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こじらせぼっちはハーレムエンドを目指さない  作者: 猫派
一章 こじらせ男と三匹の嫁
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六月の雨の日 4



 誰か他の部員が来てはまずいので、盗み聞き……もとい会話が聞こえる位置での雨宿りはそこまでにして帰る事にした。と、下駄箱で顔見知りを発見する。


 そう言えば、明日は仮にもデートなのに、俺はそれに対する対策と呼べる知識を何一つ持っていない。これではまずい。例えばあの日、パンを抱えて走っていた活動的な彼女なら、何かヒントをくれるかもしれない。




「ちょっといいかパン少女よ」


「……だからそのパン少女って何なん?」


「お前今、行きたい場所とかあるか?」


「何をまた藪から棒に……強いて言えば、この間のクレープ、また食べに行きたいかな……」


「……腹減ってるのか?」


「……うるさい」




 やっぱこいつかわいいな。かわいさに免じて、昼の分も合わせた情報料としてクレープを奢ってやることにした。あれ? なんか俺奢ってばっかじゃね?


 そんな訳でこの前のクレープ屋まで行って、キャラメルヨーグルト? のやつを買ってやり、隣でぱくついているこいつに今度こそ聞いてみる。




「お前、休日にどっか出かけるとしたら、どこ行く?」


「妹さんと遊びにでも行くの?」


「まぁ、そんなとこだ」


「ふぅん……なるほどねぇ」




 クレープを口に運ぶ手が止まる。しかし、すぐに答えが返ってきた。




「……ショッピング、かな」


「うへぇ……買い物かよ……」


「あんたねぇ……家族とはいえ仮にも女の子と遊ぶんだから買い物に付き合うくらい我慢しなよ」


「まぁ、確かにそれもそうか……じゃあ、どこに連れてくのが上級者っぽい?」


「それはほら、スカイツリーみたいな、景色の良いとことか? 景色以外何もないから難易度は高いと思うよ」


「なるほどな……参考になった。ありがとう」




 明日のデートにおいては、相手より優位に立ち、主導権を握ることが重要だ。景色の良い場所、というのは良いヒントを貰ったな。




「……さて、それじゃあ帰るか」


「えっ、あの……日取りとかは……」


「は? なんで?」


「えぇ……? えっと、連れてってくれるんじゃないの? その……」


「え、お前を? なんで?」


「な、なんでって、こういうのは誰かと行く体で、私に行きたい場所を聞いてるっていうのがお決まりのパターンじゃないの……?」


「いや、違うな」


「なんだよ! 違うのかよ! 恥ずかしいな!」




 おぉう……そう顔を真っ赤にして怒られても困るのだが……




「……え? ってことは何? あんた誰とデートすんの? 私に聞いたってことは女の子だよね」


「いやだから妹だって……」


「あんたが妹にそんな気使う訳ないでしょ……付き合い浅い私ですら分かるよ。いや、って言うかあんたに気を使わせるって……何者……?」


「おい。人を空気の読めないコミュ障みたいに言うな。俺は最低限人を思いやる優しさを持ったコミュ障なんだぞ」


「いや知らないけど……まぁ、なんと言うか、うっかり刺されないようにだけ、気をつけなよ……」




 ……言われなくてもそうするつもりだ。

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