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超創機大戦  作者: 馗昭丹
陰世界騒動
74/77

極阿夜戦〜闇騎士の威

光牙達が四国で補給を受けている頃…



真夜中の裏日本…


極阿に近い海域にて…


「今、極阿軍の主力は殆ど四国と関東に向かっている、傑衆の殆どは四国で痛い目に遭っているとも聞く、首魁の百一と重彦も留守、こんな好機はほぼ無いぞ、野郎ども!総攻撃開始だ!」


ステルス航行で監視の薄いエリアをゆっくりと移動していた賊徒達の艦隊が、賊徒達の統領らしき人物の号令で極阿シティを包囲する様な陣形を組み、降下しながら各艦隊から長距離弾頭ミサイルが放たれ、その後にZW隊を発進させていく。


「…(そうこなくてはな、そうでなくては端金を使った意味が無い、さて…鳥羽輪廻よ、わざわざ情報を流してやったのだ、噂に聞く極阿の八傑、桀衆…どの程度の価値か…ヴィクス・トワールに見せてもらうぞ)」


その中にあって、明らかに新型と思しき黒と濃紺のZWに搭乗している黒仮面の人物…ヴィクス・トワールが呟く。


「…(それと…、量産型イズロツの実戦テストに、この骨董品の価値もな)」


ヴィクスは、自機の後方に控えている三機の量産型イズロツと自らが手配した高級艦艇の甲板上に待機している大型ZWを見て思案する。


「イズロツ隊各機に告ぐ、今回は正規の作戦行動ではない、各自の判断で戦った後、速やかに撤退せよ」


「了解した、ヴィクス」


「さて、噂に聞く極阿の精鋭がどの程度か、遊んでやるとするか」


「…ヴィクス一人でも壊滅させられる戦力だな、だが敢えてそれをしない…か」


ヴィクスの命に対し、黒い西洋鎧の騎士にそれぞれ剣、槍、銃を持ったエンブレムの付いたパイロットスーツを着た者達が応える。


「…我等が上とて僅差に過ぎん、それと我等以外は敵だと思った方が良い、くれぐれも落とされるなよ」


「心配するな、賊なんざ信用してねえよ」

「そうなったら撃たれる前に落とせば良い」

「善処しますよっと」


ヴィクスは不敵な笑みを浮かべる三人を見て何かを確信したように敬礼すると、ヴィクスを含む四機は夜の空を加速していく。


「ヒャッハー!俺たちの国の始まりだぁぁ!」


両肩に巨大なトゲ付きショルダーアーマーを装備し、無駄に高級そうなマントを後方にたなびかせた厳ついZWが頭部の三連モヒカンの様な刃をそれぞれ赤、黄、青に発光させ、頭部モノアイカメラを赤く点灯させながら出撃する。


あまりの重量に飛行が出来ないのか、同時に出撃していたバイク型ZW・ガンツェスがそのZWを上に搭載し、海面スレスレを飛行していく。


他にも、頭部に巨大なドリルや角をつけたZW、大型のリボルバーを取り付けた様なZW、ムカデや漢字の前立をつけた兜の様な形状をした頭部のZWのほか、拳の形状をした頭部のZW、チョキの形状をした頭部のZW、掌の形状をした頭部のZWが三機一組になって出撃する者もあった。


出撃したZWのほとんどがガンツェスに跨り、各々がミサイルランチャーやガトリングガンを構えながら極阿シティに向かっていく。


政府軍の四国征伐の騒動につけ込んでの不法移住は百一の対策で失敗に終わったが、賊徒達は失敗を見越して密かに戦力を集結させており、すぐに一斉蜂起して新旧極阿シティを包囲した。


新極阿シティの住民達は表裏本州からの移住者が殆どで戦慣れしておらず、賊徒達の襲撃の報に狼狽るが、ベヘモス戦争でその手の襲撃に慣れている極阿残党は全く動揺せずに対応する。

