放課後②
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◇
「おーい、おっさむー!」
数学の問題が解けなくてぼーっとしている俺の目の前に、見慣れた顔が全画面表示される。いちいち近い。
俺たちは今、七海の家に来ている。3人で集まるとなれば、大体が外か七海の家だ。初めて集まろうとなった時、なぜか田辺が「七海の家に行きたい」と駄々をこねくりまわしたのがきっかけだ。
七海のご両親は1年のほとんどが出張で家を空けているらしく、都合も良かった。俺の勝手な想像かもしれないが、七海もいつもと違って賑わった家を好いているように見えた。
それからは七海の家が定番になり、週4日遊びに行ったこともあった。あの時にやっていた桃鉄100年対戦は盛り上がったなぁ。七海が田辺の全財産を奪い取って意気消沈させてたっけか。90年を迎えた後、なぜかセーブデータが消えて田辺が疑われてたな。
「今日はスマブラでもやるか?」
カバンの中から無造作に出てくるゲーム機。
ちょっとやりたい。ただ、ワクワクしている田辺の後ろで、どす黒いオーラを放つ七海の姿がチラつく。お茶を取りに行き、戻ってきたのだ。彼女の蔑むような視線は田辺へ一滴残らず注がれている。それに田辺は気づいていない。
しょうがない、一応助けてやるか。
「早く勉強しろ。お前のために集まってんだから、真剣にやらなかったら帰るからな。」
俺はこれ以上争いを見たくない。というか田辺のやつ、学校から直で来たのになんでゲーム機持ってんだ。
「…はぁい。」
弱々しい返事が返ってくる。それと同時に、お茶の入ったグラスが勢いよく机に3つ置かれた。九死に一生ってところか。
後ろから伝わってくる刺々しい視線を察知したのか、田辺はいつも以上に真面目に取り組み始めた。
幸い(?)山場となる教科は大体今日終わっている。すでに手遅れという説もあるが、14時から始まった勉強会は18時の時点で残り勉強量は半分ほどとなった。
田辺は普通に頭が良い。気まぐれで聞いていた授業の内容は大方覚えていたり、一応勉強している部分もあったり、そこまで手を煩うこともなかった。継続が絶望的に苦手なだけで、同じ勉強量ならまず俺は勝てない。勉強において、勝とうという意欲もないが。
ーーーまぁそれもこれも、この天才JKである七海がいるからではあるのだが。
「ちょっとここ、speakを過去形にしないとダメじゃない。」
「え、問題見てないよね?麗羅なんでわかるの?」
彼女は、生まれ持った勉学の才がある。こう言うと、「いいや、それは彼女の努力の結晶だろ」なんて思う人間もいるが、俺はそれをはっきり否定したい。
だってこいつ、今まで1度も見たことも聞いたこともない数式をあっさり解くんだぞ?歴史では教科書にも載っていない出来事をサラサラと話し始めるし。赤子として生まれた瞬間から勉学の知識という知識が脳に刻まれていたとしか思えない。もしくは前世の記憶を保持したまま生まれてきたか、このどちらかだろう。
ただ、オカルト好きの七海にそういうことを軽々しく言ってしまうと話が長いため、本人には言っていない。彼女自身、その辺のことはどう思っているんだろう、聞かないけど。
というかこれ、俺がいる意味あるのだろうか…。
こいつらの距離をこれ以上に近くするには、俺の存在は邪魔だと思うのだが。もう早く付き合ってくれ。でないと逆に気まずい。気を遣う俺の気持ちを察してくれ。
「うーん、よし。一旦休憩!」
田辺は英語の教科書をパタンと閉じ、その場に寝転がる。絨毯はフワフワで毛足が長い。少しくすぐったい感覚もあるが、横になるとそれはそれは気持ちよく、いつの間にか微睡に落ちたり…。
パコン!
乾いたいい音がする。
七海が丸めた英語の教科書を勢いよく田辺の頭に振り下ろしたのだ。
目を瞑っていた田辺の目がパッチリ開き、瞬時に体勢を起こす。
「ネムロウトナンテ、シテナイヨ。」
急にロボットと化した田辺をジト目で疑う七海。夫婦喧嘩もほどほどにしてほしいところだ。
「あっそ。じゃあ早く次終わらせるわよ。」
七海は次に地理の教科書を開く。その教科書は新品かと思わせるくらい綺麗で、とても学年1位の秀才が使う教科書とは思えない。
ただ、きっとこいつの頭にはすでに内容がインプットされていることだろう、前世の記憶として。
「あぁ!ちょっと待って待って。2人ともお腹空かない?コンビニで何か買ってこようよ。」
慌てて田辺はコンビニへの買い出しの提案を持ち出す。
そういえば勉強中、机の上には山盛りにポテチやチョコレート、クッキーなんかが置かれていたはずだが、気づけばそれらの姿がない。
誰が食べたかは見ていない。
だが俺は知っている。それらは七海の胃袋に全て収納されているはずだ。
バレないよう素早く取っていたのか、全然気が付かなかった。食べるスピード早すぎな?
