放課後④
読みに来てくれてありがとう!
是非最後までよろしくお願いしますm(__)
ポイントが40ptくらいいけば続編書こうかと思います!!
◇
勉強会後半戦はホットスナックを食べた影響か、全員もれなく睡魔との格闘となりほとんど進まなかった。
このまま続けても意味がない。
まだ勉強する箇所は残っているが、明日明後日の分は終わっているので今日はお開きとなった。
ただ終わるとなった途端目が冴えるこの現象、本当になんなのだろうか。
携帯を眺めると、時刻は21時半になっていた。雫はご飯を食べただろうか。一応連絡はしておいたし、夜ご飯はいつも雫が作ってる。問題はないか。
俺は停めていた自転車にまたがる。
「それじゃ、またな宰、麗羅。」
家が近所の田辺は走って帰るようだ。それでも俺より早く家に着くだろう。手を振って颯爽と姿を消す田辺の姿を見送ってからペダルに足をかける。
「さっきの話、また何かあったら言いなさい。」
小さな声の方へ俺は振り返る。七海は長くサラサラな髪をといている。と思ったら左手にアメリカンドッグ。まだ隠し持っていたのか。
七海を見て、俺の表情筋は緩む。
「あぁ、ありがとな。」
照れくさそうに頬を赤くした七海に別れを告げて、俺は自宅に向かった。
家の駐輪場に着いた俺は、自転車を停めて一本電話をかけてからエレベーターに乗った。
エレベーターには微かに優しい匂いが漂っており、俺にとっては至高の20秒となった。これは、おそらく女子大生の残り香だろう、知らんけど。
明日のテストははっきり言って簡単だ。今日はこのまま寝て、明日に備えるとしよう。
また忙しくなりそうだ。
そんなことを思って玄関で鍵を開ける。ドアを開けた瞬間、一枚の紙切れがヒラリと落ちる。どうやらドアに挟まっていたようだ。
ーーー21時には家に帰りなさい。愛しの希夜香
え、怖すぎる。
携帯の時刻は22時前を指している。もしかして21時まで待っていたのか?それとも俺がこれくらいに帰ると予想していたのか?どちらにせよホラーだ。
なぜか背中が重くなった俺は倒れるように家に入る。
中には、いないよな。
「ただいま。」
俺は雫の部屋に届くくらいの小さなボリュームで帰りを告げる。
とりあえずシャワーを浴びて、教科書でも眺めながら寝落ちするか。うん?
とてもいい香りがする。これはフェチ系のあれではない。食べ物、というかカレーの匂いだ。匂いに誘われるように俺はリビングへの扉を開ける。明かりがついていた。
「雫、今からご飯か?」
長い髪をおろした少女がそこにはいる。こちらを振り返ろうとはせず、小さな背中越しにコクリと頷く。熊柄の入ったパジャマを身に纏い、クルクルと鍋を回しているみたいだった。
「兄ちゃんシャワー浴びてくるから。火には気をつけろよ。」
当たり障りのない会話で俺は奥にある風呂場へと向かう。
希夜香さんの件、一体どうしたらいいかな。呪いと言われたって困るな、ネットに対処法は載っていないだろうし。それ以前にネットや書物に載っている情報ならば、七海がなんでも知ってそうなものだ。はてさて、むむむ…
おっと。
考え事をしていると、後ろから小さな力で引っ張られていることに気づく。肩越しに振り返ると、俺の服を小さな指で摘む雫の姿があった。こうやって正面で向き合うと、雫の小ささを改めて実感する。俺は少し心配になる。
「お兄ちゃん…おかえり…」
雫は今にも消えそうな声で、俺の帰りを迎えてくれた。俺はそんな小さな頭をそっと撫でる。雫はその場から動かずじっとしている。
髪がかなり伸びてきてるな。前髪で目元は全然見えない。でも今は、それでいいか。
「あぁ。ありがと、雫。」
その言葉を聞いてぴょいと俺から離れた雫は、再び鍋の確認を始めた。
「そういえば、今日はうちに誰もきていないか?」
横に首を傾げる雫。どうやら不法侵入はしていないようだ。俺は胸を撫で下ろした。
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