World of Paradigm-RecordsⅠ
パラダイムレコーズの第一回設定集。随時更新有。
《UNDERLINEとIllTrick》
IllTrick:旧名「アンチシオラー」
正式名称:Metalogic Abnormality Presence(MAP)=超論的異常存在
超常現象、異常物体、特異生命体などの不可解的概念の総称を指す。
『概要』
社団UNDERLINEはMAPを主とした異常な物品、存在、現象を封じ抑え込むこと、利用し人類の発展につなげること、排除し本惑星の脅威を防ぐことを任務として、秘密裏かつ世界規模での活動を行っている。それらの不可解存在は世界の安全に対する重大な脅威であり、社団の活動は主要各国の政府から委任され、管轄権を越える権限を認められたもの。
社団の活動は正常性を維持するためのものであり、世界中の一般市民が異常に対する恐怖や疑念を抱くことなく日常を生きることができるよう、地球外、異次元、その他の超常的存在が及ぼす影響からの人類の独立を維持する。
任務を遂行するべく、社団は世界中や惑星外に渡り秘密裏に活動を行っている。
社団の任務は3つの要素から成る。
・研究調査(Research)
社団は全世界及び地球外にて発生しているイルトリックを調査し、監視するか、安全性と研究対象として保護・収容するか、処理対象として破壊するかを選別する。イルトリックをあらゆる学問分野的に研究し、その性質と挙動を理解し、それらに基づいた新しい科学的理論を考案する。そして、今後の科学技術に応用できるように人間に合った形で法則化・技術化させる。
・管理保護(Protect)
イルトリックが一般市民や対抗組織の手に落ちることを防ぐため、広域に渡る監視活動と通信傍受を通じ、可能な限り早期に確保する。
異常存在の影響が拡散することを防ぐため、あるいはそれらに関する知識が公衆に流布されるのを防ぐため、移送、隠蔽、分解などによりイルトリックを管理する。
・破壊処理(Disposal)
原則、イルトリックの無力化・破壊を行うのは最後の手段であり、その不可解現象を管理し続けることがあまりに危険すぎると判断した場合に限られた選択肢であるとされている。
また、人類や地球環境に脅威となる影響を与える、あるいは与える可能性が大きい場合も該当される。
UNDERLINEは第一地球に本社と支部1社、第二地球に支部1社、宇宙圏に支部1社の計4社存在する。調査対象の未開惑星にも極秘で管轄施設はあるが、第一地球のUNDERLINEの一部が管理している。
尚、本社は支部局内でもそれそのものを機密事項にしており、位置情報・業務内容・人員等を知ることはUNDERLINEでも一部の人にしか知られていない。
『システム』
・情報セキュリティ
社団の活動は原則、最大限の秘匿性を伴う。一部を除き全ての職員は「知る必要性に応じて情報を細分化し、必要のない情報にはアクセスしない」という情報セキュリティの原則の下、セキュリティクリアランスレベルに従わなければならない。社団のセキュリティ規約に違反する行為が発覚した職員は即座に特定され、拘束ならびに懲戒処分を受ける。
・特別管理プロトコル(Special Administrative Procedures)
社団は対策プロトコルが必要となるイルトリックに関する情報の膨大なデータベースを管理している。社団のデータベースはそれらイルトリックについての概要と、違反を始めとする事件が発生した際に安全な保護・管理を維持・再確立するための緊急手続きを包括したものである。
『職員の分類』
DMSO(国防治安維持部門)の中でもイルトリックオブジェクトの種類によって対象部署が異なる。
職員は危険な不可解物体・存在・現象への潜在的な近さに基づいて分類される。
"UNDERLINE第一支部局"
・総統括(支部長):リチャード・アルベルグ(♂)
血族よりも深い『意志』を代々継承された、UNDERLINE各社長の座に就く最高機密重要人。社長のみが、イルトリックや社団の機密情報と開発能力『Calma』の原案(人類の可能性開発術であるBHOの設計資料)を認知している。原則、社内から外出することは許可されておらず、『代理体』を用いて外出する。
1.防衛科学研究部門(The Defense Sciences Office(DSO))
Chief(最高責任者):ウィルマン(♂)
イルトリックを総合科学的に研究し、人々の理解の範疇に収めることと機能化・法則化を目的としている。
