淑女のイケナイ愉しみ
年を重ねるとあざとい題名を付けて面白がるようになってしまうようです。
『コードネーム U・N・C・L・E』を観てきました。二十何年かぶりの『ナポレオン・ソロ』、当然監督、脚本、配役は様変わりしているのですから、ベツモノです。マッチョなソロとクリアキン。ややスマートさに欠けますが、マッチョでセクシーな新たなコンビは楽しかったです。バディものって最近はいうのですか? 年代は冷戦中の1960年代、ソ連のみならず、ベルリンの壁も出てきます。
失踪した原爆開発者の娘が東ベルリンに残されていて、その女性ギャビーをCIAのソロが西側に連れ出そうとするのが出だし。それを阻止しようとKGBのイリア・クリアキンが挑んできますが、なんとか脱出。
ところが、上部の取り決めで、ソロとクリアキン、そしてギャビーの三人で、イタリアへの潜入捜査を行うことになって……。
といったお話です。アクションも、ファッションも楽しませてくれます。忘れちゃならないのは悪の組織の美女ですね。出てきてソロに絡みます。
サングラスを掛けていたので最後まで気付きませんでしたが、謎めいたイギリス人役でヒュー・グラントが出ていました。役の所為もあるだろうけど、老けたなぁ。
スーツ姿がぴしっと決まったダンディが一杯出てきて、そちらも眼福。いいなぁ。
ソロとクリアキン、相性が悪いようで、有能な同士うまい具合に危機をしのいで進んでいきます。ラストシーン、バルコニーで二人飲み交わしているのもいい感じ。
そこで思い出したのが、昔読んだ生物行動学の本、『女だけが楽しむ「ポルノ」の秘密』(キャスリン・サーモン&ドナルド・サイモンズ著 新潮社)です。スラッシュ小説って聞いたことがありますか? 日本の「やおい」、「BL」に相当するようです。ただ海外では登場人物の年齢が必ずしも少年や青年ではないので、ボーイズではなく、メンズという感じですね。
日本ではカップルというか組み合わせに「×」を使うけれど、欧米では「/」を使うのでスラッシュ小説。どうして、1970年代頃からUSA、イギリス、ドイツ、オーストラリア、そして日本で、女性たちが男性同士の組み合わせの愛情を描く二次作品(当然オリジナルもあります)を書き、読むのか、男女の性行動の違いから考察していった本です。小難しい話は置いていて、スラッシュ小説のバリエーションに、『スタートレック』のカーク船長とミスター・スポックがあるというにはひっくり返りそうになりますが、そのほかの作品で、ナポレオン・ソロとイリア・クリアキンがいるというのにはなるほどね、思いました。新作の「ナポレオン・ソロ」が出たことで、またスラッシュ小説界が盛り上がるのかも。くすくす。
信じてもらえないと思いますが、わたしはBL愛好者じゃありません。好んでその手の作品を読まないし、書くのは一遍挑戦してみたけれど、ぜ~んぜ~ん駄目。面白半分にLGBTを扱うのは失礼だわ、と実感したのでした。