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絶望

作者: 阿藤拓人

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 コンビニでいつものハンバーグ弁当を買う。これに飲み物などを含めると1000円を超える。

 1000円というのは社会人なりたての僕には重い。だけど家に帰ってごはんを作る気力も湧かない。

 …ちゃんとやらなきゃって思っても気づけばいつも通り。

 まさに駄目人間だ

 

 この世界の人はどうやって生きていけてるんだろう…

 この世界は辛すぎる。

 まだ20前半の若造がなにを言ってるんだと思うかもしれないけれど人は経験しないとなにもわからない。なんとなくの理解はできるけど本当の理解っていうのは経験しないとわからない。

 そしてわかってしまったらああしておけばこうしておけばよかったが尽きない。


 学生が終わって社会人になる。この変化がここまで大きいものなんて想像がつかなかった。

 幸せとはなんだろうか?

 就職したところは市役所で、すごいいい暮らしができるというわけではないけど、まぁ安定はする。最低限生きてはいける。

 給料が良い残業がないのが公務員なんていうのは所詮イメージでしかなく、給料がそんなに良いわけでも残業がないわけでもない。

 ただまぁ生きてはいける。

 人生のゴールが見える…それがこんなに苦しいものなんて想像ができなかった。


 家に付いてごはんを食べる。適当な動画を見ながら多少の快楽を貪る。

 この少しの快楽が人を駄目にするのだろう。

 アプリで動画を探しながら目に飛び込んでくる岡山なんとかっていう俳優の情報が毒になる。

 その毒から逃げるようにアプリを閉じる。…こんな簡単に人生も閉じられたらいいのに……。


 毒が回っていく。

 いっそのこと壊れてしまいたい。無責任にそう思う。


 インスタグラムをやめた。他人の幸せなんて見たくないし、自分のくそみたいな感情・感性にも気づきたくない。

 自分を好きになるというのは難しいことだ。僕はきっと本質的には自分のことが嫌いなのかもしれない。

 自分で自分に機嫌をとる。


 思ってしまうのは仕方ない。それを外に出さない自分を褒めよう。


 そう思っていた時もある。この思いのおかげでやってこれた。だけどこの思いのせいで自分で自分に嘘をつくようになった。

 自分を正しく認識する。これはひどく難しいことなのだろう。


 今の自分は辛いこともあるけど楽しいこともあるんだ。やりたいこともあるけれど今は今で楽しいんだ。

 

 自己肯定感をあげる行為は大事だ。これ以上に大事なことはあまりないと断言してもいいくらい大事だ。

 でも毒だ。

 誰だって自分のことをつまらないなんて思いたくない。だから目を逸らす。自分を納得させようとする。でも毒なんだ。

 目を背けた代償は必ずくる。その時感じるのは後悔と虚しさだ。

 幸せとはなんだろうか。

 振り返ったときに道はそんなに多くない……。





 絶望とはなんだろうか。

 岡山なんとかっていう俳優の自殺のニュースを見ながら考える。

 幸せとはなんだろうか。

 彼はなにを思って死んだのだろう。

 彼はきっと絶望したのだろう。

 そして彼の死に僕は絶望する。

 ゴールが見える。というのは絶望なのだろう。彼ぐらいすごい人でも……。

 社会人になるとき一気に道が狭くなる。感覚を覚えた。

 自分はきっとそう多くの道を持っていないのだろうそんな息苦しさを感じた。

 彼はきっと自分のゴールを見えてしまったのだろう。

 そんな息苦しさを感じながら生きるのは辛すぎる。

 恋は抑えきれないなんて綺麗な言葉だけどそんなの一端にすぎない。

 あらゆる感情は抑えきれない。希望も絶望も抑えきれない。

 可能性が狭まる息苦しさは思っている以上にひどい。

 仕事が嫌なら死ぬまえにやめればいいなんて思うかもしれない。僕もそう思っていた。

 だけどやめて終わりなわけがない。やめたら次に進まないといけない。

 立ち止まっても時間は無慈悲に進んでいく。可能性はどんどん狭まっていく。

 この絶望をどう止めればいいのだろうか。

 後々振り返ればこの時ああもできた。こうもできた。なんて結果論でしかない。

 そんなこと考える余裕がない。この息苦しさに耐えるだけで精一杯だ。

 かつての戦争の時代とか漫画とかの魔王に新興されてる世界と今の平和な世界どちらが幸せなのか。

 僕は自信を持って答えられない。

 生きるのに精一杯で生きているだけで喜びを感じられることに羨ましさを覚える。

 死にたくないだけで生きていたいと思わない。この感情に振り回される日々が終わるならそれもいいなと思ってしまう。

 絶望とはきっと少しずつくるのだろう。

 自分がどこにもいけなくなってしまったことに気づいてしまったときにするのだろう。

 この社会はあらゆる毒を発生させている。

 この世の中で息苦しくない人間などいるのだろうか……。


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