気になったら即計算! ――動員できる兵数と軍勢にいる騎士の人数
まず貴族と騎士の人数を出してしまいましょう!
色々と調べた結果、ヨーロッパは人数が多く、日本は少なめな傾向だとか。
また、多い場合でも1.5%。そして2%を超える辺りから、社会の健全性が損なわれる……らしいです。
ふーむ?
2%として考えると、一人の貴族を49人で支える構図。
貴族以外というと大商人から貧民までいますが、一人当たりから100万強の税収で平均年収5000万、60万強で3000万円です。
14世紀のフランスの人口が約1100万(ペストで500万減った模様)。
フランス王ジャン2世の身代金が現在の価値にして3000億で、王家の年収の倍だったそうですから……年収1500億!? 王家だけで!?
その辺を考えると総税収入を1100万人×100万円で11兆は、ちと多い?
現代日本の税収入は、現代の価値にして約55兆!
そして人口は1.27億!
一人当たりの納税額は現代の価値にして43万円!
なので、1100万人×40万円として4.4兆ぐらいかな?
当時の価値にすると4400エキュ!(ぐるぐる回ってるだけww)
まあ、ここでは貴族一人当たりの平均が2000万ぐらいとしましょう。
(49人×40万円で1960円。ただし、ここから領地のインフラや使用人の給料なども出す。正味のところ手取りは半分くらいか?)
……王家とか貴族7500人分の収入。これは凄いのか、凄くないのか。
また一般庶民程度の貧乏貴族――現在の価値で年収100~200万程度もいたでしょう。
次に限界の2%から内訳を考えていきます。
聖職者もいましたし、女性もいました。子供や老人だっていますし、絶対に前線へ出ないような尊い身分の方も。
半分の半分で0.5%。
これが前線に出てくる上級戦士でもある貴族の数……かな?
多い場合の1.5%から考えても、貴族の三人に一人は現役の戦士となります。
別のアプローチで――
帝国期の日本は、貴族が人口の0.5%程度しかいなかったそうです。
しかし、これに上級武士――騎乗での参陣を求められた家柄も数えれば、ちょうど1.5%ぐらいで西洋と同じ。
なんて概算もあったそうです。
つまり1%がガチの上級戦士!
ただ、これにも子供と老人がいますから……0.5強? それとも、もっと?
それに日本貴族の中にも現役の戦士がいただろうから……合算すると0.7%ぐらいだったかもしれません。
つまり――
多くても人口の1.5%が貴族階級で、0.5~0.7%が実際に自分で前線へ出てくる上級戦士だった。
貴族が少ない場合も考えつつ、ここでは中を取って0.6%としましょう。
そしてフランス級の大国の――計算しやすく人口1000万人の場合、貴族は15万人! 上級戦士は6万人もいた計算に!
ここで軍勢での比率へ焦点を移します。
近代的な徴兵制度となる前、つまり戦争の度に徴用する形式の場合は、ある指針によれば人口の5%程に止めていたそうです。
そして頑張ると10%まで可能だが、それが理由で国が傾き始めてしまうとか。
逆説的に――
人口1000万なフランス級大国は、負けたら亡国の覚悟で頑張ると100万の兵隊を用意できる!
となります。
……関ケ原の戦いでもザックリと8万対8万(当時人口2200万で16万は0.7%)
日本全勢力が参陣とは程遠いけれど……各地に4.3%分の64万人分くらい点在してた?
運よく三十年戦争のフランスが投下した戦力数を入手できましたが、それは15万です(当時人口1050万で15万は1.4%に相当)
百年戦争は各戦闘で追うしかなかったのですが、基本的に1万対1万程度で明け暮れています。
……国家規模から考えると、小競り合い程度?
まあ、百年続いたり、国内対立もあったり、結果として王朝が切り替わる空気があったとか……色々と総力戦へ移行できなかった理由もあるようです。
(しかし、人口が半分ほどのイギリスは超頑張ってます。なんといっても遠征ですから)
……詳しくは本職の方に!(苦笑)
うーん?
