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超創機大戦  作者: 馗昭丹
陰世界騒動
75/77

巨人島上空戦

今回はもう一つのクラネオンⅢ編になります。

結構入り乱れてます。

裏日本の四国征伐戦が一段落した頃、因果の黄昏で戦っていた飯富姉妹と高坂瑠璃亜は、蠅芒霊撃破の影響から巨人島に転移。


-ギュゥゥゥン-


「紅乙女の魔力が枯渇したようね」

「仕方ないよ、連戦だったんだから」


-シュゥゥ-


「あらら、魔力の欠片になっちゃった、これは…当分の間、機戦殻形態で戦わないといけないね」


表裏世界に転移した影響を受け、飯富姉妹と高坂瑠璃亜の紅乙女は魔戦殻からZWに酷似した機戦殻形態に変形する。


「おや?あそこにいるのは…」


瑠璃亜が情報圏から情報を集めつつ、そう離れていない所に隠されているクラネオンⅢの反応を捉え、クラネオンⅢのVNWSから警告文が送られてくる。


「相変わらず厄介なシステムだなぁ、リアルタイムでハッキング不可能とか普通ありえないでしょ、縁を驚かせようと思ったけど、直接会いにいくしかないか」


瑠璃亜は癖で抜き取りを試みるが、尽く弾かれてため息混じりに言う。


「瑠璃亜、降りないのですか?」

「おーい、これから街に繰り出すけど欲しいものある?」


瑠璃亜が作業に集中している間に紅月と紅陽が紅乙女から降りて町に行く準備を終えていた。


「ええぇ、あの二人もう降りてるし…、待ってよ、私も行くからさ」


二人の呼びかけで気づいた瑠璃亜は、作業を中断して相棒を背負い、紅乙女から降りる。


「あれ?貴女達は…」


そこへ穏やかそうな少年が多くの荷物を持って現れ、続いて強そうな少年と気が強そうな少女が現れる。


「うふ、郡山でのバザー以来ね」

「お、柳楽君じゃん、元気してた?」

「はい、飯富さんも無事で何よりです」


紅月と紅陽は旧奈良県郡山市で開催されていたバザーで瞑緒達と面識があり、互いに挨拶する。


「よお、元気してたか達人」

「いつぞやの凄腕ゲーマーだ」

「おす、助さんも角さんも無事そうで何よりだ、また勝負するかい?」


織兎と美結は瑠璃亜に軽く会釈し、瑠璃亜はゲーム機を取り出して誘う。


「おう、今度は百連敗しねえぜ」

「アタシらだって日々成長してるんだからね」


「よろしい、ならば戦争だ」


瑠璃亜の誘いに乗った織兎と美結は、瑠璃亜に誘われるがままに街へと去っていく。

紅月と紅陽は瑠璃亜の生き生きとした表情から心情を察し、瞑緒は織兎と美結がリベンジに燃える姿を見て溜息を吐く。


「瑠璃亜がああなったら止められないわ」

「良い遊び相手だもんね、アタシらじゃついていけないレベルだし」

「…ところで、今日はここへZWのパーツか何かを買いに来たんですか?」


瞑緒はそれとなく紅乙女と紅月達を見て尋ねる。


「そんなところね、君は?」

