それいけ!アル中マン
体調不良でダウンしておりました。ストロングゼロ文学毎日更新が途絶えてしまって申し訳ッッ!!
ここは場末のスナック。深夜、客は鯔背なマントの彼1人だけである。
「ママ、ストロングゼロ、おかわり」
今宵の彼は少々深酒が過ぎているようである。ヒーローらしからぬぐでんぐでんの様子でカウンターでグラスを磨いているママに向けて空き缶を揺らして見せた。
「もう、アル中マンったら。はい、新しいストロングゼロよ」
バタヨママからひったくるようにしてストロングゼロを受け取ったアル中マンはゴクゴクと飲み干し、酒臭い息を吐いた。
「ふぅ~、効くぜ。元気3倍アル中マン、だ」
「どうしたの? 今日はちょっと荒れてるじゃない」
「そんなことはない、ぜ? 勇気の鈴がリンリンハウスさ」
「ギャグもスベってるし。愛と勇気だけが友達のあなたはどこへ行ったの?」
「よせやぃ、今の俺はこのストロングゼロといぶりがっこだけが友達さ。ポリポリ」
「ふふっ、おかしい」
バタヨママは愛想笑いをしつつグラスを磨いている。店内に流れるのは古いブルース。傷ついたヒーローにはお似合いの歌。
「何を悩んでるの? 言っちゃいなさいよ、少しは楽になるかも」
「ママに話すほどのことじゃない、ぜ」
「嘘、私に話したくてここに来たんでしょ。あなたはいっつもお酒を力を借りないと何もできないもの。ほんとうに、アル中マンね」
「見透かされてらぁ……。やっぱママにはかなわねぇよ」
「パンを焼くのと世話を焼くのは私の特技なの。知ってるでしょ」
「実は、さ」
「うん」
「酒税法が改正されてから町のみんなが全然俺のストロングゼロを飲んでくれないのさ。人気なのはほろよいちゃんやサングリア仮面、かちわりワイン姫みたいな意識低い系のやつばっかりさ」
「バカね、ストロング系のあなたも充分意識低いわよ。それで?」
「国がアルコール度数に比例した税額設定に切り替えたせいで、ストロング系の俺は厄介もの扱い。ひでぇ話、さ」
「あら、いいじゃない。あなたが必要なくなったってことは、平和になったってことでしょう?」
「はっ、皮肉なもんだぜ。所詮俺は時代の徒花、まともな酒税法の下じゃ単なる忌み子、嫌われ者、さ」
「それは違うわ、アル中マン」
「……えっ?」
「あなた、とんでもない勘違いをしているわよ」
「勘違い?」
「あなた、口からゲロみたいにお酒を出すのがキモがられてるだけよ」
「がびーん!」
不人気の理由がわかって良かったネ!アル中マン!