10%はともかく、5%はそこそこ信憑性があるような?
まあ、10%は国家存亡の危機レベルでしょうし、滅多にやらなかったのかも?
とにかく、人口1000万のフランス級大国は――
6万人の上級騎士と、50~100万の軍勢が最大戦力だった。
といえるのでしょう。
ちなみに動員戦力ではありません。国境警備でどうしても動かせない部署や、戦争の理由によっては日和見やらで、国内の最終決戦でも1%ぐらい……かな?
外国へ派兵、それも自国がリーダーな大派兵で2%が限界ライン?
ここで上級戦士の比率を求めておきましょう
50+6で56万。この場合、上級戦士の比率は10.7%
100+6で106万。上級戦士の比率は5.6%
上級戦士は指揮官も兼ねていたはずなので、5.6%のパターンは注意が必要かもしれません。
下手したら烏合の衆に?
この辺に10%が限界の理由が隠されているかも。10%を超えて集めたところで、指揮官が足りなくて動かせなくなるという。
また、これを平均すると8%強です。
さらに実際のサンプルからも算出しておきます。
・ブーヴィーヌの戦い(1214年)
何回目かの独仏決戦。
騎士は捕虜にして殺さない時代。この戦争では両軍合わせて2000人以上の死者が出るも、戦死した騎士は169人だとか。
また、騎士の突撃が決戦戦術だった。つまり、基本的に騎士の多い方が勝つ。
連合側(独) 兵数1.5万人 うち騎士1200人 軍勢の8%
フランス 兵数2.5万人 うち騎士1500人 軍勢の6%
・クレシーの戦い(1346年)
百年戦争と騎士の葬式が開始。
イギリスのロングボウ戦術がデビュー。
以後、百年戦争はロングボウ対クロスボウの戦いへ。
おそらく騎士の最盛期であり、この日から騎士は射殺されるようにもなった。フランス騎士の戦死者は2000人とも。
イギリス 兵数1.2万 うち騎士は2500人 軍勢の20%
フランス 兵数3~4万 うち騎士は7500人 軍政の18~25%
以上、某動画サイトから参照しました。
(騎士の数に言及しているデータが深いところで、なかなかサルベージできません。専門的過ぎる!)
これは想像なんですが13世紀から14世紀中頃まで、戦争が起きたら血と金、名誉、土地に飢えた騎士が集合してきた可能性があります。
クレシーの戦いまで、スポーツ的に身代金を取り合うゲームの側面がありましたから。
勝ち側につけば死ぬ確率は1%以下の場合すら(騎士のみ、実例はある)
中世の始まった5世紀末から13世紀中頃までかけて、鉄と鋼、軍馬、戦術、身代金の習慣……色々と必要な技術を蓄積し、騎士の黄金時代が13世紀から14世紀中頃まで花開いた……のかな?
ただし、ソースはありません。これは作者の勝手な憶測です。
また13世紀以降、決定力となる騎士を戦争前に可能な限り集め、その総数も増やすべく、騎士を任命しまくった可能性もあります。
騎士が多い方が勝つのなら、とにかく集めるのが常套手段ですし。
だからクレイシーの戦いでは騎士の比率が多くなっていた?
(これも想像に過ぎません、念の為)
ただ一ついえることは「人口の20%が騎士はあり得ない」です。そんなことしたら国が傾きます。
また戦闘民族である日本人ですら現役数は1%超えれてないようですから、1%越えも難しいでしょう。
が、まあ……時期と人望、報酬の期待値によっては軍勢の25%が上級戦士も可能。
特に騎士は武士と違い、自分の意志で参戦を決められますから。
(武士も自分の意志で決めてはいましたが、決めているのは上役の武将クラス。騎士は主人に止められなければ参陣できたし、実質的な主人を持たない独立した騎士も多い)
・ヨーロッパのような特殊事情&黄金時代へ突入で、軍勢の10%を超えられる
・人口比率から算出すると軍勢の10%未満。おそらく軍勢の8%ほど。
・6%を切るようだと、完全に特殊例。軍隊として不健全でもありそう
まとめると、こんな感じになります。
例えば人口100万の小国だと、上級戦士が6000人。国家総動員で10万の徴用が可能。合算して10万人強が総力。
序盤で魔王と戦って完全に滅ぶ国とか、数字にするとこうなります! 正真正銘の全力!