特に旧極阿シティの住民達の殆どは実戦経験があり、極阿軍の主力が不在でも瞬く間に防衛戦の準備が整っていき、先制攻撃で放たれたミサイル群が全て迎撃されてしまう。


「…一発も着弾無しかよ!」


「クソッ、なんつー対応の速さだ、旧極阿シティ側は迂闊に手ェ出すんじゃねえ!」


旧極阿シティ側の応戦態勢を見てとった賊徒達は、作戦通りすぐに新極阿シティ側へと戦力を集中させていく。


しかし…


「輪廻さんの予想通りの時刻でしたね、…準備は良いですか?柊、クレス」


極阿外周部付近の小島に伏せている椿が輪廻の描いた賊徒達の侵攻予想図と現在の侵攻図が一致しているのと、極阿軍の必殺の布陣を確認しながら言う。


「は、はい…姉様」

「準備万端です、姫様!」


椿の言に対し、柊は緊張して余裕がなさそうに応え、クレスは気合十分といった感じで応答する。


「もう、クレスちゃん、私はもう姫様じゃありませんよ、椿と呼んでくださいな」


「あ、いえ、私にとって姫様は姫様でして…名前で呼ぶのは畏れ多いというか慣れないもので…」


こんな時まで、椿は未だクレスに名前で呼ばれない事に不満気であり、椿の言にクレスは困惑する。


「はいはい、もう戦闘なんだからそこまでにしなよ、続きは敵を始末してから」


椿とクレスのやり取りを見て、見かねたミィナが回線に割り込んで制止する。


「………、柊、緊張は解れましたか?」


「はい、姉様達に感謝です」


「うん、宜しい」


椿は専用回線で柊の様子を伺い、柊はいつもの調子に戻って応答すると、椿は満足げに言って微笑む。


御姫様(おひいさま)、合図を」


「…無用です、獲物がかかれば狩る、それが我等共通の合図でしょう」


「ふっ、そうでしたな」


椿の老側近が合図を求めるが、椿は敵部隊の位置と攻撃開始地点とを感じ取りながら言い、老側近は分かっていたかの様に言い、銃口を敵部隊に向ける。


「!」


-ズギュゥゥゥン-


「「「おおお!!!」」」


-ドドドドドドドド-


「やっぱり兵を伏せてやがったか!」


「一気に突破しろ!」


賊徒達がある地点に差し掛かった所で椿はヤトガタナⅢのビームを放ち、賊徒のZWを撃破。それを合図にフルステルス状態で伏せていた極阿のZW部隊が一斉に射撃する。

空と海の上下、正面と左右後方の多方向から攻撃を喰らった賊徒達のZW隊の陣形が少し乱れるが、賊徒達も百戦錬磨の猛者揃いであり、ガンツェスを器用に乗りこなして回避しながら突破を試みる。


「砲戦型夜光、主砲装填完了!」


「照準!敵ZW隊!撃つだけでいいぞ!」


-ズガァァァン-


-バキィィィィン-


「ぐほぁぁっ!?」


続いて新極阿シティ外周部の対ZW防壁の内側に配備されていた砲戦型夜光が肩部118㎜長射程レールキャノンを一斉射し、左肩部に被弾した賊徒のZWがガンツェスから放り出される。


「やりやがったな、んの野郎…!」


賊徒はZWを操縦して姿勢制御を行ないながら言うが…。


-カシィン-

-チュン-


「動きが遅すぎんだよ!馬鹿野郎!」


-ズガァァァン-


-バキィィィィン-

-チュドゴォォォォン-

-ボォォォン-


夜光用の飛翔翼を各勢力のZWに装着可能にする外付け専用コネクタでそれなりの空戦能力を付与した甲型紅花に搭乗していた太田は、姿勢制御を行なっている最中のZWを捕捉しながら言い、94㎜バースト・リニア・ライフルを発射。