「僕達は食料の買い出しです」


紅月は微笑みながら答え、瞑緒は笑顔で答える。


「その量、旅行帰りと言ったところかしら」

「そんなところですね、僕達は明後日に発つあの輸送艦に乗って表日本に帰る予定ですから」


紅月は保存食の他に見える雑貨や玩具などから大体察しつつ言い、瞑緒は正直に答え、滑走路付近に停泊している白い200m級の古びた輸送艦を指す。


「実は私達も表日本に向かおうと思っていたの、私達もあの艦に乗れるかしら?」

「あの艦の艦長さんは寛容な人ですから、飯富さん達も頼めば乗せてくれると思いますよ」


紅月は前々から興味のあった表日本に行く旨を瞑緒に伝え、瞑緒は爽やかな笑顔で言い切る。


「…うふふ、だそうよ紅陽?」

「お姉、そりゃ…アタシも表日本には行きたいけどさ」


紅月は期待の眼差しをしていた紅陽を見て言い、紅陽は僅かに照れ臭そうにしながら言う。


「明後日か、バザーを見る時間はあるかしら」

「腹拵えが先、そのあとは輸送艦の艦長に会いに行って手続きもしなきゃだし、時間的にカツカツじゃないかな?明日はバザーやってないみたいだし」


「なら、僕が艦長に頼んで来ます、飯富さん達には旧奈良県を出る際に世話になりましたから、恩返しだと思って下さい」


時間割り振りをしてシビアな答えを出す紅月と紅陽を見て、瞑緒は代わりに交渉する旨を伝える。


「そんな、悪いって」

「悪いわね、頼まれてくれるかしら?」

「はい、では僕はこれで…、二人はゆっくりバザーを見てきて下さい」


紅陽は断ろうとするが、紅月は瞑緒に任せ、瞑緒は即座に宿泊地へと移動する。


「お姉、良かったの?」

「柳楽君は良い子よ、断ってもこうなってたわ」


紅陽は若干の罪悪感に心を痛めつつ言い、紅月は笑顔で断言する。


「せっかくだから、バザーで紅乙女の武装になりそうなものを見ましょうか」

「その前に腹拵えね、瑠璃亜にも何か食わせないと」


紅月は紅乙女の武装をチェックしながら言うが、紅陽は待ったをかける。


「紅陽、昼飯はおにぎりと味噌汁でいいよ、位置情報送ったからそこへ持ってきて、私は今助さん角さんの相手で動けないから」

「はいはい、わかったわよ」


端末越しに聞いていたのか、瑠璃亜が催促し、紅陽は分かっているかのように答える。


その後、紅月と紅陽は腹拵えを済ませてバザーを見物し、紅乙女の武装になる55.6㎜アサルト・ライフルと甲型菊池用のバズーカ、同規格のカートリッジ(ノーマル・カートリッジ×4、ディバイダー・カートリッジ×2、超電磁カートリッジ×1)を購入し、一通りの武装を整え、瞑緒は艦長と交渉して飯富姉妹と瑠璃亜がZWごと輸送艦に乗せてもらえるように取り計らったという。


「はぁぁ、疲れた」

「お疲れ、縁」


一方では裏日本のゴタゴタから逃げるようにして避難してきた松平縁と雲切揚羽の二人は、巨人島のバザーで裏方を務め、なんとか終了まで働ききって宿泊施設内で休息を取っていた。


