ヲタクな家族
幼少の頃、アニメ『アルプスの少女ハイジ』を毎週日曜日観ていました。しかし、父は別の局で放送している『宇宙戦艦ヤマト』を観たかったのでした。SFに興味のないほかの家人は父に理解を示さず、わたしの希望を優先させてくれました。テレビが一家に一台の時代です。CMの間だけチャンネルを変えさせてくれ、今回は最終回だから、とか色々とチャンネル争いをしたものです。
最終回はなんでか、『ヤマト』の方を観た記憶があります。ストーリーが全く解らず、あの女の人死んじゃったの~とか、宇宙葬をするシーンであれなに~とか、視聴をさんざん邪魔しておりました。
父方の祖父母と両親、わたし、弟と一つ屋根の下で暮らしていて、祖父母や両親の本棚を勝手に覗いて、本を持っていって自室で読んでいました。祖父母は時代小説が好みのようでしたが、父は時代小説だけでなく、ミステリやSF、コミックも好きでした。母は当時割と実用書が多かったです。
SFはあまり好みではなかったのですが、父の蔵書のお陰で、SF小説の古典的な代表作の題名とだいたいの粗筋を知っていたりします。
後年、良人がトム・クルーズ主演の『宇宙戦争』のビデオを借りて観ている時に、ついネタバレをしてしまい、こっぴどく叱られました。こんな有名な作品のオチを知らないなんて、こっちも思ってなかったんですよう。
今の自宅で、家族とテレビアニメを観ていて、『銀魂』の中で、サイコガンが出てきました。長男は何のことか解らない。親の世代の良人とわたしは『銀魂』が何を元ネタにしてギャグを展開しているか知っているので、「昔から少年ジャンプには義手の男が出るのが伝統だ」と説明しました。解ったような解らないような、昔『コブラ』という漫画があったらしい、と長男は一旦引き下がりました。
その後、良人と長男が父を誘ってスキーに行って、わたしの実家に寄って帰ってきました。
「山形のおじいちゃんから『コブラ』を借りてきたよ!」
と、長男は段ボール箱に寺沢武一の『コブラ』を全冊詰めて持ってきました。
こうしてヲタクって遺伝というか、伝染していくんだよな、と思いました。二男も父から夢枕獏の『陰陽師』シリーズを借りたりしてますので、もう図書館替わりです。
おまえだってヲタクだろうと言われれば、ヲタクじゃなきゃこんなに歴史や民俗の本を買いこまないし、小説書こうなんてしませんよう、と開き直るしかありません。