アダルトテイストの映画を観にいった時
昔むかし、わたしと良人が結婚前で、まだ彼氏彼女の間柄だった頃、『ぼくの美しい人だから』を観にいきました。原作小説のある映画でした。スーザン・サランドン演じるプアホワイトの四十過ぎた女性と、ジェイムズ・スペイダー演じる三十前のユダヤ系で広告代理店で働くエリートが、出会い、恋に落ちるお話でした。
出会いのきっかけは、ジェイムズ・スペイダーの仲間の結婚前の独身パーティーで、没一のかれは、流されるスライドショーで偶然亡き妻の写真が混じっているのを見て、センチメンタルな気分になります。パーティーの途中で、ファストフード店でまとめ買いしたハンバーガーが入っていない空箱があると気付き、いいじゃないかと止める仲間を後に店に苦情を言いに行きます。その店で苦情を受けたのがスーザン・サランドン。返金してもらって、かれはまたパーティーに戻ります。ですが、パーティーがお開きになっても真直ぐ自宅に帰る気にもならず、一杯引っかけに、バーに立ち寄ります。そこに先程のファストフード店にいた中年女性がいて、二人とも酔いの手伝いもあって、コーヒーを飲もうと女性の家に寄ることになります。
几帳面で綺麗好きの男性の家に比べて、中年女性の家は乱雑に散らかっています。コーヒーが飲めないまま、男性はソファーでグーグーと眠ってしまいました。
ところがところが、眠っているところに中年女性が男性に迫ってきます。男性は女性の与える刺激に抵抗できず、関係が成立します。
体の結びつきから始まった恋が、様々なトラブルや葛藤を経て、今後の波乱を予感させつつ、ハッピーエンドとなります。
全く結びつくとは思えない、不釣り合いなカップルが、きっかけは体からとはいえ、真剣に相手を思いはじめ、原作小説では自分の知性に合うように相手を教育しようなんて無駄、そうなったら魅力を感じるだろうか、なんて考えたりと、恋愛パワーは不思議なものだよ、とコメディタッチで描いた素敵な映画です。当時ご存命だった淀川長治さんが褒めてた記憶があります。
で、恋のきっかけがきっかけだから、Rの付かない映画でしたが、やたらとベッドシーンが多い映画でした。恋は心だけでなくて、身も一緒に、とある程度解っているオトナはいいのですが、わたしの席の近くには、どうも母親に連れられてきたと思わしき中学生くらいの女の子がいて、ベッドシーンの度に驚いて、周囲を見回していました。もしかしたら、小学生の高学年だったかも知れませんが、それくらいの年齢なら保健体育の授業で基本的な知識や、好奇心での情報もお持ちなのに、こういったシーンにドギマギしているのね、かわいいなぁ、でもそういう気配を周りに振りまかないでよ、と思ったものでした。
これは可愛いなぁで済んだ例ですが、困ったもんだ、と思った経験が一回。
これはわたし一人で、『王妃マルゴ』を観にいった時のこと。当時は全席指定とか、上映ごとに全員入れ替えとかありませんでした。
とある、仙台駅の東側の今は無い映画館。スクリーンは二つ。一つは『ダイ・ハード3』、もう一つで『王妃マルゴ』。
『王妃マルゴ』を観ていると、途中から親子連れが四、五人入ってきました。どうも『ダイ・ハード』が満席で入れなかったため、もう一方の方に入ってきた感じ(次の上映まで待てなかったんだかどうか、ここらへんが間違いの元)。
『王妃マルゴ』も結構ラブシーンいうか、ベッドシーン多いし、宗教問題を含み、インモラルなご家族なお話で、親子連れで観るのには向いていません。
勿論字幕ですが、インモラルな会話をするし、殺人のシーン、ベッドシーン、母親が子どもに下向いてなさいと指示しているのが丸わかり。声を発している訳でないのですが、まあ、子どもに不向きと思われるシーンの度にやっているので、うっとうしい、だったら観にくるな、胸の内で悪態をついたものでした。
子どもと一緒に大人の映画を観る時は、事前に内容を調べましょう。Rがあるから駄目、いい、とは限らないのもありますよ。加齢臭と呼吸音がスゴイ親爺さん以外にも、色々あった経験でございます。