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超創機大戦  作者: 馗昭丹
序章
9/77

テイロンの浅野兄弟~姉妹再会

今回は裏日本編になります。




-カチン-


「…外傷無し、臓器及び脳のダメージ無し、心拍数正常、思念波異常無し、循環器系・代謝機能に異常無し、精神面の異常無し、…血液検査及びスキャンしても異常は見られない……、兄弟揃って頑丈な身体してるわね…」


340m級万能高速輸送艦テイロンの艦内で光牙、結依菜、雫石は身体検査を受け、女医に診断結果を言い渡される。


「…鍛えてますから」


光牙は淡白に言う。


「でも、異常無しと言っても無理は禁物よ、生き残りたいなら覚えておきなさい」


女医は妙な威圧感を出して光牙達に言う。


「承知」


光牙は威圧感に怯まず即答する。


「よし…良い子だ、壱岐大尉、浅野准尉達の作戦編入を許可します」


光牙の即答が気に入ったのか、女医は微笑んで許可を下す。



「了解した、では浅野光牙、浅野結依菜、浅野雫石の三名を我が隊の作戦に同行させます、准尉、軍曹、伍長、行くぞ」


「「…了解」」

「分か…」


-ツン-


「了解しました…」


結依菜は雫石を小突き、訂正させる。


-コッコッコッ-


-コォォォン-



壱岐大尉と光牙達が診療室から出て行く…


「しかし…凄いな、あの新入り共は…、バトルスーツ無しであんな戦闘に耐えられるなんざよ…」


光牙達が去った後、診療室の奥の椅子で凭れているラバンが言う。


「ミラルス中尉も十分凄いですよ、ああまでやられて傷一つ無い上に敵のZWを無理矢理奪って来るんですから…」


ラバンの隣に座る少年士官が言う。


「やられたら倍返しが常だろうが」


「はいはい…尊敬しますよ、…しかし、浅野准尉は初めてクラネオンⅢを起動させ、その際にN・E・O・N適性レベルが3をマーク、ガロツⅡを初めとする計14機のZWを撃墜する高い戦闘能力、対応の速さと戦場での冷静さ…とても素人とは思えませんね…」


