エ、アロール
「エ、アロール」、確か、フランスの故ミッテラン大統領が、愛人や隠し子がいることをマスコミに尋ねられて、答えた時の言葉。
「それが、どうしたの」
実際、愛人も隠し子もいたんだけど、そんなことわざわざ訊くなんて野暮天、といった雰囲気で終わったインタビューと伝わっております。
フランスやイタリアあたりの政治家は違います。イタリア語の翻訳や通訳をしている田丸公美子が、とある女性通訳にメモが回ってきてなんだと思って読んだら、「君の唇の動きがセクシーだ」とか書かれていたとのエピソードをお話していました。国際会議中に通訳を口説く暇があるのかいな!
別にフランスやイタリアなどのラテン系の情熱の話をしたいわけじゃないんですが、「へえ、それで?」と言いたくなったことってありませんか?
伝記とか評伝、またはエッセイなどを読んでいて、とある男性方、まあ芸術家の方々が多いんですが、「かれは女性を愛さなかった」とか、「周知の事実であったが、かれは同性にしか興味を示さなかった」とか、たっまぁに出てきます。
それを読んで、「ええーっ、ショック!」と感じた経験がないんですね。逆に「ああ、それで?」、「ふうん、やっぱりね」と感想を持ってしまいます。たまに「えっ、この人も」という時がありますが、それはがっかりとは違います。
逆に、配偶者と子どもがいたと判明して、「えっ、この人、同性としか恋愛できないと思っていたのに!」と驚いたことがあります。(そういう人でも結婚するんだよ、とかノンケ男性に諭されるってなんでしょうね。いえ、バイなら結婚も納得ですが、世間体の為なら相手が気の毒)
LGBTの方々に対して、偏見は持っていないと自分では思っています。それは傲慢だし、もっと実際を知りなさいと言われましたら、反省し、勉強します。
ただ、ジャン・コクトーやらヴィスコンティ、三島由紀夫の世界を映画や書籍で目にしますと、ヘテロセクシャルだけの人間より美しさへのこだわりが違うと感じてしまいます。(ほかにもそういう芸術家さんもいらっしゃいます)
内面よりも外面の美しさへの追求と言いますか……。
凡庸な容姿に過ぎないわたしなんか、目の前に居たって、ないものと扱われそうなくらい厳しい審美眼をお持ちだったのではと思います。
美学というのも一通り習ったは習いましたが、よっくとは解らないものです。




