↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/255

 第三章 四天王

 第三章 四天王


 アークアカデミアの一室、生徒会室で耳をつんざくほどの怒声が鳴り響いていた。


「負けただと!?」


 生徒会室は高級ホテルのラウンジを思わせるほど豪華な内装をしている。会長が座る机に他の役員が座るためのソファ。飾り付けなど初めて見る者なら目を奪われるだろう。


 だが今は電気は点いておらず光は窓から差し込む日差しだけ。それだけに雰囲気は暗く、さらに重く苦しくなっていく。


 それと言うのも、部屋の中央に深優が立ち、それを天王寺が激しく叱責しているからだ。


「深優! 貴様、いったいなにをしている!?」

「…………」


 机の前に立つ天王寺が怒声をぶつける。深優は若干目線を下げて会長からの言葉に耐えていた。


 この部屋には他にも副会長の紫雨や花音、琉衣もいる。だが会長の気迫に誰もなにも言えなかった。


「誰がこんなことをしろと言った? こんなこと私は指示した覚えなどないぞ! おまけに敗北するなど、自分がなにをしたのか分かっているのか!」

「……ああ」


 深優は言い訳しない。自分の勝手で起こした不祥事だ。弁明する気もない。


「紫雨! なぜ報告しなかった?」

「ごめんなさい。でも、以前にも言ったけど未来とは可能性の集合体なのよ。どの未来に進むのか、それはその時になってみなければ分からないわ。基本不確定だし」

「くそ!」


 天王寺から悪態を吐かれる。雰囲気がさらに重くなっていく。


「我々の中から敗北者が出たことで反対派の機運(きうん)が高まるのは目に見えている」


 今は大事な時期だ。全部長の生徒会加入。この一大事に反対派を勢いづかせるわけにはいかない。


 天王寺は表情を歪めどうしたものかと考え込んでいる。


 それは深優も同じ思いだ。今は今後を占う大事な時。そこへ現れたイレギュラーという存在。それはあってはならないし、自分の失態でつまずかせたのなら、自分の再戦で立て直すのが筋だ。それが生徒会のためでもある。


「未来、もう一度私に戦わせてくれ。今度こそ」

「黙れ!」


 だから言った。だが、彼女からの返事に深優はショックを受け、再び顔を俯かせる。


「お前はもう、なにもするな」

「…………」


 静かだけれど、凄みのある声だった。

 なにも期待されていない。叱る価値もないと見捨てられた気分だ。


 深優は天王寺に背を向け、扉に向かって歩き始めた。 


「深優!」


 彼女の後ろ姿へ執事姿の琉衣が叫ぶ。その場から姿を消すと深優の正面に現れる。心配して深優を見るが彼女の顔は下を向いておりフードもあって覗けない。


 深優は琉衣の肩に片手を置くと、ゆっくりと琉衣をどかした。そして無言のまま出て行ってしまう。


「深優……」


 扉が閉まる。彼女が去っていった扉を寂しそうに見つめる。


 生徒会役員の一員がイレギュラーによって倒された。それによりアイドル部の加入も失敗してしまった。


 生徒会の威信が揺れる事態だ。それだけじゃない。


 彼女が、誰よりも会長を思っている彼女がこのままではあまりにも不憫だ。


「……会長」


 執事姿の琉衣は振り返り、引き締めた表情で天王寺を見る。


「これは、私たち四天王の責任です。このままイレギュラーを放置していたは反対派の勢いが増すばかり。ここは、私たちがやります」


 真っ直ぐとした目が天王寺をとらえる。彼女の気迫に負けず琉衣もやる気を漲らせている。


 琉衣は目だけを動かし他の二人にも問う。


「いいですね? 副会長。奏音」

「そうね」


 ソファに座る副会長、紫雨は重苦しい雰囲気ではあるが覚悟を決めたようにつぶやいた。


「確かに、このままやられっぱなしというのは

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。