「あれって、飯富さんの紅乙女だよね…?」


宿泊施設から少し離れたところにあるZW格納庫に入っていく紅乙女を見て、肩のエンブレムから所有者を特定した縁は思わず呟く。


「うん、紅乙女はカスタム機だからほぼ間違いない」


同じく確認していた揚羽が頷きながら言う。


「あの格納庫へ入るって事は…飯富さん達も表日本へ行くって事だよね」


「私達と同じ、ここに泊まる可能性もある」


縁の言に揚羽は言う。


「くそぉ…また百連敗かよ、流石は達人だぜ」

「リベンジしないと気が済まないわ、次こそは勝ってやるんだから!」


そこへ瑠璃亜にボロ負けした織兎と美結が帰還し、縁達と目が合う。


「おかえり、バザーはどうだった?」

「なかなか良かったぜ、一日中楽しんじまったよ」

「買い物よりゲームに費やしちゃったけどね…」


縁は声をかけてバザーの感想を聞くが、織兎と美結の言から瑠璃亜の顔が浮かび上がる。


「…(ああ、それで対戦ゲームのテント内から人が溢れてたのか、瑠璃亜さん凄いもんね…)」


縁は瑠璃亜のガチプレイで他を圧倒する姿を思い描き思案する。


「ん…?お前らは確か」


そこへ体格の良い角刈りの兄ちゃんが通り、縁と揚羽の顔を見て言う。


「あらら…岐阜では迷惑をお掛けしました、すみません」


「おう、こっちこそ追い払っちまって済まねえな」


縁はすぐにピンと来たようで、即座に頭を下げて詫びを入れ、角刈りの兄ちゃん…三木良徳(みつぎ・よりのり)も謝る。


「縁、この人は…?」

「えと…」

「岐阜で嬢ちゃんにコテンパンにやられた奴だよ、三木良徳ってんだ、よろしくな、はっはっはっ!」


揚羽は誰だか分からずに縁に聞くが、縁が答える前に良徳が答える。


「ああ、岐阜での…先日は失礼しました」

「嬢ちゃん強ええもんな、お陰で俺もフリーになっちまって、放浪の旅の途中よ」

「うう、さりげなく罪悪感を煽ってくる…」


揚羽は一応謝り、良徳は気にせずに言うが、縁は罪悪感に居心地が悪くなる。


「…ここにいると言う事は三木さんも表日本へ?」

「ああ、ちょっくら野暮用でな、嬢ちゃん達も表日本に行くんだろ?よろしく頼むぜ」

「あ、はい」


縁の質問に良徳は豪快な口調で答え、縁は思わず生返事してしまう。


「邪魔したな、また明後日あおうぜ」


良徳はそう言って自分の泊まる部屋へ去っていき、縁達は少しの間、良徳の背中を見ていたが、少しして眠気に襲われた為、部屋へと入っていく。


「うう、今日はもうシャワー浴びて寝よ」

「それが良い、縁はよく働いた、明日に備えて休んで欲しい」


縁達は短いやり取りの後、それぞれシャワーを浴びてゆっくりと眠る事になる。


翌日には縁達は紅月、紅陽、瑠璃亜と対面し、鳳凰院寧音とも再会。それぞれの行先が表日本である事から、民間の輸送艦であるコウノトリに乗って共に表日本へ向かう事になったのだが…。