発射の超衝撃で空間が歪んだ直後に甲型紅花が大きく後退し、弾丸が賊徒のZWを貫通・粉砕し、更にもう一機の賊徒のZWも貫いて撃破する。


「ちっ、外付けの飛翔翼に加えてパワード・ネオンの武器は強力過ぎて加減が効かねえ…!」


太田は反動で94㎜バースト・リニア・ライフルを両手で構えたまま吹き飛ばされた甲型紅花を辛うじて制御しながらぼやく。


-チュンチュンチュン-


「太田さん、天霧で頑張り過ぎてンスから無茶はいけませんぜ!」


「つっ…!…スマン、大丈夫だ、こんな継ぎ接ぎで無茶はしねえよ」


杉浦が忠告しながら裏愚椎冴を操縦して太田機の側に近寄り、55.6㎜アサルト・ライフルの散弾をシールドで跳弾させて防ぎ、太田は全身の怪我の痛みを堪えながら言う。


「太田さんが落してくれた、もう一回」


「照準、先頭の敵ZW!撃てぇ!!」


-ズガァァァン-


-バキィィィィン-


「ぐわぁ!?」


「えぇい!」


-ザシュゥゥ-

-ヒュゥゥン-


砲戦型夜光の次なる斉射が賊徒のZWに被弾し、動きを鈍らせた所を側面から迫っていた柊の夜刀集弐型が、ヤトガタナⅢを繰り出して賊徒のZWの脇腹を貫く。

ヤトガタナⅢに貫かれた賊徒のZWは破損部分からオイル漏れを起こして機能停止し、柊は夜刀集弐型の脚部を繰り出して賊徒のZWを蹴り、ヤトガタナⅢを引き抜いて離脱する。


「流石です、姫様!」


-カッ-

-バシュゥゥッ-


クレスの夜刀集弐型が柊の夜刀集弐型をさりげなく庇いつつ、ヤトガタナⅢで敵ZWを一刀両断にする。


「二機撃破、敵機急速接近します」


「上出来だ、あとは板築女史とクナトが落としてくれる、予定通り次に備えるぞ」


「了解」


作戦の一部を終えた砲戦型夜光が一斉に持ち場を離れていく。


「おうおう、敵さんが尻尾巻いて逃げていくぜぇ」


「このまま乗り込んでやる!」


砲戦型夜光が一斉に持ち場を離れていくのを見た賊徒達は、これ幸いとスピードを上げていく。


-カチカチカチカチカチ-


「曇りだからって、上空への備えが疎かだにゃん♪纏めていただき☆」


-カチン-

-ギュゥゥゥン-


香我美は数多のターゲットを捕捉しながら興奮気味に呟き、極阿上空で静止している朧月が主砲と機動連装砲を長距離狙撃モードに変形させて発射する。


「突っ込めえぇ!!」

「ヒャッハー!…!?」


-シュン-

-ドドドドドドドドゴォォォン-


直後に天からの正確な射撃が賊徒達のZWとミサイル群をまとめて貫き、殆どを爆砕させる。


「おうおう、容赦のないこってぇ」


事前に退避していた太田は、杉浦達に周囲を任せて残存機を捕捉しながら呟く。


「ひ、ひぃぃ!な、ななな何が起こったんだぁ!?」


運良く回避した賊徒は、何が起きたのか分からずに狼狽する。


「追撃☆」


-バキィィィィン-

-ドゴォォォォォン-


直後には朧月の機動連装砲が近くまで飛来しており、追撃の90㎜連装リニア・キャノンが賊徒のZWの背後から放たれて爆砕する。


「本当に容赦ねぇな、流石は前の大戦を戦い抜いただけある、こりゃあ俺たちは裏方に回ってサポートに回った方が良さそうだ」


太田は香我美の容赦ない追撃と極阿軍の奮戦ぶりを見て呟く。


「撃ち漏らしは…無しか、なかなかやるな板築さん、俺もやりますか!」


「クナトさん」


「頼まれた!」


朧月の容赦ない射撃を見て対抗心に火がついたクナトは、椿の指示を聞く前に夜刀集弐型のヤトガタナⅢをロングバレルモードに展開して柊の夜刀集弐型を急襲しようとしているZWを捕捉する。


