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豆腐の角で怪我するぞ  作者: 惠美子
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あこやの松に木隠るる月

 大昔、『奥羽永慶軍記』という本の、駒姫に関する部分だけ拾い読みをしたことがあります。伊達政宗から最上義光へ和歌が送られ、義光も甥へ返歌を返しました。和歌の内容は、山形市内にある歌枕、千歳山のあこやの松に関するものでした。

 丁度山形では義光の二女の出産がありました。奥方は、和歌にちなんで娘に「千歳」と名付けましょうかと提案します。しかし、義光は「昔、千歳の前という女性がいたが、よくない人生だった。山にちなむのなら別の山にした方がいい」と言って、駒と名付けたとありました。

 この話が本当なら、伊達政宗は従妹の名付け親になるところだった訳です。そして和歌が送られてこなかったら、山にちなむ名前ではなく、長女・松尾姫に続いて、竹の付く名前にされていたかも知れません。

 姉妹の名前が松竹梅となると、『犬神家の一族』の意地悪おばさんシスターズを連想して、ちょっと怖いです。

 娘の名付けの後のエピソードとして、義光は連歌の会を催そうと城下に呼びかけますが、城下の商人たちが、「樫の木なら知っているが、れんがしは知らない」と言って応じなかったので、会はお流れになりました。

 たまたま今年の六月に、山形大学で『最上義光シンポジウム』なる市民向けに講座がありましたので、参加した折、講師をなさった郷土史家の片桐繁雄先生に、「このエピソードは当時の山形の文化程度を示すものか、何かの権力批判なのか」とお伺いしました。

「このエピソードは真実ではない。義光の父の義守の代から山形の城下で連歌の会は催されているので、山形の文化程度を(伊達家に対して)低く見せている」と教えていただきました。


 で、肝心の和歌ですが、片桐繁雄先生の講話の『文化人大名 最上義光』の資料の中に引用されていました。


 恋しさは秋ぞまされる千歳山の阿古屋の松に木隠れの月  政宗


 恋しくばたづね来よかし千歳山あこやの松に木隠るる月  義光


 短歌はたしなまないので、何とも言えませんが、下手ではないが、上手くもない、という感じでしょうか。

 山形の「あこやの松」は異類婚姻譚の類で、松の木の精霊と愛し合ったあこや姫の名前からきています。今の山形県庁の近くの千歳山の伝説です。

 幼い頃からあこや姫のお話が大好きでしたし、そのほかにもあこやの松をめぐる不思議なお話があって、それを基にして幻想的なお話が作れたらいいなぁと考えることもあるのですが、どうにもうまくいきません。


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