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こじらせぼっちはハーレムエンドを目指さない  作者: 猫派
一章 こじらせ男と三匹の嫁
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ゴールデンウィーク明け 5

5-a.



「……ここです」


「そうか。今日は暇つぶしに付き合わせて悪かったな」


「いえ、成り行きとは言え色々助けてもらった上に家にまで送ってもらって、申し訳ないのはこっちですよ」


「申し訳ないと思ってくれるんなら奢るのはなしに」


「今日の事はチャラです。これからの事は、友達として、お願いします」


「ぐぅっ、断れない……」


「……あの、チャラって言っておいてなんなんですが、もう遅いですし、せっかくですからうちで晩御飯食べて行きませんか?」


「……ありがたいが、遠慮しておく。これ以上遅くなると、家に帰りづらくなるしな」


「そうですか……では、今日はありがとうございました」


「おう。じゃあな」




 早く帰ると言いながら急ぐ気配のない背中を見ながら、私は密かに自戒する。晩御飯を食べていくか、なんて……家族の食卓に飛び入りで彼を招くなんて、恐ろしすぎて私には無理だ。


 家に帰りづらいと聞いて、泊まっていけば、なんて一瞬でも考えてしまったこの腑抜けた頭にも喝を入れ直す必要があるかもしれない。


 認めたくはないが……久しぶりに彼と会って、このところ感じていた寂しさに拍車がかかってしまったようだ。中学を卒業し、高校に入学してから早一ヶ月と少し、人恋しさを感じ始めるには少し早過ぎると思うんだけど……




「弱くなったよなぁ……私も……」




 独り言、最近増えてしまった。ぼっちの、悪い癖だ。






5-b.



「ただいま」


「おかえりー。もう高校生とはいえ、あんまり遅くまで遊んでちゃ駄目だろー? お夕飯冷めちゃうってお母さん怒ってたぞ」


「誰のせいだ誰の」


「いや、そもそも兄ちゃんあんまりあたしの言う事聞かないじゃん。一時期ゲーセン通いこそしてたものの、基本的に家ラヴの兄ちゃんが、今日は必要以上に遅く帰宅……明日はお赤飯なのか?」


「友達すらいない俺にそんな奇跡、起こると思うか?」


「え? お金で童貞卒業祝いじゃないの?」


「それだと俺は真っ昼間からやってた事になるんだが?」


「まぁ、真面目に考えて兄ちゃんなら、男友達でもお祝いしていいレベルだと思うぜ?」


「夕飯あっためるからレンジ使うぞー」


「無視すんなし……」




 今日の兄ちゃんは、何だか機嫌が良かった。実際、どんな理由にせよ、兄ちゃんが楽しそうなのは良い事だと思う。まぁ、いつもそれなりに楽しそうではあるんだけどな。


 実のところ、誰かとつるんで遊んだとき、嫌でもテンションが上がる兄ちゃんの気持ちはあたしにも痛い程分かる。家族だからなのか、同族だからなのか……どちらにしても、あまり嬉しくはないんだよなぁ。

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