「柊ちゃん、急速後退だ!」

「…っ!」


クナトは柊に言うや、柊は即座に反応して夜刀集弐型を急速後退させる。


「逃すかよ!」


それに釣られるようにして賊徒のZWが大斧を構えて急速接近する。


「いってこい!」


-ズガァァァン-


「潰れちまいなぁぁ!!」


クナトが射撃すると同時、賊徒は興奮気味に叫びながら操縦レバーを握りしめ、加速ペダルの踏み込みが過ぎて起立しつつ、柊の夜刀集弐型に対して大斧を振り下ろす操縦を行う。


-バキィィィィン-

-ボォォォン-

-ザクッ-


「ア゛ーー!!」


-ドゴォォォォォン-


柊の夜刀集弐型に間合いを詰めてきた賊徒のZWが側面から飛来してきた弾丸に射抜かれると、賊徒は破損時に発動した脱出ポッドの衝撃で強制的に着席させられると、股間に破損したパーツの破片が刺さり、断末魔をあげながらも操縦して離脱する。


「姫様!」


-ヒュン-

-ザシュゥゥ-


「なんだ!?右腕がロストだと!?」


もう一機接近していたことに気付いたクレスは、ツイン・ニードル・ダートを投擲して賊徒のZWの右腕部を損傷させ、賊徒が慌てる。


「撃ちます!」


-ズガァァァン-

-ヒュン-


「はっ!ヘタクソがよ!」


隙を見た柊はヤトガタナⅢのレールガンを放つが、寸前の所で回避される。


「クレス、柊ちゃん、良い牽制だ!任せとけ!」


-ズガァァァン-

-バキィィィィン-

-ドゴォォォォォン-


柊が外した直後にはクナトが引鉄を引いており、右後方から撃ち抜かれた賊徒のZWが爆発・四散する。


「そいつは弱いと見たぁ!ヒャッハー!!」


-ドドドドドドドド-


柊の夜刀集弐型の動きで練度を察した三機のZWが55.6㎜アサルト・ライフルを連射しながら迫る。


「姫様には触れさせん!」


-ヒュンヒュン-

-カシィン-

-ガァァン-

-ガァァン-

-ゴォォォン-


「ぐおあふっ!?ちぃ…!サブカメラ!」


クレスの夜刀集弐型が思念波障壁とツイン・トンファーを展開して散弾を弾きながら突進し、賊徒のZWを連続して殴りつけた後に蹴りをみまう。蹴りを受けてメインカメラを潰された賊徒は慌ててサブカメラに切り替え操作する。


