表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

百歳

作者: 源氏郎

世にテレビなるものが普及し始めた頃、伏見にある()()()一軒の古い民家に数人の男たちがやってきた。

なんと御歳百歳になった御婦人がいると聞き、取材にやってきたのだ。


この古い民家の主、川上シズヱさんは数え年だが3日前にちょうど百歳になった。


縁側の座椅子に腰をかけ、取材陣の質問にゆっくりと但しはっきりと答えるその姿はとても一世紀生きた人間とは思えない程である。


地元では有名な商家に嫁ぎ、子を6人もうけて、現在は玄孫まで連なっている。その数は本人も把握できないらしい。




「川上さんの生きてて1番印象深いことはなんですか?」




リポーターの男は川上さんの耳元でゆっくりと懇ろに質問する。




「はえ、やっぱり、()()()の時やな」




なるほどと、報道陣はその言葉の重みにどよめいた。

先の大戦という名の大積乱雲は日本中に大雨を降らし、乱しては消えていった。

一世紀を生きた人間が印象深く思う、それほど凄まじいものなのだと。

誰もが太平洋戦争のことだと思った。




「血みどろの、お侍さんがな、船に乗ってな、吾妻あずまの方へ、逃げて行ったんや」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