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八尾山祭

読みに来てくれてありがとう!

是非最後までよろしくお願いしますm(__)


ポイントが40ptくらいいけば続編書こうかと思います!!



15時半を少し回っている。山の麓、草の生い茂った広場に八尾次高校の生徒が続々と集合している。天候は少し曇り空で、雨がいつ降ってきてもおかしくない。



「おっす!サムくん!!」



昨日のエアホッケーで痛めた腕を回していた俺の目の前に現れたのは、人の話を聞かない元気っ子JK、江方芽衣だ。短い運動用のパンツの下ににスポーツタイツを身につけていて、上はラフなシャツといったまるでアスリートのような装いだ。靴はいつも使っているもののようで、土の汚れが目立つ。



「江方か、なんか気合い入ってるな。たかだか学校行事の登山なんだから、そこまで張り切る必要はないんじゃないか?」



「何言ってんのサムくん!ここで一番に山を上り切って、全校生徒に聞こえるように同好会の宣伝をするの。そして部員集めは大成功!晴れて生徒会から正式な承認を得るんだよ!」



そんな野望をもってこの行事に臨むやつがいるとは。本当にこいつは活力に溢れているっつうか、そういうところは本当に尊敬する。



「サムくんの方も、部員の勧誘よろしくね。」



「おいちょっと待て、なぜ俺が勧誘をするんだ?」



キョトンとした顔でこちらをみている。



「なんでって、サムくんうちの部員第3号じゃん。正式な同好会にするには、5人必要って言われたからあと4人だよ。お互い頑張ろう!」



準備体操を始めた江方はさもあたりまえかのように言い放つ。どうやら俺は強制的に部員にされたようだ。たしかこの前保留にしておいたはずなのだが。

あっ、そうだ。

俺は1つ、こいつに伝えておかないといけないことを思い出した。平日中はタイミングがなかったので、今がチャンスだ。



「そういえば江方、お前この前も日直さぼって帰ったろ?あれ俺と神代で代わりにやったんだからな。大変だったんだぞ?」



ピタッ。


準備運動していた江方の動きが止まる。そのまま俺に背を向けるように180度回転し、山の方へ向かおうとする。

そうはさせるか。俺は江方の腕をガッチリ掴む。



「逃さんぞ江方!」



「きゃぁぁぁああ!サムくんのたくましい腕が私の腕にぃぃぃ!襲われるううぅぅ!!」



逃れようと暴れる江方。腕をブンブンと振るが、俺の手はそう簡単には剥がせない。

集合場所に集まっている生徒の目がこちらに向く。なんだか視線がチクチクと刺さる気もするが、気にしていられない。俺は怯まず掴む手に力を込める。



「誤解を生むような言い方はやめろ!さぁ言い訳を聞こうじゃないか江方さんよぉ。どうしてこの短期間で日直3回もサボれるのか、その理由をよぉ!」



こいつがサボった分のツケがなぜか俺に全て降りかかっているのだ。俺には聞く権利があるはずだ。



「あれぇ〜?言ってなかったっけ?私が勧誘活動をするから、サムくんに日直の仕事任せたんじゃなかったっけー?そう考えれば今回の件、サムくんの被害妄想とも捉えられるんじゃない?」



暴れるのをやめた江方、今度はすっとぼけモードに入った。この野郎、いつまでもそんな言い訳が通用すると思うなよ。



「今回は獅子原先生直々に頼まれたんだ。証拠ならあそこにいる獅子原先生に聞けばわかるぞ?」



獅子原先生の顔がこちらを向く。江方は裁判所で断罪される被疑者のように、罪悪感と恐怖の入り混じったような顔をしている。


「八尾次高校」と書かれたテントの中で、獅子原先生は欠伸をしながら椅子に座っている。「なんで休日までこんなかったるいことをしないといけないんだ。」と言わんばかりに退屈そうだ。



「はぁ、わかったよ。私が悪かった。神代さんには謝っておくよ。」



「いや俺にも謝れよ。あと、同好会の方も俺は入った覚えはないからな。」



どうせ面倒なことに巻き込まれそうだし。



「え?!」



目を大きく見開いてこちらを見つめてくる。静寂が続き、江方の瞳には雫が溜まり、やがて零れ落ちる。



「そんな…サムくんまで…。じゃあ!これからはちゃんと日直やる!だからお願い!入ってくれない?」



やっぱりサボってたんじゃねぇーか。とはいえ困ったな。女子に泣かれるとこちらはもうどうすることもできない。

女の涙は最終兵器だ。今度は俺の服を掴んでくる江方。

一歩後退りする俺。



「入ってやれよ小太刀。どうせお前暇だろ?」



頭を掻きながら会話に割り込んでくるのはさっきまで気だるそうに座っていた獅子原先生。いや、今も気だるそうだ。



「先生、俺のことなんだと思ってるんですか?俺だって毎日忙しいんですよ。バイトだったり、女の子の匂いについて研究したり。」



包み隠さず話した俺と距離を取る2人。軽蔑と侮蔑の眼差しを向けられるが、その理由は見当もつかない。

恐る恐る近づいてくる獅子原先生はそっと俺の肩に手を置いてゆっくりと首を振る。



「じゃあ、入部したら今のは聞かなかったことにしてやるから、な?」



おい、なぜ俺は諭されているんだ。というかそれだけ言って退散するんじゃない。俺は去ろうとする獅子原先生に言葉を飛ばす。



「ちょっと待てアラフォー教師!」



「あぁ?」



しまった、勢いで口から心に留めておいた何かが溢れ出した。肩越しに鋭い眼光が飛んでくる。



「すみません間違いました、ピチピチ教師の獅子原先生。」



今度は満足げな顔をしている。わかりやすい人だ。



「俺がその同好会に入って、何か得があると思いますか?」



「江方の分の日直をやらなくていいだろ?」



「いやそれは得じゃなくて、マイナスがゼロに戻っただけですよね?」



この学校の人間は、基本俺のことを奴隷か何かと勘違いしているようだ。

はぁ、とため息を漏らす獅子原先生はとても面倒くさそうに俺を見てくる。いや俺は悪くないですからね?



「ごちゃごちゃとうるさいやつだなぁ、小太刀は。ほら、私が一回エロいことしてやるから、それでいいか?」



腕を組んで強調される豊満な胸。こちらをみる顔は色白くきめ細やかで、30代、20代後半と言っても通用するだろう。



「教師が生徒にそういうこと言うのってどうなんですか?ちなみに俺は大歓迎ですけど。」



獅子原先生は咄嗟に腕で胸をしまいこむ。



「じょ、冗談に決まってんだろ!」



少し照れるのやめろ、可愛いじゃないか。



「じゃあ私から貸し1にしといてやるよ。それでどうだ?」



代替案が出てきた。

あまりにも釈然としない。だがまぁ、一教師に借りを作っておくのも悪くはないか。俺は納得できない心を無理やりに落ち着かせる。



「まあ、それなら…。」



「紅葉先生ぃ!」



俺の返事を聞いたと同時に、獅子原先生の胸に飛び込む江方。こう見ると「子どもと親」の図にしか見えない。

別に俺も江方を困らせたいわけじゃないし、入会しておくだけならいいか。ちょっとムカつくけど。

この選択に俺自身が後々後悔する日が来ることを、なんとなく察していた。


最後までありがとうございます!


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