「ハァァァッ!」


-ガッキョォォォン-

-ボォォォン-


「クソォォォォ!!覚えてやがれぇぇぇ!!」


すかさずクレスが思念波障壁を込めた強力な一撃をコクピット近くに叩き込むと、賊徒は叫びながら緊急脱出ポッドを作動させて離脱する。


「逃すかよ!」


-ズガァァァン-

-バキィィィィン-


「ひゅぅぅ!間一髪だったぜぇぇ!」


-ドゴォォォォォン-

-ドボォォォン-


クナトが脱出ポッドを容赦なく撃ち落とすと、賊徒は身につけているゴツい鎧みたいなパイロットスーツを脱ぎ捨てながら海にダイブする。


「ちっ、脱出ポッドを撃ち抜かれる直前に脱出できるとか…どういう直感してんだよ…、やられ慣れってやつか?」


クナトはトドメを刺し損ねた事に憤慨しつつも、賊徒のしぶとさに半ば感心した様に呟く。


「ふん、我に手を出したからには覚悟してもらう」


そこへ、俊敏な動きでクレスの攻撃を捌き、柊の射撃を擦り抜ける様に回避しながら柊の夜刀集弐型に急迫するZWがあり…。


「…っ!?」

「ハァッ!!」


-ガキィィィィン-


「へっ、野良にしては良い太刀筋だ、だがな!」


-カァン-


「ほう、我が剣に太刀打ち出来るとは…、面白い…!」


-カキィィィン-

-ググググググ-


柊の夜刀集弐型を庇う様にして現れた別の夜刀集弐型がヤトガタナⅢで大剣を受け止め、双方共に剣を繰り出すと鍔迫り合いになる。


「‥.雷の様な豪速剣、雷を断つ鬼面武者、武田一刀流か」

「…閃光の様な速剣、剛柔一体の二刀流、双剣に統の字、加賀崎二刀流と見た」


「…っ…統弥さん…!」

「ち、仕方ねえ」


-ズギュゥゥゥン-

-シュン-

-ビビッ-


「む…、闇騎士め…獲物を横取りするつもりか、此度はこれで終いの様だ、加賀崎の剣士よ、我はモノノフ・ザ・イットウサイという、貴殿との再戦を楽しみにしておくぞ、生き延びろよ…!」


-ゴォォォッ-


柊はその夜刀集弐型に描かれている剣のエンブレムを見るや奮起し、即座に賊徒のZWにヤトガタナⅢの照準を合わせてビームを放つと、阿吽の呼吸で統弥の夜刀集弐型が退避。

イットウサイのZWは瞬時にビームを回避し、統弥の夜刀集弐型に剣客通信を送って自己紹介を済ませた後、速やかに退却していく。


「ち、あの変態剣客野郎め、やる気あんのかよ…!こうなったら俺が直々に…これはどうだぁ!」


原型を留めない位にカスタマイズされたZWが多い中、一際大きな賊徒のZWが四基の背部機動兵装ポッドを発進させて柊達に向かう。

賊徒のZWが発進させたのは旧式の機動兵装ポッドだが、高性能CPU搭載型の自動制御式で一応のオールレンジ攻撃は可能である。


「ひうっ…!」


対ベルシト戦で機動兵装ポッドの恐怖を刻み込まれていた柊は、その動きを見るや、かつての恐怖を思い出して動きを鈍らせる。


「姫様!私達が付いています!気を確かに!」

「…っ!」


クレスの一喝が柊の恐怖心を吹き飛ばし、共に回避運動を取る。


「そいつが大事か!ならば切り離して潰す!ぐぉぉ…頭痛が…」


賊徒は柊の夜刀集弐型を庇うクレスの夜刀集弐型を切り離すべく、機動兵装ポッドのパターンを入力するが、途中で高血圧による偏頭痛に襲われる。


いつもの癖なのか、賊徒はパイロットスーツに内蔵されている血圧計をチェックしつつ、医師から渡された手帳に己の血圧と体調、状況を丁寧に書き込み、書き込みが終わった手で無針血圧薬を取り、腿にある打ち込み口に薬を打ち込んでいた。


…戦闘中に器用な真似をする賊徒である。


「クレス姉様!」

「私を姫様から切り離すつもりか!統弥!クナト!姫様を!」


機動兵装ポッドの動きと攻撃から、分断戦術を見抜いたクレスは、統弥とクナトに柊の護衛を任せ、自らは機動兵装ポッドの作戦に嵌る様にして誘いをかける。


「応!」

「お任せあれってな!」


クレスが頼むよりも早く、統弥は柊に近づいて盾の役目を受け継ぎ、クナトは速やかに迎撃態勢に移る。


-バシュゥゥッ-

-ドゴォォォォォン-

-ヒュン-

-ザシュゥ-


「姫様!加賀崎から離れないで下さい!」

「柊、俺から離れるな!」

「は、はい!」


クレスが機動兵装ポッドをいなす内に統弥は柊を庇う様にして機動兵装ポッドを両断しつつ、ツイン・ニードル・ダートを投擲して機動兵装ポッドの推進部を損傷させ墜落させる。


