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私はランクDアーク、『黒鳥の舞(ブラック・スワン)』発動!

「会長の勧誘を断ったようね。それだけでなく戦闘まで行ったとか」

「だったらなんだよ」

「よくもそんな真似をしてくれたわね」

「俺の自由だ、ほっとけよ」

「そういうわけにもいかないのよ」


 信也にとって天王寺未来は苦手だしその傲慢な姿勢は嫌いだ。だが彼女からは嫌々という感じは伝わってこない。


 むしろ信頼すら感じる。


「なんでお前ら生徒会の奴はあんな女に従ってるのか知らないが、帰って伝えろ。俺は絶対にお前等の仲間になんてならないってな!」

「ッ」


 信也の言葉に深優が悔しそうに表情を歪める。


「ランク至上主義をかかげる現生徒会の蜜でいい気分に浸っているようだがな、そんなのガキが親に買ってもらったおもちゃを見せびらかすのと変わらない。大層な異能を持っていたとしても、お前らの中身は幼稚なままだ!」

「ッ!」


 外に出された両手は拳を作り、その手は震えていた。


「おい」


 深優が信也を睨む。その目は敵意に燃え上がっていた。


「黙れよ」

「……………」


 すさまじい気迫だ。その迫力に信也も押し黙ってしまう。それくらい彼女の怒りはストレートだった。


「黙っちゃダメだよ信也君! なにか言い返して!」

「ごめん。ちょっと怖い」

「ちょうどいい。手間がはぶけた。お前とは元々会いに行く予定だったんだ」


 深優は信也だけを見ている。生徒会を侮辱する信也を排除するつもりだ。


「お前は私が倒す、イレギュラー」


 彼女はやる気だ。イレギュラーは生徒会の敵だと断じ、躊躇いもない。


 それは信也にとっても同じ。生徒会のやり方には反対だ。相手がやる気だというなら逃げたりしない。


「ここじゃアイドル部に迷惑だ、場所を変えよう」

「いいだろう」


 二人は練習部屋から出て行った。その後ろ姿をアイドル部員全員が見送る。


「部長」


 一人の女の子が三木島に言い寄る。三木島は考えるがすぐに決心する。


「あなたたちはここで待機していて。私が様子を見てくるわ」

「私も行きます!」


 出て行こうとする三木島に姫宮が手を挙げる。


「分かったわ。一緒に行くわよ」

「はい!」


 二人は急いで後を追いかけた。


 信也と深優は文化ホールの前、タイルが敷かれた広場の前で向かい合っている。文化ホール入り口前は広い階段になっており降りた広場にはなにもない。決闘には相応しい場所だ。


 出入り口から出てきた姫宮と三木島は階段の上から信也たちを見つける。


「信也君……」


 姫宮の視線の先では信也が戦おうとしている。どちらも真剣だ。退く気なんてない。

 そのことに彼女の目が心配そうに細められる。

 そこへ三木島が信也に声をかける。


「気をつけて。彼女は生徒会唯一のランクDだけど、その分格闘に優れてるわ」

「へえ」


 三木島からの情報に信也はつぶやいた。


「ランクD。本人か他人の身体、もしくは精神に関係する異能だったな。有能な能力だってたくさんある。けど、ランク至上主義の生徒会にしては珍しいな」

「ふん」


 信也からの言葉に深優もするどい表情はそのままに話す。


「だったらなに?」

「顔を見せろよ、臆病者なのか?」

「…………」


 質問にはあえて答えず挑発的な答えを返す。


 それを受けて深優はフードに手をかけた。


 彼女の赤いショートカットがふわりと浮いた。さらりとした髪をしており目つきは少々きついが美人の部類だ。隠すにはもったいない。


「お前はいちいち相手を煽らないと気が済まないのか?」

「お前たちこそ、いちいち相手を支配しないと安心できないのか?」

「ふん」


 互いの間で漂う緊張がさらに張りつめていく。


 深優はその場でステップを刻むと戦闘の構えを取る。


「生徒会二年、真田深優」


 彼女のするどい双眸が信也を射貫く。

 決闘の始まりだ。


「いくわよイレギュラー、私はランクDアーク、黒鳥のブラック・スワン発動! 両足の強度を上昇させる!」

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