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お招き

読みに来てくれてありがとう!

是非最後までよろしくお願いしますm(__)


ポイントが40ptくらいいけば続編書こうかと思います!!



「あら、なんで宰くんの方が遅いのかしら。」



「すみません希夜香さん。ちょっとストーカーと一悶着ありまして。」



「そう。じゃあ行きましょうか。」



ちょっとは俺の発言に反応してくれてもいいんですよ?


この時間帯は近くにあるショッピングモールから出ているバスに乗るのが一番早い。学校の中にも一応バス停はあるのだが、時間が合わなかった。

バスの中では、希夜香さんは本から一切目を離さなかった。



希夜香さんが母親との面会を終え、俺たちは帰り道を歩いていた。夕日に照らされながら、さっき降りたバス停を目指す。

俺はもちろん同席はしなかった。邪魔なやつがいると話しにくいこともあるだろし、俺がいたとしてもできることはないだろう。何より気まずい、ちょっと俺には耐えられん。

30分ほど待っていたら、いつもの調子で希夜香さんが出てきた。入った時と同じ無機質な雰囲気だったが、良い事だと捉えればいいのか。



「どうでしたか、お母さんは元気でしたか?」



「まぁいつも通り。私がなにを言っても反応がなかったわ。」



当たり前のようにそう告げる。

あなたの呪いも関係してるんだから、もうちょい関心持ちましょうよ…。

大して悲しそうでもない希夜香さんの顔を横目でそっと見つめる。本に目を落とし、髪を耳にかけると覗かせてくる彼女の顔。それがこの世の何よりも美しいと再度認識したところで俺は少しホッとする。

通りの並木が風で揺れ、静かに音を奏でている。完全な住宅街で寄る場所も無いため、俺たちは右へ左へ曲がってバス停に向かう。



「来月、お母さんが刑務所から出てくるの。」



え?今なんていった?

急だったし、本当にポツリと言い放った言葉だったため、俺の油断した耳から通り抜けていった。

ポカンとしている俺を察したのか、もう一度繰り返した。



「来月お母さんが刑務所から出てくるの。出所ってやつね。」



「それって、どうなるんですか?」



「そりゃ、またうちで暮らすことになるでしょう。お母さんからしたら赤の他人と過ごすことになるけど、この世にはシェアハウスってものもあるし問題ないんじゃないかしら。」



「そういう問題じゃないと思うんですけど?!家族がシェアハウスって普通に意味わかんないです!」



なんでこの人こんな冷静なんだ。一方的に記憶のない母親と暮らすのって、そんな気軽にできるものなのか。



「じゃあファミリーシェアハウス、かしら。」



いや言い方の問題じゃなくて。



「お母さんの記憶が戻りそうとか、何か覚えていたとか、そういうことはなかったんですか?」



「なかったわ。そういう期待はおそらくできない。結局、お母さんが私をどう思っていたのかを確かめるには、私自身の呪いを解かないといけない。」



結論はシンプル、かつ残酷だ。


少し大きな道路に出る。

電車の駅に繋がるこの道は、この時間車通りが激しく、そもそも横断歩道のない道であるため地下通路を渡って横断していく。所々に蜘蛛の巣が張ってあり、なんとなく清潔感のないこの場所が個人的に苦手である。

刑務所周りの独特の緊張感と最近あった色々で、俺はなにもしていないのにまた疲労が溜まっていた。早く帰ってあったかい風呂に入りたい。

相変わらずの希夜香さんは、薄暗い通路の中でも歩きながら本を読んでいる。いったい今週で何冊読んでいるのだろうか。ブックカバーがついているのでどんな本を読んでいるかもよく知らない。今度きいてみようかな。



「じゃあ、来週の月曜日に分かりますね。」



「あら、自信があるのかしら。私のことを覚えておく自信が。」



希夜香さんの呪いを解くには、俺が希夜香さんのことを覚えておく必要がある。俺じゃなくてもいいはずだが、これは俺の役目なのだから俺がやるのだ。

二人の足音が、篭っている地下の中で響く。



「確信があるわけじゃないですけど、やる気は満々です。まぁ、16週間も忘れ続けちゃってるんで説得力ないですけど。」



「そうね。今の私の中の宰くんの印象は、”こんな可憐でか弱い彼女の期待を裏切り続けるクズ男”、という感じよ。」



うぐっ。なんだか心が痛い。というか俺の印象にかこつけて自分の印象を上方修正するのやめなさい。



「じゃあ、忘れないように長く一緒に居ましょう。明日、デートでも行きませんか?」



少し早口になりながら言葉を滑らせる。生まれて初めてのデートのお誘い、こんな場所でこんなタイミング、こんなセリフでよかったのかと少し後悔が残るが、こういうのは勢いが大事と言う。言ってしまったものは引っ込められないし。

本に目を落として歩いていた希夜香さんの足が止まった。どうしたんだろう、あまりにも本の内容が面白くて、歩く方にリソースが割けなくなったのだろうか。

もしくはデートの件をしっかり考えてくれているとか?



「今日、宰くんの家に行くわ。」



「はい?」



目線を本から外さず爆弾発言を投下した希夜香さん。

お泊まり?俺の家に?希夜香さんが?いやいやいやいやなにを言っているんだこの文学少女は。



「宰くん、嫌なのかしら。こんなドSで人を傷つけることに快感を覚える彼女はうちに呼べないってことかしら?デートにまで誘っておいて。」



よかった、いじめてる自覚はあったのか。



「いや、俺が誘ったのは明日の話で。なにも今日ウチに泊まらなくたっていいんじゃないですか?」



とはいえ簡単に断るとごねるだろうな、この人。



「いやいや、気持ちは嬉しいし俺もそうしたいですけど。さすがに急すぎるし、妹もいるんですよ。」



俺は付け足しで言葉を乗せる。



「あら?妹さんがいたら何かまずいことでもあるのかしら。ただただ泊まりに行くってだけなのに、なにを期待しているのかしら宰くんは。」



冷たい目でこちらを見てくる。

俺には無表情の奥に高笑いを浮かべている希夜香さんの姿がはっきり見えた。こちとら健全な高校2年生だぞ。そりゃ色々想像するだろ色々と。

地下を出ると、さっき見ていた夕日の映し出された橙色の空が、お出迎えをしてくれる。



「ま、宰くんがなんと言おうと今日私があなたの家に泊まるのは決定事項だから、しっかりともてなすことね。」



家主の意思もきかずに決定するな。とはいえ、この感じは俺がなにを言っても決定が覆ることはなさそうだ。

予想通り、希夜香さんはその後本に没頭し、意思はテコでも動かなかった。俺がなんと話しかけてもスルー、随分馴染み深くなったフローラルの優しい香りを放つだけだった。そしてあっという間にうちについていた、希夜香さんとともに。


最後までありがとうございます!


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