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覗き見

読みに来てくれてありがとう!

是非最後までよろしくお願いしますm(__)


ポイントが40ptくらいいけば続編書こうかと思います!!



放課後、俺は教室に寄ってくると言った希夜香さんを校門で待つため、グラウンド沿いの道を1人で歩いていた。昼食の後は屋上でお昼寝タイムだった。最近溜まりがちだった睡眠の借金を返すために爆睡をしていたが、下がコンクリートだったからか身体中が関節痛のような痛みに襲われている。

希夜香さんが膝を貸してくれるんじゃないかと期待したが、それは少し恥ずかしいらしく拒否をされ、隣でずっと本を読んでいた。相変わらず”恥ずかしい”の基準がわからない。


ん?あれは…。


そんなことを考えながら体育館を横切ろうとした時だった。周りに植えられている木々を影に、体育館を覗き込むメガネJKが1人いた。不審なオーラを漂わせて屈みながら、中を覗き込んでいる。その挙動不審な姿は、本物のストーカーもびっくりなほどの怪しさを放っている。

ぶっちゃけ話しかけたいとは思わないが、友達がストーカーと間違われるのは俺も気分が悪いので、注意喚起することにした。



「よっ、なにやってんだ七海。」



「お、宰?!なんで学校いんのよ!」



体育館で練習しているバドミントン部を凝視していた七海は、俺の接近に気がついていなかったらしい。七海の体は飛び跳ね、こちらを振り返る目はかっぴらかれていた。



「ちょっと睡眠を取りにな。」



「…あんた、熱で頭おかしくなったの?」



ん?俺今変なこと言ったかも。確かになんで今日学校に来たんだろう。

少し心配そうにこちらに顔を覗き込ませる七海。メガネ越しの瞳がこちらを見ている。大丈夫冗談だ、本当に寝てたけど。



「まぁ確かに。頭はまだぼーっとするかな。でなにしてんだ?」



「え?い、いや、う、宇宙と交信!」



「体育館に向かってか?」



ボアッと目の前の顔が夕日に照らされる。



「う、うるさいわよ宰!ていうかなんできたのよまったく…。体調悪いんならこんなとこいないで早く帰りなさい。私も忙しいんだから。」



”宇宙との交信”でか?言ったらぶっ飛ばされるのは確定だったので遠慮しておく。

七海は手で俺を追い払うような仕草をすると、再び体育館に目を向けた。この木の影からでは、体育館の入り口部分で視野を狭められ、中の様子はほとんど把握できないだろうに。



「なんだ、また田辺のこと見てんのか?こんな外からじゃなくて、中から見ればいいのに。体育館、2階からなら見てても怒られないぞ?」



忙しい理由は彼氏のストーキングか。全然付き合わんけど、こいつら。



「は、はぁ?!別にれ、連を見ていたわけじゃないわよ!ちょっと連に借り物をしていたから、それを返しにきただけよ。別に。「ついでにバドミントンやってる姿をちらっと見られるかな」なんて、全く思ってないわよ!」



田辺に用事があるのは間違いないようだ。それにしてもこいつ、俺や連の前だとやたらと饒舌になるよな。俺も人のことは言えないが、七海は相当な内弁慶だ。俺ら以外の生徒と話しているところは、数回しか見たことない。

七海の手にはマッキーペンが力強く握られている。さっき向けられたシャーペンのことを思い出し、俺は恐怖からか咄嗟に後退りする。それくらい、明日返してもいいと思うけどな。



「練習が休憩に入ったら渡すの!だから別に連が何をやっているかなんて関係ないし、私も気にしてない!」



顔をりんごみたいに真っ赤にしながらそう訴える。今がまさにその休憩時間なのに体育館に入ろうとしないのはなぜなんだ?訊く勇気がなかったので断念する。

連のことになると、こいつのIQやたらと落ちているように感じるのは気のせいだろうか。

七海は相当興奮し、大きく息をしている。

俺は近づいてきた顔を両手で制す。



「いいよいいよ。俺にそんな気張らなくても。ちょっと田辺に頼んできてやろうか?中で練習見てもいいかって。」



俺は木の影から一歩出て、体育館に入ろうとする。

その瞬間、俺の服の裾はその場所に留まるように引っ張られる。振り向くと、七海の視線がレーザーでも発しているかの如く鋭いものになっていた。その視線はすべて俺へと注がれており、足が止まる。

気のせいか、足元の方からドス黒い煙のオーラが出ているように見える。



「やめなさい宰。でないと一生四足歩行でしか生活できない体にしてあげるから!そして死ね!」



なんか脅しだけじゃなくて怨念もこもっていなかったか?俺は犬になって死ぬということか?必死さが尋常ではなかったので七海の言う通りにする。

こいつ、めんどくさい。ちょっと鎌をかけてみるか。



「いやお前がいいならそれでいいんだけどさ、いつまでもそんな感じで大丈夫か?あいつ結構イケメンだし、スポーツやってるし、いつ彼女できてもおかしくないと俺は思うんだよ。」



俺は木の影に再び身を屈め、七海の様子を伺う。俯いている彼女の手は裾を掴んだまま離さない。

スポーツやってる奴は彼女作りがち説。これで大学の卒論くらい書けそうな気がしている。それほどに俺の中で信憑性がある説だ。

それに加えて、あの田辺だ。あいつは良いやつで顔も整っている。その気になれば誰とだって付き合えそうなものだ。そして、それは七海も思っていることなのだろう。



「一応俺はお前の友達だし、できることはやってやる。だからさーー」



「うるさいわ、余計なお世話よ。それよりこの前言っていた先輩の件、どうなったの。」



よほどバツが悪いのか、尖りのある声で強引に話題を変えてきた。風で揺れる木々の影のなか、左手はマッキーペンを胸の前でギュッと握りしめている。中を少しでも見ようと、メガネ越しの目は細くなっている。

まぁ、俺も今は人の心配をしている暇はないか。

体育館側からは死角になるこの場所だが、グラウンド側の道からはここは丸見えになっている。後ろからザワザワとこちらに向けたヒソヒソ声が聞こえてくる。この場面を見られると変な噂が立ちそうなので、とりあえず服を離してくれ。

俺は服から七海の指を外そうとするが、全然動かない。仕方なく質問の返答をする。



「うーん、どうなんだろう。とりあえず希夜香さんは寂しがり屋さんで、俺がずっとそばにいれば解決はしそうだな。」



もちろん、記憶を持ったまま。これが最低であり最高条件であることは間違いない。



「ふーん、そう。」



ボケーッと体育館を覗き込む七海。こいつ、ぜってぇ聞いてないな。



「でも結局、先輩のことは覚えていられるの?」



あれ、意外と聞いていたのか。って記憶のことは口に出していないんだが…。相変わらずこいつにはなんでも見透かされていそうで怖い。



「わからん。けどまぁやるしかないだろ、乗りかかった船だ。」



「ふーん。」



やっぱり聞いていないかも知れない。

そして気づいた。覗き込むことに夢中になっている七海の手から俺の服が離れていることに。


俺はそっと七海から離れると、校門へ足を向ける。



「それじゃ俺は行くわ。田辺とうまくやれよ。」



そう言い残して、俺は体育館ストーキングスポットを後にする。


イテッ!


後ろから小さい何かをぶつけられたようだ。地面をみるとそこにはマッキーペンが。



「借りたもんだろ、これ…。」


最後までありがとうございます!


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