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最終聖戦の終わるその夜に(仮題)  作者: 浅羽 楽平
第1章『光の因子』
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prologue-光の胎動-



とある青年は人の手によって作られた地下に存在するダンジョンを進む。



「うひゃあ、ジメジメしてて暗いな……。こういうのは俺は苦手だよ」



青年ことオウルはギルドからの依頼を受けてこのダンジョンへとやってきた。

歴史的遺産建築物に盗賊が蔓延っていてそのために遅々として研究が進まない、というのが依頼の旨である。



ここは研究所跡地、かつての王国が最高の技術者を集めて創り上げた科学的にも歴史的にも重要な財産である。

そんな重要なものを荒らすことは極力避けるように、と偉い人オウルは厳しく言われている。

少しでも荒らせば彼の生活も厳しくなるわけなので地面に落ちているもの一つ一つに注意を払って進むことになる。



「それでさ、リィナ。俺の後ろにくっつくのを良い加減にやめてくれないか?」



オウルは物音にいちいち反応して「キャッ!!」とか「ひぃっ?!」とか叫いて気を散らしてくる。

後ろの蝉へと声をかけた。

そしてオウルは連れであるリィナの方へと向きなおす。



「えへへ、へへへ……。ヤダ……」



笑って誤魔化し、そこからの拒絶。

それは順番が逆なのではなかろうかと思うオウルだがなんとか平静を取り繕う。



「……ヤダ、じゃねえよ。マジで報酬が落ちるから気を散らさないでくれ」


「いいじゃん、ちょっとくらいさ。ね?」



オウルを見つめてリィナは抵抗する。



「そのちょっとが大事だってのにどうしてわからないかなぁ!?」



流石にその言い分に堪忍袋の緒がきれてしまったらしく、オウルはついつい声を張り上げてしまった。



「う、うるさいよぉ……」



耳を抑えて小さく抗議するリィナ。



「なんだお前ら!」


「ぶ、武器を捨てろ!」



あまりの二人の騒々しさに駆けつけた盗賊の下っ端らしき奴らがオウル達に呼びかける。



「やべえ、見つかったぞ……」


「オウルの所為だよ!」



盗賊を無視して二人の痴話喧嘩が始まる。

流石にそんな状況にしびれを切らした盗賊の一人が痴話喧嘩に割り込む。



「ええい、二人で勝手に盛り上がるな!」



その勢いに乗じて他の盗賊が言葉を続ける。



「俺たちは寛容だからもう一回だけ忠告してやる。持ち物を捨てて此処から逃げるか、此処で捕まって死ぬか選べってんだよ!」


「……へえ」


「……っ!?」



オウルの雰囲気が突然に変わった。

戦闘慣れしていない者だとしても、それは分かりやすいほどの変化だった。



「嫌いじゃないぜその態度。それじゃ、その寛容さに免じて一瞬で叩きのめしてやるよ」



ニヤリと笑うと先ほどまでの様子とは一転し、一振りのロングソードを構える。



「……オウル?」


「いつも通りのだ」



二人で何を通じ合っているのかは分からないがリィナはオウルの言葉に頷くと短い言葉を返した。



「はぁい」



刹那、リィナの瞳がギラリと光った。

もちろん実際に眼光を放ったわけではない。

ただ、そのおびただしい量の殺気の所為で盗賊にはそう見えたのかもしれない──。







同時刻、薄汚い男が薄暗い不気味な空間でなにやら機器を動かす。

突然扱う機器からスパークが迸るが別段気にした様子もなく男は作業を続ける。


幾分程過ぎてからか、突然壁から大きな音がして筒状の冷却装置が現れた。

ガラス状の筒の中には一人の少年が入っている。



「……ほう、これが最初で最後の非正規型の光子(ひかりご)、か。古い魔導凍結筒(マジカアィズポード)に入ってたから大丈夫か心配だったがこの様子だと保存状態は良いな」



男は気色の悪い笑みを浮かべると機器を再びいじり始めて作業を再開した。



「ここは……?」



自動でガラス状の筒のが開き、少年が起き上がる。



「……っな、壁から出したら自動的に睡眠が解除される仕組みだったのか!」



作業を続ける男は苦虫を噛み潰したような表情をして状況を理解する。



「くっ、商品となるモノにあまり使いたくはない手段だが……」



男は腰に隠し持っていた小さな棒を取り出し少年に向けて何かを唱える。



「スレプトミスト!」


「……っ!」



突如現れた青白い光球に少年は反応し、それを難なく回避する。



「避けただとっ?! 流石最後の光子、ネストウェアの亡霊なだけはあるか」


「……此処は?」



ぶっきらぼうに男へと尋ねる。

少年の瞳には光が宿っておらず、男にとってそれは途轍もなく恐ろしく見えた。



「こ、此処は旧アールグ王国立神聖教会研究所跡地だ」



男は尋ねられた内容について答えつつも苦虫を噛み潰したような表情をさらに歪ませて焦っていた。



(このままだと大事な商品を逃がしかねねぇ、傷物にはしたくなかったんだがな……)


「これで眠れ、エアショック!」



男は改めて魔術を発動させて真空の塊を少年に飛ばす。



「……?」



しかし、それはいとも容易く避けられた。

そして……。



「敵対勢力と認定、排除する」


「っな!」



少年は言葉を言い終えるとともに姿を消した。

いや、尋常じゃない速さで空を切り、男の後ろへと移動したのだ。



「ゴフッ……」



男は口から血を吹き出し、静かに崩れ落ちる。

先ほどまで男が握っていた短な棒が自身の心臓を貫いていた。



「……目標排除」



少年はその一言を言い終えると石像になったかのようにピクリとも動かなくなった。

今の彼は人間にあるべき欲求を持たないただの操り人形である。


そして一人の青年の物語が交錯し、物語が始まる……。


プロットが出来上がってないので、完成させてからある程度書き上がり次第続きを投稿します。

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