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こじらせぼっちはハーレムエンドを目指さない  作者: 猫派
一章 こじらせ男と三匹の嫁
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六月の晴れた日 1



「起立。礼」




 4限が終わり昼休みに入ると、俺は足早に教室を出た。パン少女がちらと視線を寄越すが、何も言っては来なかった。あいつには、授業が始まって俺がいなかったら、体調不良で保健室に行ったと伝えるよう言ってある。


 俺は中間テストが終わって以降、たまに晴れた時にはよく授業をサボって校舎裏へ昼寝をしにいくようになっていた。


 最近はじめじめして、早くも蒸し暑さを感じることが多くなってきたが、今日は先ほどまで降っていた雨の影響か比較的気温が低く、その雨も先ほど上がって太陽が出てきたので、昼寝には絶好の気持ちの良い天気になった。


 軽い足取りで階段を降り、靴を履き替えて外に出た。すこし湿った、けれど心地よい風が吹く。


 俺の頭に、ある考えが浮かんだ。これほどまでに気持ちの良い天気の日は、どこかに遠出するのも良いかもしれない。そうと決まれば善は急げ、俺は校舎を出たその足で校門へと歩き出した。




「……で、なんで私が呼ばれたんですか?」




 駅前の待ち合わせ場所にやって来たあいつの、第一声はそれだった。




「呼び出す時に説明しただろ?」


「一人で行けば良いじゃないですか。基本ぼっち行動のくせに都合の良いときばかり他人を巻き込んで、本当にあなたって人は……」


「別に一人でも良かったんだけどな。どうせお前暇だろ?」


「暇も何も……平日の真昼間なんですけど」


「で、どこ行こうか」


「決めてなかったんですか? よくそれで、ちょっと遠出するから一緒に来い、なんて言えたものですね」


「それ聞いてすぐに待ち合わせ場所に来るお前もお前だけどな」


「それは……暇だったんですよ……」


「平日の真昼間にか?」


「もう! いいからどこ行くか早く決めてくださいよ!」




 ふむ。こいつには最近、急に付き合わされて奢らされてばかりだったから、たまにはこうやってこちらの事情で振り回してやるのも新鮮で悪くないな。




「まったく……急だったので私、あまり持ち合わせとかないですから。基本的にあなたの奢りですからね」


「あ」


「何ですか?」


「そうだ。鎌倉行こう」

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