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ダンジョン『ラビリンス』の初探索 


 力を抜いてリラックスしていたらいつの間にかうたた寝をしていたらしい。準備が終わり、受取の為に呼びに来たアルフに起こされ、想月はギルド内の更衣室に案内される。


「……うん。意外としっかり来る。」


「低品質のモノとは言え、ギルドから探索者に与える為の物だからな。ただ、さっきも言った通り、手入れを怠ればすぐに壊れるからな?」


 そこで希望した武具を受け取り、普段着にしている戦闘衣装(バトルクロス)の上から装備する。


 ワイシャツの上に羽織るコートの更に上から、胸部を守る灰色の胸当て。首部分にくすんだ白色のマフラー。

 腰にはアイテムポーチと弓と矢を収めるホルダー。背中には槍と鞘に収まった剣。

 両腕にナイフホルダー付きの籠手。脚に膝下まであるロングブーツ。太股の部分にちょっとしら物入れがあり、投げナイフや回復薬入りの試験管が入っている。


 剣は刃毀れ無し、弓の弦もしっかりしてるし槍も頑丈なもの。防具も軽い上に頑丈で違和感を感じさせない。装備した物全てがしっかり作られており、本当にこれが低品質?っとついつい首を傾げてしまう。

 

「じゃ、ついてこい。お待ちかねのダンジョンに案内してやる。」


「……いよいよか。」


 装備した武具と道具の確認を終え、アルフの案内についていく。

 廊下を歩きながら、念願の『ラビリンス』探索を行える事に喜びとワクワクで心を燃やす。

 探索者を知り、その強さと自由さに憧れて十年。遂に夢への一歩を踏み出せる。そう思うと、より一層ダンジョン探索に対する意欲が湧き上がる。

  

「―着いたぞ。ここが世界にたった四つしかない始終ダンジョン『ラビリンス』繋がる入口の一つ。」



――次元転移門¨エボルゲート¨。



 ギルド内に有るとは思えない程にデカい門。

 ダンジョンに入るのもダンジョンから出るのも必ずここを通らねばならず、その為、何千何万規模で人が居る。その規模で人がいるにも関わらず、この広間に収まりきっているし窮屈に感じる事も無い。

 ここだけ空間が拡張されている様な、次元が違う様に感じる。

 門の直ぐそばでは何十人……下手したら何百人にも及ぶ職員が武具を片手に出入りしている探索者を見張っている。

 

「っと、こいつを持っていきな。」


「……スマホ?」


「探索者専用端末¨スペースギア¨だ。」


 必要無い時は粒子に変わり自分の内側に自動で仕舞われる。その為、激しい探索をしていても無くす事や壊れる事が無い。

 内側に仕舞われる仕様上、探索者の生死確認や救難信号の役割も果たす。¨スペースギア¨無しの探索は自殺行為と言われる程に探索者にとって無くてはならない存在だ。……最も、一度端末をギルドから与えられるとほぼ永続的に内側に仕舞われるので、絶対に置いていく事はないのだが。


「ゲートに入る時にそいつを翳せば、到達したエリア間を自由に行き来できる。お前さんはまだ一度もダンジョンに入った事が無いから、転移できるのはエリア<01>のみ。ダンジョンから出たい時は、エリアの入口でゲートと同じ様に翳して探索終了を実行すれば良い。」


 端末はゲートの切符の様な役割も果たしており、突破した事があるエリアに自由に転移できる。

 注意する点として、戦闘状態の時は転移は出来ない。自身がそうでなくとも仲間や敵に戦闘の意思がある場合も転移は実行されない。


 注意事項や機能の説明を終え、想月は端末を手にゲートの前に立つ。 


「ほら、行ってこい。新たな探索者よ!」


「―はい!行ってきます!」

 


――転移、エリア<01>!



 翳した端末から光の粒子が流れ出し、想月の体を包み込みながらゲートの渦へと入り込む。



―始終ダンジョン『ラビリンス』 下位世界エリア<01>



 光の渦が収まり、体を包んでいた粒子が晴れる。空間と次元を越えた感触に戸惑い、少し気分が悪くなるがそれは直ぐに収まった。


「―……凄いな。ダンジョンってのは、こんなに綺麗な所だったのか。」


 ダンジョンエリア<01>。このダンジョンにおいて、誰もが最初に訪れるエリア。探索の出発点であり、全ての探索者の通過点。

 洞窟型エリアで、綺麗な水晶が道を照らして彩り、壁に散りばめられた光る石が背中を押す。


 地上ではまず見れない絶景に、つい見惚れてしまう。


「……よし!とりあえず進むか。」


 端末でパシャリと写真を取り、照らされた道を進み始める。

 洞窟内は、槍を振り回すには少し狭く剣を振るには十分なスペースがあると言った感じで、そこまで狭い訳では無い。

 今の所一本道なので、敵が近くに湧かない限り弓が強いかもしれない。


「……っと、早速お出ましか。」


 大体十分程歩いて進んでいると、目の前に渦が現れ、渦からモンスターがあられる。

 バスケットボール位の大きさで丸くてプルっとしているボディに、赤い小さな魔宝石が中心にあるモンスター。


「―¨スライム¨」


「「「―!」」」


 ダンジョンはモンスターを湧かす。エリアごとに決まった種類のモンスターを一定の強さで湧かし、探索者を襲わせる。一度に湧く数や何時湧くのかとかは分かっていない。


「最弱候補のモンスターとは言え、初の実戦で五体か。」


 プルっと体を震わせ、スライムたちが向かって来る。しかし、強さで言ったら最弱と名高いモンスター。その速度は、赤ん坊の全力ハイハイと良い勝負を繰り広げるだろう。つまり遅い。


 普通に距離が開いているので、剣ではなく弓を構える。


「シッ!」


「―」


 中心にある魔宝石を狙い放った矢は、多少のずれは有れど確かに魔宝石を砕いた。

 魔宝石を砕かれた一番手前のスライムは、アイスが溶けるかの様に小さく煙を上げながら青い体をゆっくりと崩していった。

 

「スキル強化って凄いんだな。あっさりと狙った場所に当たったし、矢の威力も上がってた。」


 想月の命中率はだいたい80%。動く的だと75%程。

 一射放った感じ、最低も5%は命中率が上がっていたと思う。体感での予想なので、正確な数値は分からないが、それでもかなり強化が入っているのが理解できる。


「この分だと、剣と槍もかなり強化されてそうだな。」


 それを確かめる為にも、一旦弓を収め、鞘から剣を抜いて構える。


「はっ!」


「「―」」


 二体で固まって動いていたスライムに近づき、体ごと魔宝石を切り裂く様に横一線に剣を振るう。

 魔宝石が切り別れると、パシャっと音を立てて青い体が飛び散った。

 

 振るった感じ、剣は切れ味と技の冴えが強化されていると思う。

 ほぼ水みたいな体だと言っても、何かを切る時は必ず手ごたえを感じる。その手ごたえがいつも以上に分かるのだ。

 

「強化によるずれも無く、最初からこれが当たり前だったみたいに振るえる。これもスキルの効果か。」


「「―」」


 スキルに感動し、嬉しい誤算をありがたく思いながら流れる様に残りのスライムを倒す。

 槍も確かめてみたいが、この洞窟エリアではできて刺突のみ。


 早く広い場所に出ないかなっと考えながら、想月はダンジョンを進んでいく。 



簡単な設定


品質―ダンジョン都市と都市外だと、物の品質にかなりの差がある。都市での最低品質は都市外ではどちらかと言えば高品質と言った割と上の品質。

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