この国が攻め込まれたら、海外へ大派兵並に用意するでしょうから2%で――徴用兵2万、上級戦士1600人となります。
(これ以上つっ込むと、「王の首をはねて降伏した方が良くないか?」とか起きる)
相手の投入するのが1%(大派兵を毎回は無理でしょう)として、倍の兵力で負け必死になりますから、人口4倍の国だと――
「いつでも相手を倒せる。本気になれば、絶対に負けない」
と、なる模様。
うん、この場合は外交で対処しましょう!
ちなみに勘違いしないでほしいのですが、この21600人の軍勢ですけれど……負けたら即終わりではありません。
同時に用意しろといわれない限り、また同規模の軍勢を用意できます。
大敗北、4割が戦死orリタイア
→ 徴用兵 12000人 騎士 960人
→ 総数 12960人の軍団へ再編成可能
→ 増援として10000人ほど足せば、また元通りの戦力へ
……まあ、この増援増援を繰り返し、総徴用数が5%を超えると厳しくなるのは変わりません。
この国家規模だと増援を二回出して勝てなかったら、降伏条件の検討を開始でしょうか?
(逆に考えると……『同数の相手なら絶対に後れを取らない』級の名将だと、2万人規模の遠征軍で首都を落とせる……のかな?)
さて、『貴族一人当たりの平均が2000万』としましたが、平均的な騎士も似たようなものと想像しています。
ここで『サー・なろう』を想定して、その内訳を。
◎サー・なろう
サー・なろうは人口200名ほどの村を領地に持つ騎士で、先祖代々王に忠誠を誓って任命されています。
ですから、王の召集には必ず答える義務が(逆説的に守るべきはそれだけ)
領民一人当たりから彼の取り分は税収10万円、年収2000万にしかなりませんが……赤ん坊から老人まで含めての200人。
戸数にすると20~30軒ほどの小さな村ですから、貧乏でも仕方ないでしょう。
サー・なろうは騎士なので、当然に従士を雇っています。
騎士たるもの、人目のある所で下々の仕事はできません。体面を保てなくなります。
なので雑用を肩代わりしてもらう従士は絶対に必要です。たとえ赤貧に喘ぐことになろうとも。
そんなサー・なろうの従士は、父の代から仕えてくれているパンチョです。
さらに小間使いも最低一人必要ですが……いまは見習いとしてパンチョの子、パンチョJr.がその任に。
二人への賃金は合算すると年に400万円ほどになりますが、当然にそれはサー・なろうの懐から捻出されます。
また、サー・なろうは騎乗での参陣が義務付けられているので、常に軍馬を所持してなければなりません。
しかし、この時代の軍馬とは現代における高級スポーツカー並の高級品で、それなりにお買い得な軍馬でも1000万円ぐらいするのです。
そして軍馬が現役として過ごせるのは、長くても20年程度。
20年ローンで年間100万円ずつ払い続けるサー・なろうは、寿命や病気で死んでしまわないかと、いつも心配で仕方がなかったりします。
また、愛馬ながら優秀とは言い難く……。
でも、手取りが1000万円のサー・なろうにとって、1000万円の軍馬は所持できるギリギリの線!
少しばかり怠け者に思えても、我慢するしかありません。
そして軍馬を運用するのに、最低でも同数の荷馬が必要です。
移動中も軍馬だって食べたり飲んだりしますから、飼い葉や水を運ぶ手段がないと駄目で、それを荷馬に任せると荷馬自身のエサも必要でと……。
さらに戦争時以外も、生きているだけでメンテナンスや餌代と経費が掛かります。
この荷馬の減価償却や諸経費、二頭の維持費が約年間100万円です。
騎士の身分証明である甲冑は、先祖代々のものを流用しています。
基本的にはチェインメイル、それへ追加装甲的にプレートを着ける年代物ですが、これは流用可能なのが偉い!