2.情報処理技術部門(The Information Processing Technology Office (IPTO) )
Chief(最高責任者):ソメナス(♀)
情報通信的に社団のサポートを行うことと、ネット回線・無線電脳域などの第三次元時空間以外の非物理的として干渉できない位置に存在するイルトリックの対策を実施する。
3.機械工学開発部門(The Mechanical Engineering Office(MEO))
Chief(最高責任者):コーラン(♂)
イルトリックの機械工学的研究・分析を行う。また、イルトリックの機能性を利用し、対イルトリックの確保・破壊専用武器を製造する部署でもある。
4.航空先端研究部門(The Advanced Aerospace Office(AAO))
Chief(最高責任者):ライベルト(♂)
第一地球、第二地球管轄外に存在するイルトリックを研究調査する部署。宇宙空間や太陽系外にて発生する不可解現象の観測、採収をも行う。
5.応用物質製造部門(The Application Matter Production Office(AMPO))
Chief(最高責任者):セガロ(♀)
研究されたイルトリックのデータと素材をもとに対イルトリックの道具や施設拡張のための素材を製造し、かつイルトリックとは別の新物質を合成・加工する部署。ダミー会社である国際防衛科学技術研究局『ゼネラルライン・ダイナミクス』と繋がりを持つ。
6.特別支援開発部門(The Special Projects Support Office(SPSO))
Chief(最高責任者):タウンティ(♀)
唯一イルトリックとの接触が禁じられている、部隊を持たない部署。他のオフィスの支援や職員の肉体的・精神的サポート、社団の管理維持を目的とする。
7.国防治安維持部門(The Defence Maintaining Security Office(DMSO))
Chief(最高責任者):フィニジャンク(♂)
社団の中で最大の軍事力を持つ対イルトリック特殊部隊が所属する部署。ハザードランクB以上の確保困難なオブジェクトの回収あるいは破壊を目的とする。また、厳重な管理や危険な実験を行う際にも立ち会う。また、イルトリックの破壊処理に特化した全20隊+10軍+3帥から構成されるエキスパート"特別対策課"が存在する。
以上のオフィスの部隊の中でもクラスごとに分類され、それぞれAからEまで存在する。尚、DMSOは全員クラスCとして適合試験を必ず受けなければならない。DMSOは更に4thから1stの4段階に区分される。
・Aクラス 重要職員
社団の活動・運営上、重要と考えられ、いかなる状況下でもイルトリックに直接接触することが許可されない職員である。Aクラス職員がイルトリックに直接接近せざるをえない状況 (施設に収容ユニット、実験ユニットが存在するなど) では、そのような不可解現象を取り扱う施設周辺にアクセスすることは原則許可されず、常に安全な場所に居なければならない。緊急事態のもとでは、Aクラス職員は即座に指定された安全区に退避しなければならない。G10(Guideline of Ten)議員と各総統括及び社長副社長は常にクラスA職員である。
・Bクラス 研究職員
各地での社団の運営上、重要と考えられ、検疫や心理鑑定、精神影響効果やミーム的効果等の適応試験にパス(Bクラス以上も同様)した上で、回収されたイルトリックへの接触や実験、データ収集のみ許可される職員。違反事件や社団施設に対する敵対的な攻撃が発生した場合は、Bクラス職員はできる限り迅速に指定された安全区へ退避しなければならない。研究者、技術者などの専門系職員が該当される。
・Cクラス 実行職員
ほとんどのイルトリックに直接接触するかつ対イルトリック術"カルマ"を得ている職員。物理的危険を伴うのみならず、イルトリック域であるリプロダクトに干渉する、イルトリックと接触するなどの原因によって精神影響効果やミーム性の可能性も非常に大きくなる。その為、適応試験の義務に従い、必要とみなされれば担当者によりカウンセリングを受けることになる。
また、エキスパート含むDMSOはすべてこのクラスに該当し、DMSOに所属する場合、直ちにBHOの施術、適合試験をパスしなければならない。保護違反や社団施設に対する敵対的な攻撃が発生した場合、管轄全域での違反やその他の破滅的な事件の場合、Cクラスの非戦闘員は施設のセキュリティ担当者の判断により安全な封鎖エリアへ報告するか退避することになる。