-ズガァァァン-

-バキィィィィン-

-ドゴォォォォォン-


「統弥!来てるぞ!」

「分かってらぁ!」


クナトは統弥に迫る機動兵装ポッドを迎撃しながら言い、統弥は賊徒のZWに対応する。


「必殺の間合いだ!貰ったぁぁぁぁ!!」


-ヒュヒュン-

-ヴゥゥン-

-ゴォォォ-


統弥の夜刀集弐型を完全に捉えた賊徒は、パイロット殺傷兵器である高電圧ワイヤークローと対ZW破砕鎚のツイン・アイゼンストライクを同時射出し、22㎜側頭部リニアを連射しつつ、五本のヒート・ラムと大出力ヒートジェネレーターを搭載した大型重突槍を展開して突進してくる。


「オラァァ!」


-カァン-

-ガキィィン-

-ガァァン-


「一閃流…槍ごと裂く!」


-ズバァァァッ-


「ば!?馬鹿なぁ!?」


「えぇい!」


-ズギュゥゥゥン-

-シュン-


「やぁ!?やられただとぉぉ!?」


-ボォォォン-

-チュドゴォォォォン-


クレスの釣り作戦に嵌り、瞬時に機動兵装ポッドを撃破された上に統弥の夜刀集弐型が迫ってきた高電圧ワイヤークローの放電部分要部とアイゼン・ストライクの脆い部分のみを容易に両断した後に大型重突槍をも両断し、更に賊徒のZWの両腕部と頭部を切断してみせた為に賊徒は驚愕。隙を見た柊はヤトガタナⅢのビームを放ち、賊徒のZWはビームに貫かれた直後に脱出ポッドを射出して爆砕する。


-ビビッ-


「…何っ!?」

「…!」


-バシュゥゥッ-


突然、夜刀集弐型の近くに迫った何かに反応した統弥は、即座にそれを切り払い、柊を庇う態勢に移る。


「…VSLK(ヴァスレク)を切り払うとは大した腕だ、噂は誠か」


「…(なんだ、コイツは…!)」


夜刀集弐型の前に現れた黒と濃紺色の機体に、統弥は得体の知れない何かを感じ取る。


「今しばらく、私のイズロツのテスト相手になってもらうとしよう…か!」


-ギショォォォン-


「…!!逃げろ、柊…!」


「…は、はい…!」


黒と濃紺のイズロツが背部ユニットを展開した瞬間、統弥の全身から冷や汗が吹き出し、本能的に危険を察した統弥は、柊に逃げる様に促すと、統弥の声音からただならぬ相手であると察した柊は、クレス機の近くへと退いていく。


「数秒くらいは…落ちないでくれよ?」

「……っ!?」


-カァァン-


次の瞬間には雷の様な一撃が夜刀集弐型に迫り、統弥は辛うじて一撃を捌く。


「…そこだ」


-ヴゥゥン-

-ドゴォォォォォン-


「ぐっ…!」


続く雷の様な一撃は捌けず、思念波障壁を貫かれた夜刀集弐型の右上半身が粉砕されて吹き飛ばされ、統弥は急いで姿勢を整える。


「!」


-ドドォォォォン-


三撃目、四撃目を辛うじて心眼で捉えた統弥は、即座に夜刀集弐型を操縦して回避し、着弾した海面から凄まじい水柱が上がる。


「ちぃ!」


-バチュゥゥ-

-ググググググ-


「ふふ、悪足掻きか」


次の瞬間にはレーザー・ブレードを展開したイズロツが夜刀集弐型に急迫し、レーザー・ブレードの切っ先が夜刀集弐型のコクピット部分に向けられるが、辛うじて反応した統弥は夜刀集弐型の左腕部を動かして二本のツイン・ニードルダートを抜き取り、ツイン・ニードルダートの切っ先でイズロツのレーザー・ブレードを受け止める。


