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旅立ちの書 2

しばらく歩くと、ウインドウルフの群れが見えてきた。

、、あ、帰りたい。

すごく帰りたくなってきた。

進むと決めたものの、

足は勝手に村に向かっていた。

『ドコイクノー?』

だよね。

はぁ、、。

『前進、、前進、、』


『オソかったな。

タベにムカウところだったぞ。』

そう笑った。

笑えないって。


『お待たせ。食べられる前に行こうか!』

特殊スキル発動!

〈ウインドウルフの住処〉を選択した。

やはり表示されているか。


何度か使い、判明したことがある。

このスキル、

ある一定の情報が集まれば案内先に目的地が自動で表示されるようになる。

依頼として出ていればもちろん、

対象者が明確に思い浮かべることができるものなら、スキル使用時、選択肢としてあらわれる。


矢印があらわれたが、

〈距離が遠すぎます〉

〈適度に休んでください〉

と、言われた。

今までこんな事なかったな。

どれだけ遠いんだろ?

〈かなりです〉

あれ?会話できてる?

〈はい〉

〈レベルが上がり、会話機能が解放されました〉

え?そうなの?

ちなみに俺の今のレベルって?

〈18レベルです〉

いつのまに、、

〈スキル使用で経験値が獲得できます〉

〈それと、依頼達成でも〉

〈主はほとんど何もしてませんが〉

うるさいな。

これから頑張るところだろ。

〈ご武運を〉

いや、武運を祈るな。

戦わないから。

戦ったら死んじゃうから。

〈ご武運を〉

他には何か解放されたスキルとかないのか?

〈ご武運を〉

聞けよ!会話を終わらせようとするな!


『ナニをしている?さっさといくぞ』

『イクゾー』

『はいはい。』

結局、それ以降〈ご武運を〉しか言わなくなったので、もう諦めて歩き出した。


しかしかなり遠いのか、、

まいったな。

これでは目立ち過ぎる。

案内スキルさんが言う通り、

かなりの距離ならば適度に休憩が必要になる。

物資の補充も兼ねて、途中、途中、村に立ち寄ることにもなるだろう。

私とスライムイーターとウインドウルフの群れだ。

こんなの毎回討伐隊が結成されてしまうではないか。


というか、

なんだこの状況は。


『仕方ないんだけどさ、、

この状況、かなり目立つんだよね。

どうにかならない?』

『ナニがだ?』

『ウインドウルフの群れってかなり目立つよ?

ここまでどうやってきたのさ?』

『ん?ワレラのことか?』

他にいないだろ。

『キホンはワレ、タンタイでコウドウしていた。

いろいろメンドウだからな。』

『他の仲間たちは?

隠れてついてきてたの?』

『ワレのマトうカゼにハイッテいた』

『え?』

『ムレのオサのみがツカエルワザだ。

カゼにワレラのムレをしまえる』

え?四次元ポケットみたいなこと?

『やってミセテやろう』


『ワオォォォォッ』

と、雄叫びと同時にウインドフルフの長の纏う風に次々と仲間達が収納されていく。


何それ便利。

あっという間にウインドウルフの長のみとなった。

『すごいね』

『まあ、ワレにかかればこれくらいはヨユウだ』

誇らしげに言う。


しかし、一匹となっても目立つな。

かなりデカいし。

まあ群れよりはマシか。

『じゃあ、村の近くまで行ったら2人とも隠れててね?』

『ナゼだ?』

『目立つからに決まってるだろ』

『村に魔物が現れたら、それはもう何かしらのイベントが発生しちゃうよ』

『イベント?』

『それがナニかはよくワカランが、

ムラにハイるトキはキサマにカゼをマトワセればいいだろ』

『俺に?』

『カリケイヤクをムスブ』

『そうすればキサマはカリにオサとなり、

カゼをマトエル』

『そのカゼにワレラがハイレバいいだろう』

そんな簡単に長やっていいの?

というか風纏うとかかっこよすぎ。


『じゃあ仮契約で』

家を借りるみたいだな。

『印鑑いる?』

『インカン?』

『なんでもありません。忘れて下さい。』

『カワッタやつだな』

『まぁヨイ』

『ワレにナをつけよ』

『名前?』

そういや、スラ丸の時もそうだったな。

この世界では、魔物に名前を与える事が契約の印になるのか。

『んー。』

正直、名前を付けるのは苦手だ。

昔飼っていたワンちゃんの名前がポチだったくらい苦手だ。

『ポチ、、』

『ナニ、、?』

『すみません。』

うーむ。

ウインドウルフだから、、

風?

群れの長だから家長風、、なんだそれ。

花鳥風月みたいだな。

、、お?風月?

いいな。

『じゃあ風月で!』

『ヘンなナマエだか、まぁヨカろう。』

悪かったな。

本当にポチにしてやればよかった。

『あ、俺はディーだ。よろしくなポ、、風月!』

『うむ、よろしくタノムぞ』

仮とはいえ、また仲間が増えたぞ!

、、魔物だけど。


『じゃあ、早く風を纏わせて!』

ワクワクしてきた!


『もうマトッテおるぞ』

え?何も変わってないんだけど、、?

『キサマテイドのチカラなら、そよカゼにもならん』

『ミタメにはナニもカワらんだろ、よかったな。』

よくないよ。

『はい、、。』


何はともあれ、これで群れ問題は解決だ。


しばらく歩くと、村が見えてきた。

自分の村以外、初めての村だ。

さて、

では早速風に入ってもらうか。


風月はもちろんだが、

なんと、スラ丸まで風の中に入れる事ができた。

どうやらこの〈風纏い〉はパーティを一つの群れとして、認識するらしい。

なんとも便利なことで。


『ようこそ!カンパーニュの村だ!』

お!仕事してるね!

村人Aさんかな?

今日はたっぷり稼いでくれ!

『ようこそ!カンパーニュの村だ!』

『ようこそ!カンパーニュの村だ!』

『ようこそ!カンパーニュの村だ!』

『ようこそ!』

、、、

、、

20回くらい話しかけた。


他の村人にも稼がせてやらないと!

『教会はこの先だよー!』

『教会はこの先だよー!』

『教会はこの先だよー!』

『教会は、、、

、、

そんな事を村人全員に繰り返した。

うむ、良い仕事をしているぞ私。


少し腹が減ったな。

食料売り場に来た。

『いらっしゃい!何にする?

どれも新鮮だよ!』


『ニクをクイタイ』

分かったから黙ってろ

『ニクニクー!』

こら、静かにしてなさい!


『あの、、お客さん、、?』

『あ、すみません。何でもありません。

ちょっと俺の中の衝動を抑えているところです。』


『そうですか、、お大事に、、』

厨二病患者だと思われたじゃないか!


適当に買ってすぐに離れた。

恥ずかしい、、。


とりあえず宿に向かおう。

さて、ここの宿は半額セールはやってるかな?


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