必要に迫られた際には、適切な状況で、それ以外の出所、政治犯や難民、その他の民間から社団が身柄を確保することを許可するプロトコルが施行される。Cクラス職員はイルトリックと直接接触することが頻繁であるため、標準的な心理鑑定を義務付けられ、毎月の終わりに施設のセキュリティ担当もしくは医療担当者の判断のもと、個人に対応した措置を取られる。必要に応じ緊急治療を受けるか、強度の記憶処理、最悪の場合「解雇」を実施される。
・Dクラス クローン、アンドロイド
Dクラス職員は、特別危険な現象を制御することに消耗される職員である。基本的に、遺伝子設計されたクローン体か量産自律ロボットなどの人間代理として侵入不可、極危険地帯の事前調査等に用いられる製造兵。月に一度、必要以上の知能を身につけることを防ぐために記憶処理を施される。また特異例として収容している異常患者から徴用されることもある。
・Eクラス 疾患者、強制収用者
Eクラス職員は暫定的な分類で、異常物体・存在・現象に対して肉体的・精神的等の深い影響を受け、何かしらの傷害・変異・症例を来した、また安全を確保し初期の収容を確立する際に危険に曝される可能性のある職員に適用される。Eクラス職員の疾患者に該当する者はできる限り迅速に検疫を受け、監視され、行動や人格、精神に有害な変化が無いか検査され、ひと通りの事情聴取を受けた後、心理療法士と医療スタッフによって完治できた場合のみ、職務に復帰することになる。いくつかの要因で再起不能だとみなされた場合、強制的に収容されるか、プロトコルに基づき適した処分を下される。
『施設所属課』
・特別対策課
DMSOの選抜された特殊対策課のことを指す。エキスパートの主な役割は2つ。第1は、異常物体・存在・現象に対して安全を確保し初期の収容・処理を確立するために異常な活動を確認し、移送あるいはその場で処置を施すことを依頼され、完了すること。
もう一方は、エンジニアや技術者から受ける依頼で、社内でこれらに対する設備や実験の立ち合い、スキームの考案、精緻化、維持の他、事務的な協力を依頼されること。
DMSOがスペシャリストと分類される中、特策課はエキスパートエージェントとして編成された少数精鋭の特殊部隊と捉えてもあながち間違いではない。以下はスペシャリストとエキスパートのクラス階級を示したものである。
・4th 下級隊員
主に視察団や調査隊、社内の護衛を担当する、支援中心の階級。非戦闘員もここに多く含まれるが、入社初期の場合、戦闘員でもこのクラスになることは少なくない。
・3rd 中級隊員
大抵の戦闘員がこのクラスに所属される。優れた支援員もここに属されることはある。イルトリックの取り扱いを熟知しており、一人から数人で破壊処理できることが条件。
・2nd 上級隊員
破壊処理に特化し、かつ管理確保・研究調査も習得している者がここに所属される。人間の範疇を越え、一人でも容易にイルトリックを対処できることが条件。多少の例外はあるも、エキスパートは全員2ndである。
・1st 最高戦力
UNDERLINE最高戦力であり、「特級危険人物」として特例認定されている者。その異常なほどまでの実力は最早人間や生物の域を越えており、各国の最先端技術をもって造られた軍兵器を揃えたとしても太刀打ちできない、イルトリックとはまた違った異常存在である。単独でハザードクラスCのイルトリックを破壊処理できる、いわばひとりで人類を殲滅することができるほどの戦力をもっているため、自由な行動は社団と政府より厳重に規制されている。
現在3人のみであり、ファティナ・オリジン、ガスターディアル、パルシェット・Tが所属している。
尚、以上には階級ごとにランキングを設けており、イルトリック適応力と単純な戦闘能力、またはサポーターとしての優秀さがあるかを規準にしている。これを案として直接申し出たのは現在2ndランキング三位のインコードであり、管轄課を無視してG10議会議員に直接頼み込んだという問題を起こしている。
・研究課
研究員は社団の科学的な部門で、法の下を除外した上で世界中から引きぬかれた特に賢く、訓練された研究者である。化学から植物学まで、理論物理学や宇宙生物学のような秘儀的な、あるいは専門化された分野まで想像できるあらゆる分野の科学者によって、説明できない現象をより理解し、どう扱うかを知り、人類の技術として応用することが社団の研究計画の目標である。