「空いてないわ、さっさと地理も片付け…。」
ギュルルルル…。
七海の精一杯の強がりと同時に鳴り出すお腹。体は正直なようだ。それにしてもこいつ、どれだけ食べるんだろう。
タコのように真っ赤になって固まった七海を察してか、田辺は立ち上がる。
「じゃあホットスナックたくさん買ってくるよ。俺の奢りだからさ、2人とも待ってて。」
「俺も付いていくよ。」
そう言って立ち上がろうと思ったのも束の間、気が付けば田辺の姿はなく、玄関のドアは音もなくしまった。
まさかあいつ、気を利かせたんじゃなく、機嫌悪くなった七海を置いて逃げたんじゃなかろうな。
俺は再び腰をおろす。七海の顔の赤みは取れていないが、壊れた人形みたいにプルプルと震えている。
「おーい、大丈夫か?」
俺は七海の目の前で手をふる。
その言葉に反応して、鋭い眼光でこちらを睨む。おいおい、悪いのは俺じゃないだろ。
それだけはわかってほしい。
「なにが?」
ギュルルルルルルルゥ…。
再び鳴り出す消化の良いお腹。咄嗟に顔を俯かせる七海。今更気にすることなのかは男の俺はわからないが、女の子には色々あるのだろう。そう、色々と。
俺はおちょくる言葉を喉で引っ込める。
「いや、なんでもないです。」
「帰り道で通り魔に殺されて死ね。」
理不尽だ、あまりにも。
我慢したのにその返しは心にくる。まぁ触れぬが仏だ。俺はなにもなかったことにして勉強を再開する。
やはりだ、どの教科もすらすら解ける。俺もついに七海側の人間になってきたのかもしれない。快調に問題集を進める。
若干の睡魔もあったが、解ける楽しさを見出してしまった俺に怖いものはない。ほら、あっという間に一単元分終了だ。
「今日、放課後どこ行ってたの?」
突然、七海が呟く。俺がそちらを向くと、七海も地理の問題集に視線を落としていた。ペンは休まず動いている。
「ちょっと野暮用をな。」
濁しながら答える。屋上で先輩に痴漢をされていた、なんて言ったらややこしくなるので言わない。
すると、七海の視線が上がり、俺の視線と合った。
「宰さ、最近なにしてるの?」
少し低めのトーンでそう問いかけてくる。それは七海が真面目、もしくはシリアスな話をするときのものである。
俺は七海が疑念を含んだ眼差しで見ていることに気づく。
なにをしているのかと言われても困るな。最近は何事もない日々を過ごしすぎていて、これといった記憶がない。
「別に、いつも通りだけど?」
嘘をついたつもりはなかった。
だが七海は頬杖をついて、さらに俺へ疑いの目を送ってくる。こう見ると、メガネをかけた超優秀なJKに見えなくもない。いや優秀なんだけど。
「嘘。最近なに誘っても断るじゃん。今日3人で集まるのも久しぶりだし。連がすごく心配してるの。「また1人で何か抱え込んでるんじゃないか。」ってさ。」
最近の俺、そんなに乗りが悪かったっけ?俺自身自覚がない。これといって体調に変化があるわけでもない。強いて言えば眠いくらいだが、これはいつものことだから関係ない。
無音の空気に耐えられなかったのか、七海は続ける。
「まあ別に、私はどっちでも良いんだけどさ、宰がいないと連が元気なくなるから。これからは誘われたら強制参加だから。わかった?」
照れて少し強い口調だが、これは彼女なりの優しさなのだろう。素直に受け取っておく。
「あぁ、ありがと。じゃあさ、早速お前に相談したいことがあるんだが、いいか?」
田辺がいなくてちょうどよかった。別に聞かれたまずい話でもないのだが、あいつはいらない心配までしてしまうやつだからな。できるだけそれは避けたいので今のうちに話してしまおう。
「私?なんで私があんたの相談に乗らないといけないのよ。」
おい、さっきの優しさなんだったんだ。まぁこう切り返されるのもなんとなく知っていたさ。だったら…
「オカルト系の話なんだが…。」
「詳しく話しなさい。」
すぐ食いついてきた。やっぱりちょろいぞ、こいつ。
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