少年士官が呆れつつ言い、ついで真顔になって光牙の上げた戦果を基に予想する。


「ああ、コクピット内には戻した痕跡や脂汗の跡、錯乱した様子も無かったしな…、どう見ても大戦の経験者だ」


クラネオンⅢのコクピット内の清掃をさせられていたラバンは、素人の痕跡が無いコクピットを思い出し、光牙達が素人ではない事を確信していた。


「まさかあの…」


ある憶測に辿り着いた少年士官は、それを口に出そうとするが…



「ノース!用がないならさっさと自分の持ち場につきなさい!」


-ガターン-


「は、はい!」


-コォォォン-


女医に一喝され、ノースは慌てて診療室から飛び出していく。


「ミラルス中尉もさっさとミーティングに参加する!」


「り、了解…!」



ラバンも一喝され、診療室から出ていく…。



-ガァン-


「痛っ!」


-ドスッ-


「痛た……馬鹿野郎!大事なブツに傷が付いたらどうすんだ!?」


「くぅ…勝久か…、この馬鹿野郎が、変なもんで道を塞ぐんじゃねえ!」


「野郎!失敬にも程があんだろ!コイツは…」


「いい加減にしなさい!!」


診療室から女医の大喝が飛ぶ。


-ビクゥ-


「「は、はいぃぃ!!」」


-ドタバタ-


女医の大喝に恐れを為したラバンと勝久は、慌てて去っていく。


____________________


一方…



「光牙、結依菜、雫石、二年振りだな…無事で何よりだ…」


テイロンの通路にて、壱岐は光牙達に話しかける。



「壱岐さん…いや、壱岐大尉も御無事で何よりです」


光牙は親しみを込めつつも、慎みながら無事を喜ぶ。



「今は壱岐さんでも良い、しかし驚いたぞ…お前らがクラネオンⅢに乗っていたなんてな」



壱岐は微妙に笑いつつ言う。


「襲撃された時…逃げるのに夢中でした、逃げた先で偶然クラネオンⅢを発見してからは成り行きです」


光牙は襲撃された時から今までの経緯を簡潔に述べる。



「…昔の勘が働いたとは言え…軍の機密に触れた事は拙い、今回は鳳氏の助け舟があったから良いが…、普通なら銃殺刑だぞ」


壱岐は呆れつつも威厳を放って言う。


「そ…ムグッ!」


「…(黙りなさい雫石!)」


「…はい」


結依菜は、弁護しようとする雫石を抑え、光牙は素直に返事する。


「…まあいい、もうあんな無茶はするなよ」


「…了解」


光牙の決意を悟った壱岐は、しつこく言うのを止める。



「ふう、手続きと挨拶、テイロンの案内に身体検査で流石に疲れたろう…、命令があるまで自室で休め」


「……、了解」


壱岐は光牙達に休憩を促し、光牙は思案して返事する。



「…壱岐大尉、私の部屋は…?」


結依菜が疑問を口に出す。


「む…すまん…、軍曹の部屋は紅蓮のエースと同室としか伝えてなかったな…、案内しよう」

部屋の案内を忘れていた壱岐は、結依菜の言にギョッとなり、慌てて方向を変える。



「え?姉さんだけ僕達と別室なの?…壱岐おじ…ムッ」


「壱岐大尉だ、雫石…」


雫石の言に光牙は雫石の口を塞いで訂正する。


「ふう…光牙、まだ幼いとはいえ、雫石の癖が出ない様に躾ておいてくれ」


雫石の言に脱力した壱岐は、光牙に雫石の躾を頼み、体勢を立て直す。


「……、しっかりと躾ておきます…」


「はい、努力…します」


光牙も脱力し、雫石は赤面して頭を下げる。


「では…また後でな、行くぞ軍曹」


「「はい」」



壱岐と結依菜は別の通路を歩いていく…




通路にて…



「壱岐大尉」


「なんだ?」

「紅蓮のエースって…誰の事なんですか?」


結依菜はもう一つの疑問を口に出す。



「私の部下だが…、お前も光牙も雫石も良く知っている人物だよ」


結依菜の疑問に壱岐はニヤリと笑って答える。


「私達が…良く知っている…?」


壱岐の言を聞き、結依菜はある人物を思い浮かべる。


「そうだ、楽しみにしておきなさい」


「あ…はい」



ニヤリと笑う壱岐に対し、結依菜は明るく返事して壱岐について行く…



___________________


-ゴォォォォ-


-ガキョォン-

-ギィィゥゥゥン-


-シュゥゥ-


「ネオンプラス4型、両方の倭機がテイロンに着艦!整備急げ!」


深紅とグレーのネオンプラス4型がテイロンの格納庫に着艦する。


-ピシュゥン-


「よっと」


-タッ-

-カチン-


-ダーン-


-ウゥゥゥゥン-


-ガゴン-


両方のネオンプラス4型のコクピットが開き、巽はリフトに乗って降り、弓菜はコクピットから飛び降りる。



「倭の姉御、お疲れ様ッス!」


「姐さん、お疲れ…グハァ!」


「あんたらは御姉様達の邪魔よ!とっととミラルス中尉の下に行きなさい!」


「ひでぇ!」


「性差別すんじゃねえよ!」


「御姉様~お疲れ様です~」


「「無視かよ!」」



「おう、野郎共に女郎共、しっかりと整備頼むよ!」



「はい!御姉様の為なら何でも頑張ります!」


「良い子達だ、任せたよ!」


「はぁい!」


弓菜の一声で整備士達が一斉に作業に取りかかる。



「巽様!」


「巽様ぁ」


「出迎え御苦労、また整備を任せる」


「はい!お任せ下さい!」


「巽様と弓菜御姉様の為なら大改造だってしちゃいます!」


「ふ、君達の頑張りが僕達の戦う力になる、任せるぞ」


「「はい!」」


巽の演出を見た整備士達も、一斉に作業に取りかかる…。


____________________


「………」


-パサッ-

-ピコッ-


-ビッ-

-ボン-


「ふむ、二人とも御苦労であった…下がって良い」


「「ハッ」」


-ザシッ-

-ピシュゥン-


報告をし終えた弓菜と巽は、艦長に敬礼をした後、艦長室から退出する。



通路壁の自販機にて二人…


-ピッ-

-ガゴッ-


-シュッ-


「ったく、巽も良くやるね…」


-ピッ-

-ガゴッ-


「君程じゃないよ…」


-プスッ-


呆れた様子の弓菜と疲れた様子の巽が、自販機のジュースを買いながら言う。


-グビグビ-


「一気飲みは良くないぞ、弓菜…」


-グビッ-


-スッ-


「ぷはぁ~うめぇぇ~!」


-ベキョッ-


巽の言を気にせず、麦の炭酸飲料を一気飲みした弓菜は、空になった缶容器を握り潰す。



「全く…経済成長期の親父か、お前は…」

巽は呆れながら言う。


「ん〜〜、気にしない、気にしたら禿げるよ巽…」


-ポフ-


「…全く…」


弓菜は背伸びをしながら言い、巽にもたれ掛かる。



其処へ…



「あ!?お…お姉ちゃん!?」


-ガバッ-


「…!?ゆ…結依菜かい!?」


「………」


結依菜の声に反応した弓菜は飛び起き、巽は複雑な表情になる。


「生きてたんだね、お姉ちゃん…!」


「結依菜も良く生き延びたね…、また会えて嬉しいよ…!」



「お姉ちゃん…」

「結依菜…」



弓菜と結依菜は喜びの涙を流し、互いに抱き締めあう…


____________________



蚊帳の外は…



「…(巽、姉妹の再会を邪魔してはいかん…、去るぞ)」


「…(…わかってます…、でもこれは貸しにしておきますよ、壱岐さん)」


「…(ふっふ、察しが良いな…巽)」


「…(そりゃ、前の大戦から部下やってますからね…)」


「…(では、行くぞ)」


-ササッ-


巽は壱岐に引き摺られ、小声で遣り取りしつつ、その場から退場していく…。



「……(偶には遠回りするか…)」


-コッ-


最寄りの自販機に来ていた艦長も踵を返し、その場から去っていく…。


___________________




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