・防安課
IPTO、AAOが多く該当するが、防安課専門の職員もいる。社団の施設の防安課は、社の計画、作戦、職員に関する物理的・情報上のセキュリティを維持する業務を行なっている。主に軍隊や法執行機関、更生施設職員から引きぬかれた防安課はあらゆるタイプの武器の訓練と、保護違反から敵対行動まで対応する様々な偶発自己対策の訓練を受けている。これらの職員は情報セキュリティ、例えば機密文書の置き違いを防いだり、施設のコンピュータシステムを外部の侵入から保護することなどにも責任を負っている。また、社団施設を外部敵対勢力から防衛する最前線でもある。
・戦術対策課
警備担当。特殊対策課を除いた部署から選び抜かれた、カルマを得、高度に訓練され重武装化された戦闘チーム。危険なイルトリックあるいは敵対的な要注意団体が関与している場合、そして敵対勢力から社団施設を防衛する際に、社団施設や非戦闘チームを護衛する役割を負っている。チームは主要な社団施設に常駐し即座に配置に着ける用意ができる能率的な軍事部隊である。そのイルトリックに専門特化した調査員・研究員から重武装の戦闘部隊まで含めることができる。
現在二十七隊より結成され、それぞれ異なった役割を担う。過去より休止・解散された部隊も存在する。
・地域調査課
調査隊ともいわれるこのチームは社団の目と耳であり、異常な活動の兆候を見つけ出し、調査し、そしてしばしば地域の法執行機関と秘密活動を行ったり、救急サービスや行政組織のような地域のサービス機関に潜伏する。秘密部隊として、調査隊は基本的には異常現象を確認するのに必要な装備を最低限しかそろえていない。そのような事態が発生し孤立している場合は、フィールドエージェントは原則として安全に安全確保と収容をするために救援を要請することができる。
・機動工作課(MTF)
UNDERLINEの機動部隊は総合してやや特殊であり、名前の通り特質なアンドロイド兵で構成された特殊攻殻機動隊が主。
機動部隊は特定の脅威に対処するために機動化され、特定の種類の異常な存在から安全を確保する。
・管轄課
主要な社団施設の管轄課はその場所で最も上位の職員であり、常に全サイトの安全作業と全ての管理・研究されたイルトリックと計画に対して責任を負っている。全ての主要な部門の管理者は管轄課に報告を行い、機密レベルによるが管轄課はG10評議会へ報告する。
・G10議会議員
第一惑星の八ヶ国と第二惑星の二ヶ国の十ヶ国の代表から為されるUNDERLINE最高位の管理者で構成される委員会。イルトリックに対する全ての情報への完全なアクセスにより、G10議員は人類の裏方のガイドラインとして世界中の社団の活動全体を監督し長期戦略計画の指針を定める。個々人の秘密性のため、あらゆる異常物体・存在・現象などのイルトリックに対し直接接触することができない。さらに、議員全員の個人情報は機密事項である。全ての議員は職員のようにコードネームはなく、識別番号でのみ言及される。
『イルトリック・オブジェクト』
イルトリックの形態は多種多様であり、物品、実体及び非実体、場所そのもの、あるいは独立した現象であることもある。これらイルトリックは8種のカテゴリとA~Fのハザードクラスに分類され、社団が所有するセキュリティ施設へと収容されるか、あるいは脅威および必要以上の影響力を与え、人類との共存が不可能と判断された場合には破壊処理を行う。尚、確保する際、移送が不可能と判断された場合には特別な対処で現地で保護・収容される。
「カテゴリ」
・α 変異型。イルトリックが何らかの形で実存する物体を干渉及び感染し、異常存在に変異させたもの。人間をはじめとした生物の他、人工物、物品など、原子として存在しているものすべてが対象である。
カテゴリαの物品の多くはUNDERLINEに保護されており、取扱さえ間違わなければ比較的安全である。反面、元人間など自立して動くタイプは危険であり、厳重な取扱を行わなければならない。
・β 生物型。正確には超高分子型、多核型。近似遺伝子を有する、「生物」として分類できるカテゴリ。そのサイズはnm(細菌以下)からkm(巨大生命)までさまざま。有機生命のみならず、無機・金属生命もここに分類される。