「コウノトリ、高度良し、予定通り表日本の新関西空港へ向かいます」

「皆、若干長い航空になるが踏ん張ってくれ、例の巨人どものせいで羽田空港が破壊されてしもうた様だからのう」


操舵手が舵を切りつつ言い、艦長が乗組員と客全員へ通達する。


「うう…クラネオンⅢが甲板待ちになるなんて…」


松平縁はコウノトリの甲板上にあるZW用の搭載スペースに座っているクラネオンⅢのコクピットの中で呟く。


「ははは、良いじゃねえか、タダで乗せてもらってんだからよ」


「三木さん、飲んでる場合じゃないですよ…」


酒を飲んで豪快に喋る良徳に縁は呆れ気味に言う。


「補給が受けられただけでも良いじゃん、その上表日本まで乗せてくれるんだから文句言わない言わない」


高坂瑠璃亜は内部のZW格納庫で紅乙女の調整をしながら縁の端末に繋いで言う。


「あ、すいません、そうですよね…」


縁は瑠璃亜の言を聞いて申し訳なさそうに言う。



「うっ、ZW反応1、いや5、一機は凄いスピードで接近してる!艦長、マツカリ!オッさん!」

「そのあだ名はやめて下さい〜!」

「おう!早速来たか!」


瑠璃亜が索敵を始めた途端にZW反応を捉え、コウノトリの艦長と縁と良徳に警戒を促すが…


「…ZEAX-14クラネオンⅢか、政府軍のZWに間違いないな、先手を打つ!」


-ズギュゥゥゥン-


「うわぁっ!?」

「おっとぉ!」


赤い量産型イズロツがデュアル・レーザー・ライフルをぶっ放し、縁のクラネオンⅢと良徳の片喰は咄嗟に回避して赤い量産型イズロツとすれ違う。


-ゴォォォッ-


「うわっ!?空を飛ぶZWだと!?」

「面舵!よけろ!」


物凄い推力で飛行する赤い量産型イズロツがコウノトリのブリッジ前を横切り、コウノトリが衝撃を受けて激しく振動。

赤い量産型イズロツがコウノトリの進路を妨害した為、コウノトリは迂回して赤い量産型イズロツを交わす。


「艦長、こちらの呼びかけに応じません!」

「どこのZWかわからぬが、攻撃してきたのだ、条約違反であることは知っておろうな!?ZW発進口を開け!相応の処置はさせてもらうぞ!」


艦長は赤い量産型イズロツに回線を繋ごうとするが、一向に繋がらず、艦長は若干声を荒げながら言う。


直後にコウノトリの側面と後方にあるZW発進口が開き、中から複数のZWが迎撃の為に現れる。


「いきなり攻撃するなんて、やってくれるじゃない」


-ドドドドドド-


「む、ZWが出てきたか、面白い」


即座にコウノトリのZW発進口まで出ていた紅月の紅乙女が55.6㎜アサルト・ライフルを放つが、赤い量産型イズロツには擦りもしない。


「このぉ!」

「そこだ!」

「おらよ!」


-ズガァァァン-

-ドドドドドド-


赤い量産型イズロツが回避運動したのを見越し、密かに展開していた瞑緒がMRS阿弥陀を放ち、縁のクラネオンⅢがハイブリッド・ライフルを、良徳の片喰が55.6㎜重突撃機銃を放つ。


-ヒュン-


「ちっ、結構な数がいるな」


瞑緒と縁と良徳の攻撃に続いて紅月と紅陽の連撃が赤い量産型イズロツを掠め、赤い量産型イズロツのパイロットは舌打ちする。


「少尉、あのクラネオンⅢは政府軍のリストから抹消されており、今は持ち主不明とありますが…」


「他の機体は表日本のパワードスーツに民間のZWばかり…あの艦も公式にあるコウノトリという輸送艦で間違いないです、よもやこれは…」


赤い量産型イズロツに追いついた後期型ガロツⅢが回線を開いて報告する。


「…くそっ、デマか!」


-ズギュゥゥゥン-


「っ!?」


赤い量産型イズロツのパイロットはデマと判断し、狙いを迎撃してくる機体に変更し、デュアル・レーザー・ライフルを放って縁のクラネオンⅢを牽制する。


「艦は落とすな、政府軍のスパイが潜伏していたとしてZWだけを落とす」


「少尉、始末書なら書き慣れていますが、少し強引過ぎますよ」

「親衛隊としては従いますが…」


赤い量産型イズロツのパイロットと後期型ガロツⅢのパイロットが交信し、赤い量産型イズロツと後期型ガロツⅢが迎撃を交わす。


「ちょこまかと…!ディバイダー・バズを喰らえ!」


-ズゥゥゥン-

-ボォォン-


「拡散弾だと…!」


-チュン-


いつのまにか発進口から出撃していた紅陽の紅乙女が拡散バズーカを放つが、赤い量産型イズロツはガウォークしつつ咄嗟にシールドを発生させて散弾を弾く。

他の後期型ガロツⅢも見事な動きで散弾を回避するが、人型形態である為に少々高度を失う。


「織兎、美結ちゃん、寧音さん、合わせて!」


「…っ、挟み撃ち!?」


「当たれ!」

「この!」

「当てますわ」


迫っていた瞑緒の弐世鉱参式が阿吽の呼吸で織兎と美結の鉄初式と寧音の弐世銀参式で挟撃するが…。


-シュン-


「…っ!?外した?」

「嘘!?あれを掻い潜るなんて…!」

「なんて機動性してやがる…!」

「流石は赤い剣ですわね…!」


「お返しだ!」

「反撃する!」


-ズギュゥゥゥン-


「散開!」


赤い量産型イズロツの神懸った回避運動に瞑緒達は驚きつつも、反撃で放たれたデュアル・レーザー・ライフルの光と後期型ガロツⅢから放たれたレーザー・ライフルの光を散開して回避する。


