6話 生産職プレイヤーと新規メンバー
「おはよう!」
「おはよう」
朝から元気に挨拶をしてくれたのは鈴菜だ。
鈴菜と俺は違うクラスで光と同じクラスだった筈だ。ちなみに俺は奏多と同じクラスで、昨日見た掲示板のことで少しソワソワしている。
すると、奏多が入ってきた
「おはよー!あれっ?葉月なんでソワソワしてるんだ?トイレなら溜めないほうがいいぞ?」
「違うよ!それに俺はそんな年寄りじゃない!」
と、いつも通りの会話を三人でしていて、大丈夫だったな。ほっと息をつくと、
「そういえば葉月良かったな!謎の強い美少女って掲示板で騒がれてたな!」
わざとかしらないが声を大きくして言ったためクラスの視線がこちらに集まる
「謎の美少女?」
「ああ。昨日街中1人でいるところをナンパされてPVPしたらしくて、それで相手をフルボッコして相手の男を泣かせたらしいぞ」
「泣かせてなんかないぞ!相手は……あっ!?」
「お前いつもひっかかるよな」
笑いながら見てくる。クラスのみんなはなんだ、いつものか。と、また友達と話したりしていた
「はづ君!昨日あれだけ気を付けてねって言ったのに!」
「鈴菜、呼び方がはづ君になってるぞ」
「あっ……」
鈴菜の顔は赤くなり、なぜか周りのみんながニヤニヤしている。
「奏多だって、〈不敗〉だもんなーカッコいいよなー!」
クラス全体に聞こえるように大きな声で言った
「お、おい!なんでそれ知ってんだよ!」
本人の奏多は恥ずかしそうにしてたが、女子などは「ゲーム強いんだね。カッコいい!」と言っている。イケメン死すべき。
「葉月君は探してたものあったの?」
「い、いやぁそれがPVPした後恥ずかしくてすぐログアウトしたから今日探すよ」
「もぉー!新しくくる2人との顔合わせの日なのに!急いで見つけてね!」
「わかりました!鈴菜様!」
「も、もぉ!からかうのやめてよね!」
顔を赤くしながら自分の教室に戻っていった
はやく終わらないかなー……
♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎
ログインして露店を見て回る。さすがにまだお店を持つ人はいない。
βプレイヤーはβテストの成績において景品は変わる。お金を引き継いだり、アイテムを引き継いだり、と、色々制限はあるもののやはり正規版の人に比べるとスタートダッシュに成功している。
ちなみに奏多と鈴菜は上位に入ったため正規版をもう一つ手に入れた。
色々見て回っているがこれといったものは無く平凡なものばかりだ。諦めて妥協するか、と思って来た道を戻ろうとした時一つの露店に目がついた。
そこにあったのは沢山の武器や防具だ。現段階では鉄、一番良いので黒鉄の装備だ。
その中でもひときわ目に焼き付いたのは見た目は普通のと変わらないがすごく惹かれるものだった。
「すいません、この武器や防具作ったのって貴女ですか?」
「そうだよ、可愛いお嬢さん」
「あ、いえ、女じゃ無くて男なんですけど……」
「え!?ほんと!?見る目無くなったかな〜」
「しょっちゅう間違えられるので気にしないでください」
「だよね!女の子みたいだもんね!」
「へ?」
「よし!今から君は女の子だ!」
「は?」
「つまり女の子として扱うって事!フレンドに服作れる人居るんだけど今度どう?ワンピースとか似合いそう!」
「え、遠慮しときます。俺はリムです。そこの奥から二番目の剣見せてもらって良いですか?」
「リムちゃんか〜掲示板で有名な謎の美少女はリムちゃんっていうのか〜」
「ちょっ!?知ってるんですか!?ゴッホン!見せてもらって良いですか?」
「いいよー」
「ありがとうございます。やっぱりいいな、すいませんこれ下さい」
「ほほう?中々高いけど大丈夫?黒鉄でミスなし作成だからお値段張っちゃうよ?」
「素材の買取とかできます?」
「うーん、本来はやってないけどフレンドにそういう子いるから特別にいいよ!」
「えーっと、ーーーこれで全部です」
「ほほー!ホブゴブリンの角か、じゃあ全部で30000でいいかな?」
「随分たかいですね?」
「今この角が色々使えるらしくて高値で売れるんだよね」
「じゃあそれでお願いします」
「はーい。じゃあこの剣の値段も30000なので、はいどーぞ!」
「……ちゃっかりしてますね」
「んー?なんのことー?」
「まあ、いいですけど。ありがとうございました」
「あっ!ちょっと待って!フレンドなろっ!」
「こちらこそお願いしますね」
フレンド登録して別れ、性能を見てみる
黒鉄の剣 +8
+8というのは現段階では中々のものだ。他で売っている鉄の剣で、+3、同じ黒鉄でも+6ぐらいだが、これはそれらより高い。製作者の腕が良いことがわかる
すると、スズから
『まだかかりそう?前にいったレストランの迎えにあるカフェにいるから早く来てね』
と、15分前に来ていた。
持てるスピードをフルに使いカフェに着き店内を探す。
すると、見つけたはいいが完全に女子会となっており、そこに割り込むには中々勇気がいる。
そうやって躊躇っていると、
「リム君遅い!はやくはやく!」
「わ、わかったから!」
スズに腕を掴まれ隣の椅子に座らされる
「こちらがさっきまで話に出ていたリム君です!」
「「初めまして!とっても可愛いですね!」」
なにやら気になる事を言っていたがそれよりも……
「双子?」
「はい!姉のランです!」
「妹のルンです!」
「スズも言ってたけどリムだ。よろしく!」
「「あの〜本当に男の子なんですか?」」
「正真正銘の男だよ」
ランとルンはヒューマンでリアルでは中学生らしい。顔立ちも双子だけあってとてもよく似ている。それに可愛らしい。
見事に俺以外美少女の、パーティーになったなというと
「なに言ってるの、リムも美少女なんだからほとんどの人が全員女子のパーティーだと思う筈だよ」
「な、なんだと……!?」
「じゃあ早速行ってみようか!」
「無視!?あのスズが無視だと……」
前途多難な気がしてならなかった……