父から受け継いだ甲冑を調整するだけで済み、あとは戦争で壊れるたびに修繕でやりくりできます。
以上で合計600万。
軍事費として収入の30%はやり過ぎですが、これ以上は切り詰められないので仕方がありません。
サー・なろうだって一応は騎士です。限度というものがあります。
しかし、同時に村の執政官でもあります。
農業用水路が壊れただの、そろそろ村に教会を誘致して欲しいだのと……インフラや住民サービスにも予算は必要です。
もちろんインフラの保全は村人に労役として頼むのですが……それは要するに税金を物納されているだけ。彼の年収2000万円に含まれています。
これがざっと年間200万!(通年の専属労働者1~2人分相当)
そして残った1200万円がサー・なろうの手取りですけれど……貴族の家を切り盛りするのには、どうしても家令か執事が必要です。
この家令は代官を兼ね、サー・なろう不在時は村を仕切ってもくれます。
奥のことにも女中頭に相当する女性が、最低一人は必要です。
女中は女中頭ひとりで済ませても、最低一人の下男下女がいります。
この二人は男の重労働、女の重労働をするのに必要で、削りようがありません。
この4人を雇うのに600万!
残ったのは600万円、
しかし、それでサー・なろうに奥さん、まだ存命のサー・なろうの母と祖父、十歳を頭に4人の子供、奥さんについてきた乳母、いかず後家となった妹と……10人が食べていかねばなりません。
はっきりいって厳しいです。貧乏は言い過ぎですが……決して裕福ではありません。
……以上が作者の思う『中世の平均的騎士』です。
村からの税収ではなく、王家から俸禄を貰っている可能性もあります。
この辺は国によって違いますけれど、併用が普通……かな?
そしてサー・なろうは、貧相でも土地を持っているだけマシかも。
俸禄オンリー1800万でも似たような生活はできますけど、安定性が違いますし、村を発展させれば収入も増えます。
おそらくサー・なろうは領地に畑を作り、野良仕事で副収入を得ていたでしょうし。
◎サー・なろうの従軍
王家の召集に従い、指定された戦場へと急ぐサー・なろう一行。
しかし、サー・なろう、パンチョ、パンチョJr.の三人は徒歩です。
軍馬には甲冑と三人の荷物をのせ、荷馬には馬用の水と飼い葉を積んでますから、人が乗る分の馬はありません。歩くしかないのです。
まあ、大事を前に軍馬を使い潰してしまったら目も当てられません。本当なら甲冑用の荷馬も用意したいぐらいです。
これはこれで仕方のないことなのでしょう。
王の陣幕が見えてきたので、その辺の茂みに隠れて支度を始めます。
騎士たるもの、歩いて参陣など許されませんから!
この日の為に奥さんが新調してくれた三人揃いのサー・コートも、所属国と王の騎士であること、そしてサー・なろうを意味する紋章の描かれたカラフルなものです。
久しぶりの完全装備なサー・なろうに乗られ、軍馬は嫌な顔をしましたけれど……これはこれで威風堂々といえたでしょう!
形式的な誰何問答の後、無事参陣――
の前に、王の検査官による審査をパスしなければなりません。
きちんと剣と槍は持っているか。鎧は実戦に耐えうるものか。また配下の装備は十分か。
これにパスできないようでは騎士の名折れでもありますし……明日から計算される給料――ようするに戦場手当の額にも響きます。死活問題です。
が、老練なポンチョのインビジブル袖の下――俺じゃなきゃ見逃しちゃう速度の袖の下でなんなく解決!
無事、上級騎士とその一行と認められました!
まったくをもって、やれやれです。
ですが、あとは戦争で活躍するだけ!