「少尉、狙われています!」

「喰らえ!」

「させるか!」


-ズギュゥゥゥン-

-シュン-

-ボォォォン-


「くそっ!久々の出番だったのについてねえ…!」


紅陽は拡散バズーカを放とうとするが、直前に赤い量産型イズロツのデュアル・レーザー・ライフルを放ち、紅陽は咄嗟に反応して緊急回避したが、近くで迎撃に出ていた裏愚椎冴の左腕部が破壊され、更に貫通してコウノトリの甲板が損傷。久々の出番がチョイ役のヤラレ役で終わった傭兵は、悔しそうにコウノトリのZW格納庫へと後退していく。


「おっと、危ねえぞ姉ちゃん!」

「くっ、しまった!」


良徳はバランスを崩した紅陽の紅乙女を見て危険を伝えるが、すでに遅く紅陽の紅乙女は爆風に煽られて落下してしまう。


「黒の嬢ちゃん!姉ちゃんが落っこちたぞ!」

「ええ!?わかりました!」


良徳は即座に縁に伝え、縁はクラネオンⅢで甲板から飛び下りて急降下する。


「落ちろ!」


赤い量産型イズロツのパイロットは紅陽の紅乙女にトドメのVSLKを向けるが…


「させないわよ」

「何っ!?」


-ズゥゥゥン-

-ドドドドドド-

-ゴォォォッ-


「ぐぅぅっ!」


直前に紅月が死角から拡散バズーカを放ち、更に55.6㎜アサルト・ライフルを放ってきた為、赤い量産型イズロツは緊急回避して凄まじいGに襲われながらも回避に成功する。


周辺では後期型ガロツⅢと白揚羽が交戦し、一進一退の攻防が続く。

瞑緒達も後期型ガロツⅢを相手に互角の勝負を演じており、互いに譲らない。


「紅陽さん!」

「サンキュー、助かったよ縁」


その間に落下する紅陽機に縁のクラネオンⅢが向かっていき、手掴みで引き上げた後に肩に紅陽の紅乙女を乗せ、姿勢制御しつつも上昇する。


「くるぞ!嬢ちゃん!」

「まずい!」

「僕が盾になります!」

「おい、坊主が無茶すんじゃねえ!」

「瞑緒!」

「瞑緒さん!」

「いえ、見ていてください!」


赤い量産型イズロツの動きから狙いを読んだ良徳は、縁達に呼びかけるが、同時に瞑緒がクラネオンⅢと紅乙女のところへと急行。

良徳は無茶を諫めるが、瞑緒は有無を言わさない迫力ある口調で断言して加速。

瞑緒に続いて織兎と美結の鉄初式も追従する。


「貰った!」


-ズギュゥゥゥン-


「障壁全開!」


-ギュゥゥゥン-


赤い量産型イズロツは好機とばかりにクラネオンⅢに向かってデュアル・レーザー・ライフルを放つが、瞑緒の弐世鉱参式が間に割り込んで金環障壁を展開し、レーザーを無効化する。


「何っ!?防がれた…?」

「おお、バリアがあんのか!凄えな!」


サイズの小さいCCTWにイズロツの主砲ともいえるデュアル・レーザー・ライフルのレーザーを吸収され、赤い量産型イズロツのパイロットは驚きを隠せない。

良徳に至っては感嘆の声をあげている。


「…凄い出力のエネルギー兵器だ、こんなものを連射できるなんて…!」


瞑緒は弐世鉱参式の障壁負荷の凄まじさから、赤い量産型イズロツの武器の威力を察し、冷や汗を流しながら呟く。


「援護ありがとう柳楽君」

「助かったよ」


その間にクラネオンⅢと紅乙女は態勢を整えて赤い量産型イズロツに牽制射を加えつつ移動。


「瞑緒!無茶しやがって!」

「貫通したらどうするつもりだったのよ!」


側には織兎と美結の鉄初式が有り、瞑緒の弐世鉱参式の障壁を補強していたのが瞑緒の目に映る。


「ならばこれはどうだ!」


-ズガガァァン-


「っ!二人とも下がって!」

「くっ!?」

「わっ!?」


赤い量産型イズロツはVSLKを連射し、瞑緒は織兎と美結を抱えて赤い量産型イズロツの攻撃を回避する。


「止まる暇があるのかしらね」

「オラオラオラァ!」

「喰らえぇ!」

「レーザー・ライフルなら!」


僅かな隙を見逃さなかった紅月と良徳、紅陽と縁は二方面から同時に攻撃を放ち、紅乙女の散弾と片喰の散弾、クラネオンⅢのレーザーが赤い量産型イズロツと後期型ガロツⅢに迫る。