その近似遺伝子はDNAやRNAの類ではなく、それに酷似した、特異分子でできた遺伝子特異構造を持つ。しかし、何れも五重螺旋構造から八重螺旋、あるいはそれ以外の構造を持つなど、結合性も異なり共通性がない。しかし、KMGYDIの遺伝子配列記号は共通している。
遺伝子操作・化学反応次第で多種多様の技術につなげることができ、環境浄化あるいは医療薬の開発が一番期待されているが、副作用の問題は未だ解決されていない。最も収容維持が困難なカテゴリであり、サンプルを死亡させてしまうより人体に影響を与えるという危険性の高さから困難とされている。UNDERLINE内では理論上万能薬、中毒解消薬などの薬剤もあれば化合繊維や吸着物質、触媒などにも応用可能だと判明したがその反面、神経障害や遺伝子崩壊など悪影響を与えるものも多い。
・γ 単核型。単純な分子単体で活動する物体。三態問わず物質材料、放射線系、ウイルス系、オブジェクト、鉱物、機械、気液分子などがあげられ、最も種類が多く判別が困難なカテゴリである。 素粒子、原子構造が異なる(電子がない、根源が粒子・紐・雲状の何れかなど)。決して非生物とは限らず、パターン的にだが自立して行動する個体も存在する。加工次第で有力な新材料を製造・開発することができる。UNDERLINEの対イルトリックの武器兵器、防護服などはこのカテゴリから加工して造られたものである。
このカテゴリの危険性はさまざまであり、無害のものもあれば人類滅亡レベルのものが存在する。視界に入れただけで死に至るという異常な事例もあるので、種類によってはカテゴリβよりも厳重な保護・管理及び処理が必要となる。
・δ 非体型。目に見えない媒体、それか異常現象そのものを指し、環境に実存の影響を与える非存在。または現象を起こす、三次元空間上には存在しない「何か」を指す。Re-Productというイルトリック独自の環境を作り上げるのが主(個体によっては別カテゴリでもリプロダクトを作り上げる存在が稀にいる)。意思、音、電気信号、非物質体などがあげられ、生物の感覚器で認識できるものではなく、コンピュータを通じないと見えない場合もある。非存在体だが、唯一源巣という領域且つイルトリックの不可視の不定形器官が共通して存在し、それの意志によって対象を飲み込む。源巣は現象を起こすだけでなく他のイルトリックを発生ないし集結させる性質を持ち、DMSO職員でさえも入域規制される危険区域として発展させることもある。
このカテゴリを利用して得られた技術がTranceWarp、虚無から産まれた空間、縮む工場内装、息をする部屋、巻き戻しの箱、多重人格の羊などが挙げられる。科学的困難とされた転送技術を発展的かつ簡易的に実現できたのも、このカテゴリがあってこそである。
・ε 超論型。リプロダクトを取り囲む異常世界そのもの、異常地帯を指し、カテゴリδより規模が大きい且つ特定不可。超常理論そのものか、次元を越えた別時空間そのものか、仮説は様々だが詳しい記載はここでは示すことはできない。イドラ・リヴェール街はこのカテゴリに属される。
・χ 不詳型。どのカテゴリにも属されない、判別不明な種。正体不明や未知存在、その他として認定された調査不可、研究不十分材料のイルトリックが属されている。
・ψ 文明型。他カテゴリよりも遥かに高い知能を有し、人類とは異なる知的種族がここに属される。人間臭い個体が多く、人間が想像した空想物、噂、都市伝説もここに分類される。それも人間の脳、機械信号を極度に真似する習性を持っており、他カテゴリ含め最も人間の考えに強く影響され、人間の妄想をも再現してしまう。芸術品や創作物をはじめ、歴史や神話の一部もアレンジし、現実にしてしまう事例もあったため、その危険度はどのカテゴリよりも高く、発生次第最優先で確保または破壊処理しなければならないと定められている。集団化イルトリックのストリートモンスターズもここに属す。
・ω 主神型。神巣とも称され、イルトリックの創造神にして原点だと言われている空論の存在。カテゴリというよりは神格化された最も有力な仮説という扱い。
「オブジェクトハザードクラス」
以下はイルトリックに割り当てられる最も一般的なオブジェクトハザードクラスであり、社団のデータベースの大多数を占めている。
A:Safe
Aクラスのオブジェクトは、現時点において完璧かつ確実で永続的な保護下にあると十分に判断できるか、あるいは故意に活性化させない限りはその異常な影響が発現しない。「Safe」と分類されてはいるが、これは対象を取扱ったり動作させた際に危険はないということを意味するわけではない。職員は特別管理プロトコルの全てを強く認識し続け、安全な取扱い手順を常に順守しなければならない。