自分と似たような奴を捕虜にすれば、2000万円の身代金を要求できます!
なぜなら相場は相手の年収だからです!
捕えたのが立派な領地を持つ大身だったりしたら、もう……信じられないぐらいの大金が!
今回、敵方の家は王家に匹敵する程の権勢と聞きます。
おそらく前線に首謀者は出てこないでしょうが、その血族や関係者を捕えたら!?
身代金だけでも億単位! 下手したら100億です! そうなれば王の覚えもめでたく、領地加増だって夢ではありません!
しかし、自分が捕まった日には?
……きっと王は身代金を払ってくれません。そこまで重要な家臣ではないからです。
ポンチョなら上手く値切ってくれると思いますが……半額でも1000万円の借金! とうてい受け入れられるような金額ではありません!
さて、明日のサー・なろうの運命はいかに!?
が、自分の想像する黄金期の騎士だと思います。
……死ぬかもと微塵も思ってないのがミソ?
まあ、徴用された農民兵ですら、目の前でサー・なろうが落馬でもしたら――
「やっただ! 目の前にオラの年収にして10年分が! 明日から大金持ちだっべよ!」
と捕虜にしたでしょう。
……すごいな。これなら徴用兵でも気合い入れる?
まあ、だいたい上役に胡麻化されて、はした金つかまされて終わりみたいです(当然に上役は、さらなる上役に手柄を奪われる)
でも、騎士が殺されなかったのにも納得です。捕まえた方が儲かりますから。
例のクロスボウ禁止令も、「死にやすい武器を使われると、身代金が取れなくなるから困る」な意味でもあったり?
しかし、これが日本だと――
「やっただ! オラの前に手柄首が!」
ブスー! もひとつブスー! 念を入れてブスー!
「死んだだか? なら首ば貰ってこ」
と首なし死体にさせられたでしょう。
そうなると参陣は命懸けですから、ゲーム感覚での参加はないと思われます。避けられるものなら可能な限りに避けたでしょう。
また、騎士が射殺されるようになったクレシーの戦いですが――
「まって! それハメ(禁じ手)だから! おれのシマじゃノーカンだから!」
と叫びながらフランスの騎士は死んでいったと思います。
イギリスが布陣するロングボウの防衛ラインへ十数回ほど突撃し、その全てが壊滅したそうですが――
「自分たちを捕虜にしようとせず、そのまま殺しにくる」
と微塵も思ってなかった可能性が高いです。
それが当時の常識でしたし、そうでなければ突撃を繰り返さないでしょう。
どんなに無謀に思える突撃だろうと、運が悪くなければ死ぬこともなく、勇敢さの証明でもあった訳ですし……その前の日までは。
……源平の漕ぎ手殺しみたいなエポックメイキング的出来事だったのかも?
さて、脇道へ逸れまくって何がいいたかったかというと――
騎士の大半はギリギリの経済状況だった
です。
身代金もお互いに取りっこをしているだけで、増えている訳じゃありません。最終的に潤ったのは、身代金を立て替えた金融業だけでしょう。
……なんだかバブルみたい(苦笑)
そして、ここで全身甲冑です。ゲーム的にはフルプレートと呼ばれるアレ。
当時の貴族にとっても高い訳ですから、少なくとも軍馬と同じか、それよりずっと高かったと思われます。
ざっくり5000万円としても……サー・なろうには絶対に買えません!(苦笑)
時代を問わず無理なく買える高級品の指針は、手取り年収と同額だったりします。つまり――
全身甲冑が5000万円だったら年収1億以上の騎士や貴族限定。
1億だったとしたら必要年収2億以上です!
また、その人たちでもローンか借金で買ったということ!
さらにローン不要な階級ともなると……前線に出る必要もなくなります。
(というか、年収10億クラスの騎士が戦場に登場とか……大チャンスタイムだったのでは!? もう、金に飢えた騎士が殺到?)
……これ最前線の騎士には購入不可能がFAかも。
本当に実戦投入されたのかなぁ?
