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こじらせぼっちはハーレムエンドを目指さない  作者: 猫派
一章 こじらせ男と三匹の嫁
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六月の晴れた日 4



 そんな訳で、夕焼けの綺麗な海を見ながら、柄にもなくロマンチックな会話をしてしまった俺たちは、その足で近くの駅まで歩き、帰りの電車に乗った。帰り道では流石にお互い少し気まずかったが、電車内であいつは疲れが出たのか眠ってしまった。


 こいつ寝顔は意外にかわいいなとか、人がいないからこいつの寝顔を見られなくて良かったとか、いやいや俺は何を考えてるんだとか、っていうかこれ完全にデートだよなとか、我ながらまったく青臭いなとか、一人でひとしきり悶々とした頃、駅に着いたのであいつを起こして別れた。


 本当に今日は、柄にもない事をしてしまった……なんて言いながら、普段よりだいぶ気分が高揚しているのを自覚する。まったく、趣味ぼっちが聞いて呆れるぜ、情けない。


 駅に着いた俺は、学校に鞄を置いてきた事を思い出して取りに向かった。この時間はまだ部活が終わった直後くらいなので、ぎりぎり開いているはずだ。


 校門をくぐり、下駄箱で靴を履き替えて教室へと向かう。教室の照明が灯いている……部活で使っている奴がいるのだろうか。構わず扉を開けて中に入る。


 中には誰もいないように見えたが、よく見ると俺の机で寝ている奴がいる……あれは……女子か?


 近づいて顔を覗き込む。こいつは確か……後ろの席の女子だったはずだ。名前は覚えていないが。単に席を間違えただけの可能性もあるが、何か用があって俺を待っていたのなら、放置して帰るのも忍びない。仕方がないので揺すって起こす。




「おーい、起きろー」


「……ふぇ……むにゃ……あ、おはようございます……あなたも、あれを見てたの……?」




 寝ぼけているのか……しきりに目を擦りながら指したのは窓の外。眺めてみるが、でかい木があるくらいで、変わったものは見つからない。




「……いやえっと、なんで俺の席で寝てたんだ?」


「……うん、君を待ってたんだよ。鞄があったから、帰ってくるかと思って……えへへ……」


「おう、そうか……それで、俺に何か用か?」


「ううん……顔を、見たかったから……えへへ、えへ……」


「お、おう……? じゃあもう帰って良いか?」


「うん……じゃあ、また明日ね」


「あぁ、じゃあな」




 ともあれ俺は、無事鞄を回収して教室を出た。後ろの席の女子、大方居眠りでもしていて寝過ごしたんだろうが……寝起きで潤んだ目で顔が見たかった、なんて、冗談にしてもぼっちには少々凶悪すぎる。


 それにしても、明日は休日だったと思うが……?

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