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登校②

このお話を読みに来てくれてありがとう!


是非最後までよろしくお願いしますm(__)m


ブックマークと感想、評価もよろしく!

モチベになるのでマジで!!!


自宅から学校まで1時間。上り坂が多く、かつ向かい風の道をひたすらに自転車で駆け抜ける。畑と田んぼしか無い面白みに欠ける道を通り、学校に到着だ。校門近くで自転車から降り、そこからは押していく。

周りの生徒は英単語帳とにらめっこをしていたり、プリントを広げて何かを相談をしたりと夢中だった。

最初は果てしない道だと感じていた通学路も、1年が経ってだいぶ慣れてきた。

俺はそこらの部活動よりも運動した気になりながら駐輪場へ向かう。



「よぉ、おさむぅ。」



なんとも気の抜けた声で話しかけてくるのは、俺の数少ない友達である田辺連たなべれんである。



「あぁ、いつものバカみたいな元気はどうした。」



少し強めに毒づく。

バド部で鍛えられた田辺の腕が、自転車をおす俺の首に巻きつく。少し後ろの方から走ってきたのか、田辺の体から熱気を感じる。

暑い、暑苦しい、暑すぎる。



「重いから早くどけ。」



田辺は俺の言葉を華麗にスルーし、死んだ魚のような目でこちらを見てくる。



「今日からテスト週間じゃん?部活、ないじゃん?俺、死ぬじゃん?」



「何を言ってんだ?お前。」



謎の方程式を展開する田辺のことは気にせず歩く。巻きついた腕は一向に解ける気配がない。やがて、腕からもじんわりと熱が伝わってきて不快だ。

そうか、昨日の俺はただテスト勉強をしていたのか。納得と同時に、テスト当日にテストの存在を忘れている自分自身の危機管理能力の無さに、さすがに自分自身にドン引きする。



「だからさ、せめて今日でちゃちゃっと勉強を終わらせて、自主練に励みたいわけですよ?」



喋り方に白々しさを感じる。こいつの言いたいことはなんとなくわかっている。俺は巻きついた腕を振り払うように歩みを速める。だが、腕は解けるどころかさらに強い力で俺から離れようとしない。



「それでさ、宰さんに勉強見てもらえないかなぁと思ってるわけですよ。」



「断る。」



というかテストは今日だぞ。もうすでに初日のテストを捨てているのか?あまりにもテストへの熱意がなさすぎる。さっきまで俺も忘れていたが。


今や、田辺と同じくらい勉強しなくなってしまった。

1年生の頃はもっと真面目に勉強していたはずなんだけどな。慣れというのは恐ろしいもので、だんだんサボり方を覚えてしまう。

将来の目標も明確にあるわけではないし、勉強のモチベーションが上がる要素がないのだ。



「えぇ、なんでだよおさむぅ。友達が困ってんだ、助けてくれよぉ。」



断るのは、語尾がやたらと腹立たしいからではない(普段は普通に喋る)。こいつには俺より勉強を教わるに相応しい相手がいるからだ。



七海ななみとやればいいだろ?なんで男2人で勉強会せにゃならんのだ。むさくるしい。」



「麗羅も誘うに決まってるだろ?でも麗羅、最近急に怒るんだよ。」



七海麗羅ななみれいら、オカルト好きのメガネJKである。俺たちは基本3人で行動することが多い。七海は普段人前では大人しいが、俺たちと一緒の時はなぜかテンションが高かったりする。というか威張っている。内弁慶というべきか、ただの人見知りというべきか、どっちで呼んでも本人に蹴飛ばされそうだ。



「それに、宰ってば最近付き合い悪いじゃん?たまにはゆっくり話もしたいさ。」



「お前、すでに勉強する気なくないか?」



言いながら、俺の中にはクエスチョンマークが浮かぶ。

最近の俺、付き合い悪かったっけ?

直近で何をしていたのか全然記憶がないせいで、いつも当たり前のように一緒にいる感覚だった。



「もちろん勉強も真面目にやるさ。だから頼む!」



田辺の方をみると、遠慮がちな優しい笑顔でこちらを見ていた。

なんとなく田辺の善を感じた俺は、「はぁ」とひとつため息をついた。



「わかったよ。だけど今日だけだかんな。俺だって忙しいし。」



俺は少し嘘をついた。

決して勉強時間が取れないわけではない。ただ、せっかくならこいつに恩を着せておくのは悪くない。ちょっとでも忙しいアピールでありがたみを倍増させるのだ。

我ながら悪よのお。



「おぉ、助かるよ宰!これで永遠語られる麗羅のオカルト話に付き合わずに済む…!」



こいつ、本音漏らしやがったな。

と、思った瞬間だ。

田辺の言葉と同時に、後ろから重めの学生鞄が振り上げられた。鞄は弧を描くように浮かび上がり、田辺の後頭部に直撃した。



「いてぇっ!」



「悪かったわね、つまんないオカルト話聞かせちゃって。」



後ろをみると、明らかに機嫌の悪い黒縁メガネのJKが立っていた。

長くサラサラとした黒髪がふわりと揺れている。

彼女は蹲る田辺を無視して校舎へと入る。



「ち、違うよれいらぁ。」



でた、そのキモい語尾。絶対に逆効果だと思うぞ。

ふんっ、と鼻を鳴らした七海は勢いよく靴を下駄箱へ放り込む。対照的な田辺はそっと靴を置き七海の機嫌を伺う。

田辺よ、もうブチギレだ、諦めろ。



「別にオカルト話が面白くないって言ってるわけじゃなくて、ものには許容量ってものがあってさ…。」



「…ふん!」



田辺の弁明虚しく、上から被せてきた七海は早足で階段を上がっていってしまった。

俺たちはその後ろを付いていく他なかった。田辺の背中はいつもより小さく見えた。


あーあ、やっぱりこいつら面倒だ。


最後までありがとうございます!


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