鎧を分捕るだけで採算とれてしまうような?
別アプローチで――
フランスの騎士9万人(15世紀に入って人口は1500万人に盛り返した)のうち、上位1%が所有していたとして900領。
しかし、これは1領作るのに最低でも3ヵ月以上かかるので……のべ2700ヵ月――225年かかります。
10の工房でも22.5年です。
しかし、当時の最新技術&科学の結晶だった全身甲冑を作れる工房が、そんなに多かったとも思えず……上位1%に出回るのにも半世紀近くを必要とした?(国に工房が5として)
そして個人専用だから、50年も経てば主なしに。
また15世紀中に作れたのが多くても4000領(国に工房が10として)
これ貴人専用移動式トーチカどころか、試作実験兵器の域すら出てないかも!?
作ってみたけど! あまり実戦投入できなかったけど!
なんだか火縄銃って奴にコテンパンにされちゃったぜ!
な可能性すら?
少なくとも、所有できたのは上位10%でしょう(超甘々な感じでも)
……開発開始が、あと300年早ければなぁ。
全く違った未来だっただろうに……。
◎ 最後に
テーブルトークなどで――
「今日は中世ヨーロッパの世界観でシナリオやるよ! 想定して欲しい年代は……15世紀!」
なんてことを昔は、よく耳にしたもんでした。
しかし、作者などにいわせると――
「えっ? マジ? 15世紀って火縄銃や大砲あるし、すでにプレートメイル(全身甲冑じゃない方)も廃れ始めてるし……剣と魔法の世界が好きな人間には辛いなぁ」
なんて感想でした。
で、セッションが始まると自重しない勢が火縄銃や大砲、爆弾などを使いだし、ゲームマスターがガチギレするという(苦笑)
個人的にはファンタジーゲームで鉄砲がでてくるの大っ嫌いです。そんなの現代劇で十分だと思いませんか?
そしてゲームマスターさんに詳しく話を聞いてみると、やりたいのは剣と魔法の――火縄銃は発明前で、飛び道具も機械式の重クロスボウはなしの世界。
当然に騎士道は重んじられ、身代金ルールが通じたり、誰もが騎士の誓いを信用する。
あー……――
それ10世紀ぐらいだわー。15世紀とか、もう戦争は遠距離攻撃での殺し合いだし。
12世紀だと十字軍でごちゃついてて、13世紀に火縄銃が出回り始め、14世紀はペストで休み&騎士の落日なんだよねー。
なんていえばいいのかなぁ……。
君は源平合戦(12世紀)をやりたいのに、戦国時代(16世紀)と説明してしまった。
そりゃ皆も「下剋上上等!」で「火縄銃最強!」をやりだす。
でもね、それは基本的に説明を間違えた君が悪いよ。
あれだ、お勧めは1077年よりも前!
カノッサの屈辱で王権と教会権力がひっくり返る前だから! これ以前の王様たちは、暴れん坊ぞろいで楽しいよ!
できたアドバイスを要約すると、こんな感じでしょうか?(当時の作者は、今よりずっとバカでしたけれど)
なろう小説などでも、まったく同じことがいえます。
15世紀ぐらいの中世ヨーロッパ風な世界に魔法があって……の段階で間違い。
やりたいのは剣と魔法――古めかしいぐらいにファンタジーゲームっぽいのをやりたいのなら、参照する舞台設定は10~11世紀とするべき。
ただそれだけで火縄銃マニアと大砲厨、ロングボウ&クロスボウ最強伝説を排除できます。
実のところ15世紀とか、一般的な中世のイメージより三銃士の世界の方が近いぐらいですし。
また全身甲冑ではないプレートメイルなら、紀元前にローマ帝国が開発済みです。15世紀にこだわる理由はありません。
騎士のランス突撃もチェインメイルで可能です。そういう時代もありました。
というか全身甲冑の開発は、ランス突撃の最盛期に間に合ってません。
……シナリオ壊され慣れてる人間の結論です! 信用して下さい!(苦笑)