「そんな手に…!」


-バリィィン-


「くっ!メインカメラが!」


赤い量産型イズロツは即座に回避運動をとって散弾を回避したが、後期型ガロツⅢは振り向きざまに頭部へ散弾が直撃してメインカメラが損傷するが、小型のサブカメラが機能して即座に視界を確保し、レーザーを防御して見せる。


-カチッ-


「弾切れ…!?あの親父ぃ!どっちも一発しかないじゃん!超電磁カートリッジ!これでどうだ!」


-シュゥゥ-

-ギショォン-

-カン-

-ゴォン-


「わっ!?」

「ごめん縁」


-ガシュゥン-

-シュゥゥ-


紅陽の紅乙女がバズーカを逆さにして弾切れになったディバイダー・カートリッジを二つ廃棄し、背部カートリッジパックから超電磁カートリッジを二つ取り出し、上下にカートリッジを装着してからバズーカを構える。

廃棄されたディバイダー・カートリッジがクラネオンⅢの肩と膝に当たり、縁は驚きながらもクラネオンⅢを器用に操縦して紅陽の紅乙女が落下しない様に飛行を続けている。


-ガァン-


「ぐっ!?俺を踏み台にした!?」


-ゴォォォッ-


紅月の紅乙女が近くの後期型ガロツⅢの頭部を踏み台にして跳躍し、赤い量産型イズロツのところへ向かっていく。


「そんな状態でイズロツの狙えるものか!」


「上がお留守よ」


-ガキョォォン-


「なっ!?いつの間に…!」


赤い量産型イズロツは攻撃しようとするも、モニターに「ALERT」の文字が表示された直後に紅月の紅乙女が赤い量産型イズロツに飛び乗って見せた為、僅かに動揺する。


「縁!ちゃんと姿勢制御して、狙いが合わない」

「無茶言わないでよ紅陽さん、敵がすばしっこい上に風が強くてなかなか安定しない…!」


「いや、紅陽とマツカリ別々に戦おうよ、クラネオンⅢはSFSじゃないでしょ!」


その間に縁のクラネオンⅢが紅陽の紅乙女の姿勢を安定させようと奮闘し、作業をしながら戦闘の様子を見ている瑠璃亜は思わず声を荒げてツッコミを入れるが、二人には聞こえていなかった。


「これでトドメを刺してあげようかしら」

「ふん、舐めるんじゃない!」


紅月は紅乙女の単分子ナイフで赤い量産型イズロツの頭部を破壊しようとするが、赤い量産型イズロツのパイロットはあるレバーを引き、量産型イズロツを人型形態に変形させて紅月の紅乙女を振り落とす。


