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豆腐の角で怪我するぞ  作者: 惠美子
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音を楽しめない

 歌を歌うのは好きでした。しかし、長ずるに従って自分は歌が上手ではないと知るようになりました。小学生の時の音楽の授業で、高音部・中音部・低音部各パート一人ずつ並んでの合唱のテストで、隣の子につられて音程がズレてると指摘されました。本人は一生懸命歌っているつもりです。また、学級全体の合唱でも前の列の子から、「大きな声で歌わないで。変な音程だから」とはっきり言われました。

 ああ、わたしは音痴なんだ、と歌好きなのに悲しかったです。

 家に帰って亡き祖母に歌が下手だと言われたことを言いました。

「おばあちゃんも歌が下手でねぇ。下手な子守唄を歌って聞かせると、子どもも音痴になると聞いて、自分では歌は歌わずに、お父さんにレコードを聞かせていたんだよ。

 でも、お父さんも歌はね……。お父さんは音楽を聞くのは好きになって、レコードをたくさん持っているでしょう」

 そんな話を聞かせてくれました。大人になって、わたしも子どもたちにはほとんど歌を歌って聞かせませんでした。まあ、子どもたちの歌は、歌手になるわけじゃないからいいか、ぐらいです。

 音楽を聞くのは好きですが、家族それぞれ好みのジャンルが違います。

 自分で歌が歌えないのなら、楽器を演奏できるようになろうとピアノを習いました。でも、自分の持っているピアノは古い型なので、今風の消音機能がなく、また後付けもできません。故に、家で弾くと、うるさい、今演奏しなくてはならないのか、と家族から苦情を受けるので、ろくに弾いていません。演奏も好きなのにとほほです。


 わたしの実家の隣、それも私の部屋が一番近かったのですが、一杯飲み屋がありました。カラオケを置いていました。夜毎、酔っぱらいのだみ声の歌声が聞こえました。被害はほぼわたしのみのようでした。ほかの家族の部屋は多少離れているので、実害が少なかったようでした。

 お金を払ってでも聞きたい音楽と、そうでない音楽、特にお金を払わなければ歌わせてもらえない程度の音楽は違うのだと、はっきりと知らされました。

 毎晩そんな歌を聞かされて、わたしの音痴は隣の飲み屋のおじさんたちのお陰なのかも知れません。

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