「ナポレオン」
「ナポレオン」ときいて、「黄色いサクランボ」を連想する人は少ないかと思います。
現在、桜桃の品種として有名なのは「佐藤錦」です。ほかにも色々な品種があるようですが、「佐藤錦」が知名度でトップでしょう。
大昔の昔、「佐藤錦」のほかに、「ナポレオン」がありました。「佐藤錦」よりも実が大きく、ただ果実の皮はあまり赤くならず黄色く、酸味の強い味でした。サクランボの実自体大きくありませんから可食部が多いといっても大したことありません。生で食べる果物である以上、甘い方に好みが集まっていきます。今では「ナポレオン」を見掛けなくなりました。
今でも「ナポレオン」は栽培しているのだろうか、と疑問がありましたが、桜桃の交配に必要なので、その分、木は残っているということでした。
それにしても、どうして「佐藤錦」という名前なの? と質問をした時、漢字を知らなかった頃の子供のわたしに、「砂糖のように甘いから、サトウニシキというのだよ」と嘘を教えてくれた大人がいました。けっこう長い間信じていたんですよ。大人は天真爛漫な子供に嘘を教えちゃいけません。
山形の商品作物の紅花が、明治維新以降海外の人工染料に押されて廃れていったため、それに代わる農作物はないかと、当時の初代山形県令が西洋の果物の試験栽培を試みました。その果物の中の一つが西洋実桜、サクランボでした。
その県令は九州出身で、後に鬼と呼ばれます。