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プアリッチー  作者: シバトヨ
不死身の借金王(シャッキング)
5/20

リッチなら戦闘しない

 三分が経過したんだろう。ポケットの中で小銭が動いた感触がした。

 だけど、それを確かめている場合でもない。


「転生者ですよね?」


 ガイコツを二人も……二人でいいんだよな? ガイコツの単位って(にん)でいいよな? 人型だし、とりあえず(にん)で。


 ガイコツを二人も連れた紫色の美少女が、俺が転生者だと看破してきた。

 自信満々に聞かれるし、存在しない国名を持ち出されて見事に引っ掛かったから、これは確実にバレた。

 バレたものはしょうがない。少女の頭が良すぎたんだ。俺のミスじゃない。

 さて……そうなってくると、問題は、俺が転生者だとマズいかどうかだ。

 できることなら戦闘は避けたい。

 避けたいところだが……


「なぁ? 一つ聞いていいか?」


「どうぞ?」


「俺が転生者だとしたら……どうするんだ? いきなり戦うことはないよな?」


 分からねぇことは聞くしかない。

 そして、一番聞きたいところは、今口にしたことだ。特に戦闘することになるかどうかが重要なポイント。所持金を気にすると戦いは確実に不利。もっと大金を所持していたなら話は別なんだが。

 そして尋ねられた美少女は、あごに手を当てて考え……


「……そうですね。お話を色々と聴かせていただけるなら、戦う必要はないですね」


 よし、言質(げんち)をとった。

 これで襲い掛かってきたら、出るところに出てやる。警察とかそんなとこに。


「よし、じゃあ白状するが、俺は転「行けっ!」っておいっ!?」


 素直に白状したところで、女の脇に控えていたガイコツが殴り掛かってきた。


「話が違うだろうがっ! うおわっ!?」


「あら? 私は戦ってないですよ?」


 意外と動けるガイコツ。そして俺。

 殴り合いのケンカなんて、日本で平々凡々と生活してきた俺にあるわけがなんだが……こうなれば殴る蹴るで応戦するしかない。

 ついでだから、文句もぶつけてやる。


「戦わせるのもぉお!? なしにきまってんだろぉ!!」


 叫びたいことだけ叫んだ俺は、この場で足を引っ張る要素を解除する。


「『コール・エンド』!」


 会話が出来なくなるが、所持金が減り続けるのは悪手だ。

 ガイコツのパンチやキックを避けながら、俺はポケットの効果を握ってみる。

 金貨は五枚のまま。銀貨は二枚で、銅貨は残り三枚。

 大きさが違うから、握れば確認できるのは大きい。まぁ、頭で計算していたのもあるんだが。


「とりあえず『フレア』!」


 とりあえず生で。みたいな感覚で、殴り掛かってきたガイコツ一人に右腕を突き出し、魔法を発動させる。

 すると、胸骨辺りが弾け、骨がバラバラに散らばっていく。

 これで残り一人に対して、銀貨は一枚。ちゃんと狙いを定めれば、確実に倒せるっ!


「儻セ゘ウ」


 女の方は傍観を決め込んでいる。

 何かされるよりはよっぽど良いが、本当になにもしてこないだろうな?

 翻訳の魔法を解いたから、なにか言っているみたいだが……。


「さすがに翻訳しながらは戦えねぇしなっ!」


 足払いを決め、地面に倒れたガイコツに向け、


「『フレア』!」


 魔法を発動。骨を弾け飛ばした。

 これで銀貨はゼロ枚。ここからは銅貨を消費する魔法か、金貨を消費することになるだろう。

 嫌だなぁ……本来なら百円で済む魔法が、五百円相当になるかもしれねぇんだろ?

 お釣りが出ねぇかなぁ……出ねぇんだろうなぁ…………。

 こうなったら、目の前の嘘つき女に金をせびるしかない。


「おい、さっきの代金を払えよ」


「侪ね諿゜゙セぴぬ゘ウゴ¢」


 そうか。翻訳魔法を解いたから、何を言っているのかさっぱり分からん。

 えぇ……翻訳するの? マジで? するしかないんだろうなぁ。


「『コール・スタート』おい、今の戦闘で消費した分の金をよこせよ」


「あ、今度は分かりました。なるほど、魔法に翻訳をさせていたのですね」


「そんなことはどうでもいい。というか、銅貨を数枚くれねぇか? この魔法、金をガリガリ消費していくんだよ」


 無駄話で金貨を消費し始めました。銅貨と金貨の差はありません。

 なんて情報は、所持金が乏しい今の俺には不要なものだ。

 もっと潤沢な資金を確保できるようになってからにしたい。


「? 魔法を使用するのに、お金を使っているのですか?」


「そうだ。俺は転生者だからな。魔力なんてものは扱えねぇし、この世界での俺は金で魔法を使うように設定されてるんだよ」


「そうなんですね。なるほどなるほど……でしたら、私が翻訳させる魔法を使いましょうか?」


「お、いいのか?」


 これは願ってもないことだ。

 俺の所持金ではなく、美少女の魔力が減るからな。

 魔力は体を休めれば回復できるかもしれんが、体を働かせないと金は得られない。


「じゃあ頼む。『コール・エンド』」


「『が〃〔〄う぀〃〷』!」


 何を言っているのかは分からないが、たぶん『コール・スタート』と唱えたんだろう。

 これで所持金を気にしなくて済む。マジで助かるわぁ~。


「侪ね諿゜゙セぴゑゴ勹ゴふめウゴ¢」


 おい、異世界。マジでふざけるなよ?


「なんで翻訳できてねぇんだよっ!?」


 俺は再び『コール・スタート』を唱えることになった。

 銅貨一枚が無駄に……あと六分も話せば、今度は金貨を消費し始めるのか?

嘘つき美少女さんの言葉ですが、暇つぶしがてらに作成したツールを用いて日本語を変換してます(笑)

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