3/5
治癒涙
遠い昔、友を救いたい、と願う猫がいた
「今日も頼むよ」
「またその涙を解析させておくれ」
とある医療機関、大きな水槽の前で、医師や研究者達が笑顔を作る。
『はーい、っと』
水槽の中、下半身が魚の様な青年は元気に答えた。
彼は治癒涙。
与えられた役目は“怪我を負ったものを癒す事”。
持っている力は“どんな怪我も治す事の出来る涙を流す事”。
彼は涙の事を知られ、研究者たちに日々研究されている。
怪我を負った仲間がいるかもしれない、という焦燥に毎日狩られながら。
自分の身体的ハンデを、わずかに恨みつつ。
彼は今日も、涙を流す。
「…………なぁ…もうなかなくていいかな…つかれたよおれ…」グタッ