「…可変機だったのね、なかなか面白いじゃない」

「そのまま落ちろ!」


-ズガァァァン-

-ズガァァァン-


「うふふ、甘いわね」


-ボォォン-


振り下ろされた紅月の紅乙女に向かい、赤い量産型イズロツがVSLKを放つが、紅月の紅乙女は落下しながらも攻撃を回避しつつ、迎撃の拡散バズーカを放つ。


「ぐっ!」


-バァン-


-カチッ-


「こっちも一発しか入ってなかったのね、あの店主…後で瑠璃亜にお仕置きしてもらおうかしら」


-ギショォン-

-ガシュゥン-


散弾を回避する為に赤い量産型イズロツは瞑緒達を牽制しつつ大きく旋回。

その隙に紅月は紅乙女のバズーカのディバイダー・カートリッジを廃棄して超電磁カートリッジに換装する。


「この!」

「来たわね」


-ズガァァァン-


赤い量産型イズロツは瞑緒達を翻弄しつつ、コウノトリ周囲を一周した後に落下中の紅月の紅乙女目掛けてVSLKを放つが、紅月も超電磁バズーカを放ち、互いに回避する。


「揚羽さん、お願い」

「もう来てますよ、姐御さん」


-ギショォン-

-ゴォォォッ-


ステルス飛行で迫っていた白揚羽が高度の維持が困難になった紅月の紅乙女を担いで上昇する。


「ちっ、陸戦型のくせに…!」


「コッチも居るよ!」

「訓練の成果が出てきたぜ!」

「当てる!」

「これはいかが?」


-ヒュゴォォッ-


「ぐっ!」


器用に回避して見せる紅月の紅乙女に対し、赤い量産型イズロツのパイロットは舌打ちしつつ、瞑緒、織兎、美結、寧音の攻撃を尽く回避して旋回する。


「今よ紅陽」

「そこだぁ!」


-ズガァァァン-

-キュゥゥン-


「くぅっ!?掠めたのか!」


弾速の早い超電磁バズーカの弾が落雷の如く赤い量産型イズロツの右肩部を掠め、赤い量産型イズロツのパイロットはイズロツの右肩部についた黒い一本筋の煤と焦げ跡を見て驚く。


「ちっ、改良されたFC装甲か…!」

「紅陽さん、惜しい!」


紅乙女の超電磁バズーカは掠めただけでもZWを破砕してしまう程の威力がある武器だが、これも従来のZWに限った話であり、強化・改良されたFC装甲を搭載している赤い量産型イズロツには掠っただけでは致命傷にはならない。

右肩肩部を掠めはしたものの、FC装甲のおかげでネェル・ナノマシンの膜が焦げただけで済んだ赤い量産型イズロツを見て、紅陽は舌打ちしつつも次の射撃準備に移る。


「やってくれたな!旧式が!」


-ズガァァァン-

-ズギュゥゥゥン-


「わっ!?」


-バキィィィィン-

-ズゥゥゥン-


「くっ!?」


赤い量産型イズロツのパイロットは怒りのままに反撃に転じ、VSLKとデュアル・レーザー・ライフルを連射、紅陽の紅乙女は屈んでデュアル・レーザー・ライフルの光を回避したものの、縁のクラネオンⅢはシールド変形させたハイブリッド・ライフルをVSLKの弾に打ち砕かれてバランスを僅かに崩す。


「貰った!」

「おらよ!」


-ドドドドドド-


「邪魔をするか!」


赤い量産型イズロツはバランスを崩したクラネオンⅢにデュアル・レーザー・ライフルとVSLKを放とうとするが、良徳の片喰が55.6㎜重突撃機銃を放って牽制すると、赤い量産型イズロツのパイロットの意識が片喰に向く。


「へっ、今だ姉ちゃん!」

「そこね」

「何っ!?」


-ズガァァァン-

-ヴゥゥン-

-バキィィィィン-


「うっ!防御に失敗した?私が…!?」


片喰に意識が向いた隙をついて紅月の紅乙女が超電磁バズーカを放ち、命中したものの、赤い量産型イズロツのパイロットは咄嗟に右腕部をコクピットに動かしてレーザー・シールドを展開してガードした為、右手甲部装甲が砕け飛ぶだけで済む。

