蔵王キツネ村に行ってきました 其の二
扉を開けて進みますと、おお、別世界。狐が歩いています。檻の中ではない場所で昼寝しています。
繰り返しますが、晴れていて、暑い日でしたので、狐はのんびりとぐたーとなっているのです。それでも人間が気になるのか、ちょこちょこと近くまで来て様子を窺うような感じでまたさっと向こうに行ったりと何匹かは動き回っています。
元々狐が生息していたらしい場所らしく、坂や狐岩と呼ばれる大きな岩、巣穴を埋めた跡など色々あります。人間用の通路と狐生息域と分けられていて、マイペースで歩き、狐を観察しました。二男は随分と写真を撮っていました。
小さなお稲荷さん神社があり、昔ばなしで、この辺を通る商人が子ぎつねに魚を与えていたところ、道に迷った時に女の人が現れて我が子が世話になっているからと道案内してくれた、それ以後商売繁盛したなど由来が記してありました。
広場中央に餌やりのための大きな台が作られています。人間のための休息所でもあるそうです。中に入って、狐用の餌を買いました。カルパスをもっと細くしたような感じのものです。
狐が鳴き声を上げています。当然、こんこんだけでなく、いろんな鳴き声を聞かせてくれました。
「狐って犬の仲間だよなぁ」
と良人が言いました。
「確かイヌ科だったよね」
キュウンとかケーンとかほかに、ワンワンに近い鳴き声までします。餌を取り合って喧嘩しているようです。
餌をやる場所は、狐が飛びかかってこないような安全策なのか、高い位置に作られています。下にいる狐に向かって餌を投げる訳ですが、人間が餌をくれると解っていて、待ち構えていて、こちらが手を上げると後ろ脚だけで立つ狐がいます。
「スマホで動画を撮るから待って」
と良人が言い出したので待っていましたが、なかなか操作がうまくいかないようです。
「狐が疲れたみたいで可哀想なんだけど」
「ちょっと待って」
狐に気を持たせ過ぎて、くたびれたらしく、今度は後ろ脚だけで立てません。
餌を期待して可愛く見詰めたり、気が早く口をアーンして牙を見せたりと、こっちが意地悪しているみたいじゃないですか。
家族連れのお子さまたちは、あの狐にやるんだと投げたりしていますが、うまくお目当ての狐が食べた、食べられなかったと声を上げつつ、大はしゃぎしているのでした。
餌やりを楽しんだあとは、またぐるりと回りました。子ぎつねの檻の前で色々と観察です。アカギツネ、ホッキョクギツネ、アオギツネ、十字ギツネ、キタキツネ、プラチナギツネと色々と種類がいるんですねえ。こうして見ていると可愛かったです。お昼寝ばかりでなく、チョコチョコと動き回りじゃれ合ったり、側を通る大人の狐に群がったりと、おチビさんなりに行動していました。
「結構繁盛しているだなぁ」
と良人が感想を言っておりました。外国の方も見物していました。
「日本で動物を見るなら兎の島、猫の島、キツネ村らしいよ」
など付け焼刃の知識など教えました。
売店コーナーでも二男は貼りついておりました。わたしはグッズにはあんまり興味がなかったので、『キツネの運来』という竹炭入りのドーナツをお土産に買いました。以前に食堂をやっていたようですが、現在はカップラーメンや缶やペットボトルの飲料を販売しているのみです。それでもかき氷をやっていました。
キツネ村を出た後は、帰りは良人の運転に代わり、七ヶ宿町の自家製の蕎麦粉を使っている蕎麦屋さんに行き、お昼としました。
冬にも行けたらな、と思いました。




