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あれからもう一週間かあ

 第一章 生徒会


 異能学園、アークアカデミア。それはすべての生徒に異能が与えられる学園。海上に作られた異能都市アークシティに第一から第三までの学園がありそれぞれが独自の管理の下運営がされている。


 その中の一つ第三アークアカデミアの敷地は緑に囲まれた学園だ。敷地は広く高校というよりも大きな総合大学を思わせる。正門へ続く通学路はアスファルトで綺麗に整備され敷地内には校舎だけでなく食堂や研究棟がいくつもある。またアークアカデミアは特別区域のため法律上銃器の所持を許可されている組織があり、アークアカデミアではそうした軍事面の拠点は学生への配慮として区画が切り離されている。


 そんな日常と化した非日常、特別が常態化した現実こそがここ異能学園いのうがくえんだ。


 そこへ続く通学路を歩く男子生徒が一人いる。


 神崎信也かんざきしんや。ピンク色の髪をした少年はよく晴れた空を見上げぽつりとつぶやいた。


「あれからもう一週間かあ」


 何気ないつぶやきのあと少しだけ明るい表情を浮かべる。この空と同じく晴れ渡った表情だ。過去の出来事がまだ昨日のことのように思い出せる。


 審判者ジャッジメント事件。何者かによって高ランクのアークホルダーが襲撃を受けたこの事件は生徒間に噂として流れ秘密裡に異能学園が対処していた。その正体は信也の友人、獅子王錬司ししおうれんじ。彼は異能学園にあるランク史上主義を否定しようと高ランクの者ばかりを狙い襲っていた。信也の憧れの人でもあった錬司との対決は精神的に苦しかったが、その中で自分が進むべき道を見出し、錬司もまた別の道を進んでいった。戦いが決着した時錬司は自分を褒めてくれた。頑張っても結果は得られず、自信を失いそうだった自分に錬司の言葉は勇気をくれた。叶わない夢なんてない。頑張ればいつかそれを掴めるのだと。


 諦めなければ道は開ける。自分を信じる心、人間の可能性。


 この事件で、信也は自信を取り戻すことができた。


 その審判者事件が終わったのがちょうど一週間前。この事件を通じて信也も成長した。憧れの存在だった錬司から卒業し自分の意思で己の道を進み始めたのだ。誰かの真似じゃない、自分だけの道を。


 しかし。


「はあ~」


 そんな輝かしい門出に信也の胸は急に重くなる。成し遂げた過去の実績なんて今はどうでもいい。大事なのは今だ。で、その今というのが。


「もう一週間なんだよな~」


 今度のつぶやきは暗い。じゃっかん両肩も下がり前屈みになっている。


 そんな時、信也の背中を叩く手があった。


「信也君、おっはよーう!」


 バシン! と大きな音が響く。


「いってぇえええ!」

「もう、信也君たら朝の挨拶はおはようだよおはよう」

「知ってるわ! なに俺を一人だけ常識知らずみたいな扱いにしてるんだ。なんだその出来の悪い生徒に教えてあげて私満足みたいな笑顔。マッチポンプかお前は」


 信也は背中をさすりながら隣を歩く女の子をジト目でにらむ。まだ背中がジンジン痛い。


「ほんといい加減にしてくれよ姫宮ひめみや


 信也は隣の女の子、姫宮に抗議する。


 姫宮詩音ひめみやしおん。胡桃色のセミロングの髪が朝日を照らす。太陽にも負けない満面の笑顔で信也の背中を強襲した張本人だ。今日も元気リンリン、明るさバーニング。ちなみに夢はアイドルになることで第三アカデミアではアイドル部に所属している。


 姫宮は信也からの抗議に悪びれた様子もなくニコニコしていた。


「だって、信也君ったら朝っぱらから満員電車に揺られるサラリーマンみたいな顔してたからさ」

「どんな顔だよ」

「そんな信也君に活を入れようと私は」

「背中を叩いたと」

「バックリマンシール背中に張っておいたから」

「うっそおおおおおおお!?」


 信也は急いで振り向き背中を見るがよく分からない。なんとか片手を背中に回して制服を引っ張ってみるとゲッと顔が歪む。


「おい、ほんとじゃねえか! ふざけんなよ!」


 信也は慌てて制服を脱ぎ「ふん!」とシールをはぎ取った。まるで呪いのお札でも剥がすかのように力強い手の使い方だ。


「お前こそ朝っぱらなんちゅうことしてくれるんだ」

「いや、神様の絵だからきっといいかなぁって」

「これで元気出るなら薬なんていらねえだろうが!」


 信也はバックリマンシールを地面に叩き付けた!


「ああ! 私のバックリマンシールがああああ!?」


 姫宮はバックリマンシールを慌てて回収するとスカートのポケットにしまう。

 散々だ。まだ学校が始まってもないのにぐったりと疲れる。

 そんな信也を他所に姫宮はまだまだ元気いっぱいだ。


「でさ、話戻るんだけど、信也君一週間とか言ってたけどどうかしたの? なんか落ち込んでるようだったけど」

「ん? ああ、それか」


 信也の表情が暗く胸が重かったのは事実だ。実際落ち込んでいた。

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