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この学園を自由に過ごす権利は俺たちにもある!

 いくらランク至上主義を変えると叫んでも誰からも相手にされない。なにも変わらない。そう思ってた。


「なのに、信也君だけがそれを認めてない。根っこのところでは自分は駄目な人間でみんなから認められないって思ってる。だからいざって時に素が出るんだよ。みんなが協力してくれているっていう可能性に気づかない。人には無限の可能性があるって言うのにさ、自分で自分のことを認めていないんだよ。信也君だけだよ! 君を認めていないのは!」


 彼女の大声が胸を吹き抜ける。まるで強風に吹かれたような衝撃だ。

 そんな信也に姫宮は笑う。


「大丈夫、みんな君を認めてるよ。ここにいるみんなも。生徒会だって君を認めているから危険視してる。もちろん、私だって認めてるよ、信也君」


 彼の不安をかき消すような微笑みで。

 時の移り変わりを告げる夕暮れ時。

 日は沈む。だけど信也の心は上っていく。何度でも現れる太陽のように。


「それでは改めて質問です。君は今、なにをしてるんでしょうか?」


 わざとらしい質問に信也は気を切り替える。その表情にはもうさきほどまでの陰はない。


「俺は、ここで無意味に立ち尽くし無駄な時間を過ごしていました!」

「では! これから君がすることはなんでしょう!」

「はい! 終わった課題を生徒会に提出するとともに、みんなで抗議することです!」

「よろしい!」


 やりとりが終わり信也と姫宮は互いを見合う。しばらくしてどちらかともなく笑い合った。愉快な気持ちだ。こんな状況なのに楽しい気分になっている。


「頑張ってね、信也君」

「ああ」


 そう言って信也はみんなに向き直る。自分の課題をしてくれたみなは仲間だ。


 それで近づく前、信也はもう一度姫宮に振り向く。


「ありがとうな、姫宮。助けられたよ」

「いつもね」


 そう言って姫宮は胸の前で親指を立てる。それを見て信也「ふっ」と笑った。


「半分くらいな」


 それで今度こそみんなの前に向かっていく。


「えっと、みなさん、俺の代わりに課題をしてくれて、ありがとうございます。それと俺を信じてくれたことも。正直に言うと、俺は見放されたって思ってて。だけど気づいたんです。俺にはこんなにも頼りになる仲間がいるってこと。そして、一人では無理なことでもみんなで協力すれば達成できるってことを!」


 信也の熱のこもった言葉にみんなも感化されていく。熱意は伝播して気持ちが一つになっていった。


「みんなで変えよう。ここは俺たちが通う学園だ、一部の人間や高ランクのアークホルダーだけの場所じゃない。生徒会だけのものじゃない、俺たちの学園でもあるんだ!」


 信也の言葉にみんな力強く頷いた。


「この学園を自由に過ごす権利は俺たちにもある! それはランクで決まるものではなく、平等に与えられるものだからだ! これから俺はみんながしてくれた課題を生徒会に提出する。そこで部長の強制参加、ならびに生徒会の強引なやり方に抗議する。生徒会からの妨害も考えられる。だから、みんなの力を貸して欲しい。みんなでこの学園を、俺たちの学園を変えるんだ!」

「「おー!」」


 信也の呼びかけはみんなの心を奮わした。信也は課題を受け取りみんなの先頭に立つ。屋上の扉を通り向かう先は生徒会室だ。その後に続きみんなもぞろぞろと歩いていく。

 姫宮もみんなと一緒に階段を下り生徒会室に向かっていく。すると隣にいる男子生徒が聞いてきた。


「スピーチ上手いな、あれもアークか?」

「ううん、あれは信也君だよ」


 人混みの向こう、後ろ姿しか見えないがあれは正真正銘神崎信也だ。並行世界の誰でもない、この学園を変えようと本気で頑張っている、この世界の神崎信也だ。

 だから彼は先頭に立っている。だからみんなついて行く。

 彼はもうイレギュラーではない。

 みんなを引っ張る、反体制派のリーダーだ。

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