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豆腐の角で怪我するぞ  作者: 惠美子
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チャップリンのスピーチ

 テレビが壊れたので、年末に買い換えました。機能やリモコンの使い方を確認していましたらば、このテレビはYouTubeも観られるんだぜ、とアプリケーションを良人が説明してくれました。

 みんなして大喜びをして、幼い頃観た『ハッチポッチステ○ション』を観ようとか、検索を掛けようとしていました。懐かしいなぁ、としばし鑑賞して、意外と長い、野坂昭如の歌にしようとそっちも鑑賞しました。

 年が明けて、また家族全員が揃いましたが、各々リビングで勝手に過ごしていましたので、わたしはテレビを誰も観ていないならYouTubeを観てていい? とアプリケーションのボタンを押しました。

 この前観そびれた野坂昭如が大島渚にパンチしたシーンを観て、そしてふと思い出して、チャップリンの映画『独裁者』の最後のスピーチシーンを検索しました。この映画は結構めちゃくちゃな筋立てですが、ラスト六分間は心動かされます。

“I’m sorry”で始まるスピーチ。チャップリンものは著作権が厳しいというので多くは引用・言及しません。インターネットを使用できる環境の方は容易に検索できるので、そちらを参照願います。1940年にアメリカ合衆国で公開されたこの映画は、チャップリン初の完全トーキー映画。このスピーチを伝えたいがために、こだわりを持ち続けた無声映画ではなく、音声付き映画にしたとも言われています。当然、当時のドイツでは上映されず、日本やイタリアでも上映されませんでした。

 家族にもこのスピーチを教えたかったのですが、注目されず残念でした。唯一二男が、「この前の『新映像の世紀』で少しやってた」とチラ見しただけでした。(『新映像の世紀』ならわたしも観たもん)

 結構みんな嗜好がばらばらです。

 チャップリンの『独裁者』を観るにつけ、同時代の映画人レニ・リーフェンシュタールを思い出します。わたしは彼の女の映像作品を観たことがありません。歴史もののドキュメンタリー番組で断片的に観た程度です。ただ、ナチス政権下の芸術家の史料として、二冊ほど本を読みました。そのうちの一冊が『レニ・リーフェンシュタールの嘘と真実』(スティーブン・バック著 清流出版)でした。読み終わった時は手塚治虫の漫画『人間昆虫記』の主人公十村十枝子みたいな女性がいたんだなぁと感じました。

 勿論、『人間昆虫記』の方が後ですし、フィクションですが、交際する人物の知識や技術を身に付けていき、そしてまさにその人を踏み台にして社会的にのし上がろうとする姿が似通っているようでした。

 しかし、リーフェンシュタールのしてきたことに清々しさは感じませんでした。ナチス政権に近付きすぎたから、ではありません。当時のドイツの人たちがそうだったように、ナチス政権を支持し、その庇護を受けて映像作品を作り続けた。

 しかし、映画の撮影のために強制収容所に収容されていたロマ族の人たちをエキストラとして使い、しかも無給で、撮影が終われば強制収容所に戻しました。撮影に貢献したのに、ロマ族の来し方行く末に何も干渉しなかったようです。ロマ族はユダヤ人と同じようにホロコーストの対象でした。

 同じドイツ人でもナチス政権に反感を抱いてアメリカ合衆国に移動したマレーネ・ディートリッヒがおり、イタリア人の指揮者トスカニーニはムッソリーニ政権に抵抗して、同じくアメリカ合衆国に活動拠点を移しました。

 そして映画『独裁者』を制作したチャップリン。

 リーフェンシュタールは歴史上の人物として比較される人間が多すぎて逆に作品が評価し難くなっているのかも知れません。でも、好ましい性格の女性ではない、多分女に嫌われる女の典型なのだと思われます。

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