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こじらせぼっちはハーレムエンドを目指さない  作者: 猫派
一章 こじらせ男と三匹の嫁
10/60

五月中旬 4



「いやぁ、クレープ、美味しかったですね」


「そうかそうか。他人の金で食うクレープは美味いか」


「美味しすぎて2つも食べちゃいました」


「ビッグサイズ2つな。ほんと、太るぞ……」


「え、なに? 今、死にたいって言いました?」


「なんでもないです……くそぅ、覚えてろよ……」


「尻に敷かれてるよね。完全に」


「だから彼女じゃねぇって」


「はい。ただの財布です」


「いつか絶対犯す……」


「目がこわいよ……」


「童貞がなんか言ってますね。聞こえませんけど」


「お? やるか? っとお前、家あっちだよな」


「ん?」


「あ、はい。今日はごちそうさまでした。また期待してますね。あと、これからはちゃんと返信してください。毎回学校に凸するの面倒なので」


「はいはいじゃあなー」


「あ、さよならー」


「彼女さんもまた今度です」


「彼女じゃないって言ってるよね?!」




 こいつも毎回律儀にツッコむからいじられるんじゃないだろうか……




「……行ったな。お前、電車か?」


「あ、うん」


「じゃあ駅まで一緒だな。行こうぜ」




 俺たちは駅へと歩き出した。さっきから思っていたが、こいつは歩幅が小さい。っていうか、そもそも全体的にかなり小さい。ちゃんと食べてるんだろうか、少し心配だ。


 なんかクレープもちびちび食ってたし。こいつが食べ終わるまでに、誰かさんはビッグサイズ2つ完食してたぞ。




「……なんで家の場所、知ってたの?」


「あー、この間会った時に、暗かったから家まで送ったんだよ」


「……やっぱり付き合ってるんじゃ」


「断じて違う」


「そっかー……あんたに彼女がいれば、色々都合が良かったかもね……」


「は? どういう事だよ?」


「……いや、やっぱりそれはそれでなんか悔しいからやだ。私にもまだ彼氏いたことないのに」


「そんな事でまで張り合ってどうすんだよ……」




 こいつは一体、何と戦っているんだろう。




「ってかさ、あんたに女の子の友達がいたってだけで、十分意外なんだけど……学校にも友達いないのに。どうやって仲良くなったの? 中学の後輩って言ってたよね?」


「余計なお世話だよ。あいつとのことはまぁ、話せば長いし……また今度な」




 今度があるかは知らん。


 そんな事を話していたら、駅に着いた。よし、今から帰ればまだ、積みゲー消化が間に合うな。思わぬ出費はあったが、寄り道自体は短時間で済んだので良しとしよう。




「んじゃあまたなー」


「あ、うんまた明日」




 パン少女と別れてホームへと向かう。考えてみたら俺、女子2人と一緒に下校してクレープ食べるって、結構リア充っぽい事してるんじゃないか?


 ただ、実際にはそれこそ小銭入れくらいにしか思われてなさそうなのが涙を誘うが……いいんだ、俺は一人で楽しく生きてやるから。


 しかし本当のところ、色恋なんて面倒な事ばかりだろうと思っているのは事実なのだ。さっきの2人なんかはまださばさばしている方で付き合いやすいが、面倒くさい女ってのはいるからな……なんて、女性経験ゼロの俺が言っても説得力皆無だけどな。


 ホームで電車を待ちながら、心から俺は思う。今までそういう厄介な女に出会わなくて本当に良かったと。

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