その間にも良徳の片喰と瞑緒達も攻撃を加えていたが、赤い量産型イズロツは擦り抜けるようにして回避する。


「超電磁バズーカを当ててあの程度で済むなんて、…ますます燃えてきたわ」


それを見た紅月はいよいよスイッチが入ったようで、目つきが段々と鋭くなっていく。


「お返しだ!喰らえ!」


-ズギュゥゥゥン-

-ズガァァァン-


赤い量産型イズロツはデュアル・レーザー・ライフルとVSLKを同時に放ち、ツイン・レーザー・ブレードを展開して加速する。


「うふふ、少しは本気になってくれたかしら、楽しみましょうか」


紅月は不敵に微笑みながら紅乙女のバズーカを白揚羽に渡し、単分子ナイフを構えて応戦の態勢に入る。


「砕けろぉ!!」


-ヴゥゥン-

-バチュゥゥッ-


「パワーが段違いね、だけど…」


-ガァン-


「ちっ、小賢しい真似を…」


赤い量産型イズロツのツイン・レーザー・ブレードと紅乙女の単分子ナイフが激しく競り合うが、赤い量産型イズロツが押しているのを利用して紅乙女はオーバーヘッドキックを見舞い、赤い量産型イズロツがバランスを崩す。


-ドドドド-

-チュンチュンチュン-


追い討ちの55.6㎜アサルト・ライフルが火を吹くが、赤い量産型イズロツは可変機構と可動部を絶妙に使い分けて尽く跳弾させて回避。


「なかなかの腕ね、けど…!」


-ガァァン-


「くっ!」


-ゴォォォッ-


紅月の紅乙女の更なる追い討ちの蹴りが赤い量産型イズロツの腹部に入り、紅乙女はバーニアを噴射して跳躍しようとするが…


「この!」


-バシュ-

-バシュゥゥッ-

-ボォォン-


「ふふ、やるじゃない」


赤い量産型イズロツのツイン・レーザー・ブレードが一閃して紅月の紅乙女の左爪先と55.6㎜アサルト・ライフルを両断し、紅月は楽しそうに呟く。


「ん、あいつ…あのエンブレムは、紅の戰姫か、どうりで…!」


赤い量産型イズロツのパイロットは姿勢制御をしつつ紅月の紅乙女の肩に描かれている紅の三日月を背景に紅月のシルエットが描かれたエンブレムを見て納得したように呟き、直後に歯を食いしばる。


-ジッ-


『いつまで遊んでいる、張陽花』


「………、父上…いえ、張中佐」


突然、赤い量産型イズロツに通信が入り、パイロットである張陽花(チャン・ヤンファ)が少し驚く。


『戻るのが遅いからしばらく観戦させてもらった、貴様は直ちにレグニオに戻れ、いいな?』


「くっ、了解しました」


-ギショォン-

-ゴォォォッ-


通信が終わると、陽花は赤い量産型イズロツを高速巡航形態に変形させ、最大戦速で離脱する。

後期型ガロツⅢもそれぞれ離脱していく。


「退いていく…、なんとか…撃退できたようだね」


離脱する赤い量産型イズロツを見て、瞑緒は呟く。


「…流石は瑠璃亜ね」

「ども、紅月が本気になる前に退散してもらわないと面倒な事になるからね」


目つきが鋭いままの紅月の言葉に瑠璃亜が親指を立てて応える。


「あと…、戦った相手だけど、あのルージュセイバーズの六番手・張陽花だったよ」


「うわ…ガチのエースパイロットじゃん、コッチには遊びに来た訳?」


瑠璃亜はため息混じりに言い、紅陽は呆れた様に言う。


「多分、量産型イズロツの慣らしを理由に一人になりたかったんじゃないかな、相当カッカ来てたようだし」


「…瑠璃亜ってば、どこまで見てるのよ、有名人のプライバシー侵害だよ?」


瑠璃亜は悟ったかの様に語るや、紅陽はこれ以上は聞くまいと釘を刺す。


「ええぇ…あのルージュセイバーズと戦ったってことは…後で大変な事になるんじゃ…」


「うん、アイドル系パイロットだからファン達から目の敵にされるかもね」


縁は懸念を口にし、瑠璃亜はあっさりと断言する。


「ですよね…、クラネオンⅢは政府軍のZWだし、動画編集待った無しかな…、はは…」


瑠璃亜の断言に縁は少し諦めたかの様に呟く。


「ま…、あの張陽花の性格からして、それをされたら黙っていないと思うけどね」


瑠璃亜は確信しているかの様に言うが、縁はクラネオンⅢから差し出された胃薬を飲んでおり、話を聞いていなかった。

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