なんですの。

ゴブリンで例えるなら常に全身に力を込めた状態って言えば伝わるかしら?』

人間で例えても伝わると思うが?


『しかしそれなら定期的に力を抜く必要があるだろう?

やはりその時は俺の風纏いに、、』

『、、、あ?』

そんなに嫌なんだ。

傷付いちゃう。

まあ定期的に風都の外に出て力を抜けばいいか。

『どれくらい持つの?その状態』

『、、、3日』

『え?3日あれば十分では?』

なんだったんだこのやり取りは。

私がまた傷付いただけだ。

もうやだ。


『ささ、遊んでないで行きますわよ?

どうせ入門許可証なんて持っていないんでしょうから、わたくしについてきなさい。』

『マリーは持ってるの?』

『はあ、、当たり前じゃない。持っていないと入れないんですのよ?

わたくしの許可証で4人までは一緒に入れますわ』

『、、、ではディー、留守番を頼んだぞ』

『なんでだよ!』

『風都では従魔であれば自由に中に入れますの。

スラ丸ちゃんは確定として、見栄え的に風月ちゃんも必要でしょ?

そういうわけだから、ごめんなさいね?ゴブリンちゃん』

『ワレはハシりツカレたので、カゼマトイでヤスマせていただきたくゾンじます。』

『あら残念ですわ。

よかったわね?ゴブリンちゃん』

こいつらいつか見てろよ、、。

沸々と怒りのオーラを纏って、風都へと入ったのだった。





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