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こじらせぼっちはハーレムエンドを目指さない  作者: 猫派
一章 こじらせ男と三匹の嫁
11/60

五月中旬 5

5-a.



 さて、あいつが駅の人混みの中に消えて行ってから、案の定、近づいてくる影があった。




「……ちょっと良いかな。えっと、あなた、同じクラスの子だったよね?」


「あぁ……そっか。話すの初めてだったよね、あんたとは」


「うん、多分そうだと思う。ねぇ……あまりに唐突で、驚かせてしまったらごめんね。でも、答えてほしいな。あなたって、あの人の事……」


「別に好きじゃないよ。ただ、あいつとはちょっとした因縁があってね……」


「えっと……」




 まぁ、分かんないよな。あいつも忘れてるみたいだし、ほとんど私の一人相撲みたいなもんか……




「とにかく、私があいつを好きとか、そういう事はないから、あんたが心配する必要はないよ。それにしても、さすがに隠れて後を尾けるのはちょっとやり過ぎじゃないかと思うけどね……」


「……なんだ、気付いてたんだ。じゃあ聞くけど、さっきの他校の制服の子、あの人とどういう関係なのかな?」


「それを私に聞くんだ? 自分であいつに聞けばいいじゃん」


「……そうだね。ありがとう、じゃあね」


「うん。それと、あいつの後ろの席だからって、寝てるふりして匂い嗅ぐのはだいぶ変態っぽいからやめた方が良いと思うよ」


「……ご忠告どーも」




 そうしてまたあの子は人混みの中、何処かへ行ってしまった。全くあの不真面目なライバル様も、あんな一途で純情そうな子を誑かすなんて、罪な男だよなぁ。


 でもまさか、ストーカーまがいの事までしてくるとは……何て言うか、あいつも大変だな。同情するぜ、ほんと。






5-b.



「ただいまぁー」


「おう、おかえり」


「おっ、兄ちゃんゲームやってんの? あたしも混ぜろよー」


「あぁ。じゃあ○リカーでもするか」


「う、うん? どしたの兄ちゃん、なんか機嫌良いね。また例の彼女と遊んで来たの?」


「例のってなんだよ……ちげぇよ」


「ってことは別の女の子? 二股? 二股なのか?」


「お前は何を言っているんだ……いいから早くキャラ選べよ」


「あたしキ○ピオー」


「お前キノコ好きだよな」


「えっなんなの……妹相手にいきなりの下ネタとかさすがに引くぜ……?」


「それ下ネタ言ってんのお前だからな」




 兄ちゃんはやっぱり機嫌が良かった。もし兄ちゃんに彼女ができたら、一緒に買い物行ったり遊んだりできて楽しそうだなー。


 でもやっぱり休日に家出るの面倒くさいなー、と思ってしまうあたしは、紛れもなく兄ちゃんの妹なのであった。


 あと、ゲームでは一回も勝てなかった。兄ちゃん強すぎ……ぼっちのくせに……悔しい。

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