B:Strange
Bクラスのオブジェクトは性質が十分に解明されていないか、本質的に予測不能であるイルトリックを指す。信頼できる管理が常に可能とは限らない一方で、Cクラス分類に値するほどの脅威を有しない。社団にて確保・管理されるイルトリックの大多数は、性質が十分に解明されるか、再分類に値する危険性を示すまでは、まずBクラスに分類される。
特に自律性や自我、知性を示すイルトリックは、それ自身が思考・活動することにより本質的に予測不可能であるため、通常は少なくともBクラスに分類される。
C:Sovereign
Cクラスのオブジェクトは社団の職員および人類全てに対する敵対的な脅威をもたらすイルトリックで、なおかつ保護のためには広範で複雑な手順を必要とするか、現時点における社団の技術と知識では完全な確保が不可能・処理が非常に困難であるものが該当する。
これらのイルトリックは社団の管理においてもっとも危険なものであるとみなされており、すべての研究の努力は、これらに対してより信頼できる保護・管理を可能とすることを目標とする。あるいは最後の手段として、時機を見て異常な影響を無力化・破壊する。しかし、その危険度の高さから管理確保よりも破壊処理が優先される例も少なくはない。
D:Slaughter
故意あるいは事故によって破壊された、使用不能になった、あるいはその他の要因により、機能を喪失したか異常性を示さなくなった、もはや不可解現象ではなくなったものである。
将来万が一、異常な性質が復活・再発した場合に備え、Dクラスのオブジェクトに関する文書は後世のために保存され続けられる。
E:Solve
Eクラスは、その性質が現在の主流科学によって説明できる程に完全に解明された、虚偽や錯誤によるものだと明らかになった、もはや保護が不可能となるほどまで公に流布され広まったものなどが該当される。
F:Sacred
最高機密のオブジェクトクラスであり、標準のクラス分類の範疇から外れたもの。Fクラスのオブジェクトは、Cクラスのオブジェクトのような非常に危険なイルトリックに対する管理もしくは影響を無効化するために社団が利用する、極秘かつ極めて希少なイルトリック。Fクラスのオブジェクトは存在そのものが社団における最高クラスの機密であり、その所在、機能、現在の状態はG10議員以外では非常に限られた職員にのみ知らされる。
「プロセス」
一部のオブジェクトに共通している成長段階であり、特にカテゴリαに多くみられる。β、γもその例がないわけではないが、正確には以下のプロセスに当てはまらないので該当されない。
・第Ⅰ期 ワーム体
PSとも称され、初期症状患者を指す感染者及び影響者が該当。カルマの暴走やイルトリックの侵蝕対象(イルトリックの餌)として蝕まれ、イルトリックの卵になる状態。この状態ならばまだ更生の余地はあり、治療・復元可能。
・第Ⅱ期 (ピューパ体)
完全に乗っ取られる状態であり、通常的なイルトリック。
・第Ⅲ期 (エマージェンス体)
標準型から羽化・極速進化した変態型。驚異的な影響力・能力値を兼ね備え、いずれもオブジェクトハザードCクラスであり、人類の安全の為破壊処理が優先される。社内で管理されている個体は数える程度であり、貴重サンプルとして厳重に取り扱われている。
「イルトリックデータベースリスト:MAP-DL」
現在確認されている地球上に及ばず宇宙にまで至る物質・生物の種類数を理論上越えているイルトリック全種の内、観測確認済、確保済、処理済されたイルトリックの種類が登録されている。管理含め確認されているものに限り、現在001~約9000種までと少ない数しか登録されていないが、法則性はなく、発見順や番号の桁別によって分類されているわけではない。
しかし001~009はファルターと呼ばれ、人類のみならず宇宙規模を越えたオムニバースにも深い影響を与えるイルトリックが配属されているが、そのデータはG10と社長及びそれらに認められた一部の者にしか知られていない。
番号・名称・学名・オブジェクトハザードクラス・オブジェクトカテゴリ・管理プロトコル概要(管理方法)・特徴説明・発見地と目撃情報等・オプション実験・研究成果・接触映像録音記録・補足などが内容として記載されてる。




