クマノミで、思い出した話
生物の繁殖方法は種により様々です。体内で受精する生物、体外で受精する生物がいますし、雌雄が生まれつき決定している生物、そして成長過程や環境で雌雄が変化する生物がいます。
哺乳類は生まれつき雌雄が決まっていますし、体内で受精します。ミジンコは雌が単性生殖というか、クローンである娘を生むようになっていて、環境変化で遺伝子にバリエーションを付ける時に繁殖に雄が必要となり、受精するそうです。
子どもがチビ助の時に、カクレクマノミを主人公にしたアニメ映画があって、わたしは観にいかなかったけれど、良人が子ども達と観にいきました。
人間に捕まったカクレクマノミが逃げ出す話だったよ、と教えてもらいました。粗筋を聞くと、母が死んで、一つ残った卵から孵った子どもが人間に捕まり、父が探しに行く、子どもは子どもで水槽からどうやって脱走しようかと考えるという内容のようでした。
カクレクマノミは性転換する魚じゃん、イソギンチャクという狭い縄張りのボスである雌が死んだのに、どうして残された雄が雌に変化してボスにならないのか、そこは子どもに訊いても仕方がないのですが、ツッコミどころです。
クマノミさんは特殊な粘液が分泌されるのでイソギンチャクの毒にやられないようになっていて、イソギンチャクに守られるような形で暮らしています。クマノミの雌が一番大きくて、次が雄、そのほか一緒にいるクマノミは性的に未成熟だったりするそうです。体の大きな雌が卵を産み、雄が受精させる。何らかの事情で雌がいなくなれば、雄が性転換して雌になって一番エラクなり、次の大きさだったクマノミが雄に成長していくそうです。
生物の在り方は一通りではありません。
ホームセンターの隣にペットショップが設けられていて、やはり子ども達がチビの頃は買い物ついでに見物していくことが多かったですね。
お魚のコーナーにオレンジ色も鮮やかなカクレクマノミがいて、これは人工繁殖ものなのでしょうが、映画の影響でペットとして人気が出たとしたら、なんとも皮肉なことだと思いましたね。だって映画の主人公たちは海に戻るのでしょう?
アライグマのアニメ番組の時もペットして人気が出たものの、意外と飼うのが難しいと捨てる人が多く、外来種が日本で自然繁殖していると問題になっています。アニメ番組の主人公も終わりの頃には庭に大きな檻を作っていました。それだけ行動範囲が広い動物なのでしょう。そして何より、母を失った野生のアライグマの子どもを拾ったのが飼い始めるきっかけでした。主人公の住む土地の森には元々野生種で生息しているから、そこに捨てに行ったのです。
『小鹿物語』は日本人に受けない物語のようですが、野生動物を飼いならせなかった場合の対処は、結局悲劇になるのだと知らなければならないのでしょう。
クマノミについては、竹内久美子『賭博と国家と男と女』(日本経済新聞社)を以前読んだ記憶を頼りに書きました。庶民は一夫一婦制のカカア天下が平和なの、とトンデモなお話なのであります。