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強行突破

読みに来てくれてありがとう!

是非最後までよろしくお願いしますm(__)


ポイントが40ptくらいいけば続編書こうかと思います!!



風呂上がりの俺は、3枚の資料を広げた。


1枚1枚に書かれている文量は大したことないので、1時間もかからず把握できるだろう。最初に氏名、年齢、性別、住所など、細かい個人情報が漏れなく記載されている。

影島のやつ、本当にどうやって調べているのか。一歩間違えなくても犯罪であろう。そしてそれを受け取っている俺は…いや、考えないようにしよう。



「…。」



調査記録の1行目で目線が停止する。

本当に、見てしまってもいいのだろうか。これは希夜香さんの過去が書いてあるもので、希夜香さんの気持ちがわかるものではない。

あとやっぱり、本人に黙って過去を覗き込むような真似、今更になって卑怯な気がしてきた。

俺にできるのは本人から聞いた話を信じることであって、過去をほじくり返すことではない。今ここで資料を見ることは、希夜香さんを信じていない何よりの証拠になってしまうじゃないか。

俺は、資料をビリビリに引き裂いてゴミ箱に放り捨てた。


影島、すまん。今度借りを返さないとな。


俺は家を出ようと上着を着た。その時、俺は後悔した。


あ、住所、わかんないんだった。


俺はゴミ箱の中を覗き込む。そこには細かく刻まれた資料の切れ端たち。俺は30秒前の自分を殴ってやろうと思った。

切れ端ををパズルのように組み合わせていく作業は1時間以上に渡り、さすがに心が折れかけた。



雫に出かける旨を伝えて自転車を飛ばす。

服が少し汗ばんだが、10分ほどで希夜香さんのマンションに到着した。念の為マップと住所を再度照らし合わせる。

うん、ここで間違いなさそうだ。

ここも周りの街灯は少ないが、マンションから放たれる光が田舎の街を照らしている。携帯は22時半を表示している。まぁ普通に迷惑な時間だ。

でも、今聞かないと悔やんでも悔やみ切れなくなる気がする。希夜香さんが遠くに行ってしまうような。心がそう感じたのだからしょうがない。

仕事帰りのサラリーマンとカップルがエレベーターで一緒になるものの、2組とも先にエレベーターを降りていった。

拳に力を入れつつ、エレベーターの表示を眺める。

7階で止まったエレベーターから俺も降りる。


上から外を眺めてみると、やはり田畑と森しか見えない。マンション側から見ると灯りなんてほとんどないから、景色の全てが黒く塗りつぶされているようだ。

俺は迷う気持ちを振り払うように希夜香さんの部屋まで行く。

なんか、すっごい緊張している。俺の中で色々と整理をつけて来ているつもりではあるが、そういえば希夜香さんとは気まずい感じのままだ。

最初にかける言葉も考えてきたが、すでに頭は空っぽだ。

しかし、ここで引き返すほど臆病になった覚えもないので、俺は少し震える指でチャイムをならした。


ピンポーン。


ベルのコールが鳴る。10秒も経たない間に玄関の扉は開いた。



「こんばんは、希夜香さん。ちょっとお話がーーー」



俺がそう言った途端、というか俺の顔を見た途端。希夜香さんは目を見開くと、少し開いた扉を一気に閉じようとした。

いやっ、待っ!

俺は反射的に閉じる扉に左足をかける。もちろん閉じる扉に挟まれる。



「いぎゃ!!」



タンスに小指をぶつけた時の10倍は痛かった。だが、今は痛みに悶えている暇はない。俺は閉じかけた扉を無理やりこじ開けようと右手に力を入れる。



「ちょっと希夜香さん!どうしちゃったんですか!少し話をーーー」



俯いたまま、希夜香さんは言葉を発しようとはしなかった。扉は、さすがに男子である俺の方に分があるようで、少しずつ開きかけている。


こうなったら、無理やりにでも入ってやる!


意固地になった俺はマックスの力を扉に込める。よし、これで中に入れる。

そう思った時だった。急に閉じる力が無くなった。俺は予想外の事に力を制御できず、扉を開けるどころか勢い余って後ろに倒れ込んだ。



「うぐっ!」



尻もちをついて後ろの壁に頭をぶつける。あまりの痛さに後頭部を押さえる。足の次は頭、これは重症だ。

気がつくと、目の前の扉は固く閉ざされていた。



「希夜香さん!お願いします。開けてください!」



俺は夜中なのも忘れて、扉をノックした。やはり、このままじゃ帰れない。


10分くらいだろうか。


俺の必死のノックも虚しく、希夜香さんがその後出てくることはなかった。

さすがに近くの住人も不審がったのか、少し開いた扉から視線が飛んでくる。

このままでは警察を呼ばれかねないので一旦断念する。

俺はエレベーターを降りて作戦を考える事にした。


一度家に帰って作戦を考えたかったが、1秒たりともこのマンションから離れたくなかった。少し目を離した隙に、希夜香さんがどこか遠くに行ってしまうんじゃないか、そんな不安が纏わりついていたからだ。

エントランスのベンチに腰掛ける。ここから長期戦が予想される。とりあえず雫に連絡をしておこう。俺は1つ、チャットを送る。


『すまない、今日は帰れないかもしれない。』


返信はすぐにきた。


『夜遊びは、良くない。危ないよ?』


ふっ、妹ながらかわいいやつめ。俺は妹が家で待っているのに夜遊びするほどバカじゃないぞ。


『大丈夫だ、少し野宿するだけだ。』


詳しくはマンションのエントランスのベンチだが。説明は長くなるので省く。


『もっと良くない。無理しないで。』


そんなメッセージとともに、OKマークのスタンプがくる。妹の優しさを心に染み込ませながら、俺は希夜香さんが出てくるタイミングを待った。


最後までありがとうございます!


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