「所詮は旧式か」


-バシュゥゥッ-


「くそ…!」


しかし、性能差と技量差は顕著であり、夜刀集弐型のツイン・ニードルダートごと、左腕部も圧し斬られる。


「…(やられる…?)」

「…む…!」


-ギュゥゥゥン-

-バチュゥゥ-

-バチュゥン-


次の瞬間、統弥の夜刀集弐型のわずかな隙間に側面から放たれたレーザーが迫るや、黒と濃紺のイズロツはレーザー・ブレードの切っ先を側面に向けてレーザーを防御、続けて放たれていたレーザーも回避して間合いを取る。


「姫様!奴は私に任せて統弥をお願いします!」

「統弥さん!」


柊の援軍要請に応えたクレスと他の極阿勇士達のZW隊が現れ、柊が統弥の夜刀集弐型を回収してイズロツから離れさせる。


「…ふ、その者は命拾いしたな、次は君達がイズロツのテスト相手を務めてくれるという訳か、今日は運が良い様だ」


-ドドドォォォォン-


「見切られてる…か!…久々に強敵だな」


次の瞬間にはイズロツが腰部砲身を展開して雷の様な超高速射撃を放ち、クナト機の狙撃を全て迎撃してみせると、クナトは冷や汗を流しつつも、不敵な笑みを浮かべる。


「私は一人一人相手するのが面倒な質でな、まとめてかかって来ると良い、それでも擦りもせんだろうがな」


「ちっ、上等こいてんじゃねえ」


「おい、八傑のガキども、コイツはマジでヤバい奴だぞ、尻尾巻いて逃げるか、心してかかるかのどっちかにしとけ」


「…怪物(ベルシト)級だとしても気に食わねえ、確信を砕いてやらぁ!」


ヴィクスはクレス、クナト、六機の夜光隊を見ても余裕たっぷりな様子で言い放ち、極阿の勇士達がヴィクスのイズロツに一斉に攻撃を仕掛ける。


-ヒュン-

-シュン-


「手間が省けて良い、だが…私は冗談を言わん主義でな、六機は落ちてもらう!」


-カシィン-

-ヴゥン-


「むっ!?」


-バシュゥゥッ-


「隊長ぉ!」


-バキィィィィン-

-ドゴォォォォォン-


-バシュゥゥッ-

-ヴゥン-

-ドシュゥゥゥ-


「ば、馬鹿な…!」


-ヴゥン-

-ドゴォォォォォン-


ヴィクス専用イズロツが極阿の勇士六人の夜光の猛攻をいとも容易く回避し、レーザー・ブレードとVSLKで的確な反撃を加えて次々と撃墜していく。


「ちっ、先輩方を瞬殺かよ…!」


-シュン-

-シュン-


クナトはヴィクス専用イズロツを狙撃するが、撃つ前には射線から回避される。


「こちらもいるぞ!」


-シュン-

-ヒュン-


「甘いな、あの者は射撃、君は接近戦が得意な様だが、私とイズロツには擦りもせんよ」


クナトの狙撃に続いてクレスが連続で攻撃を仕掛けるが、ヴィクスに回避され、ヴィクスは余裕の表情で言い放つ。


「コイツ、私たちの戦闘を知っているのか、こうも的確に回避できるとは…!」


「ち、撃つ前に完璧に見切ってやがる…!!」


クレスとクナトはヴィクスのイズロツに猛攻を繰り返すも、全て容易く回避されてしまい、二人は戦慄する。


「攻撃とはこうするものだよ」


-キュゥゥン-

-ズゥゥン-


「ぬぅ!?」

「ぐっ!」


黒と濃紺のイズロツから放たれた射撃が曲線を描いてクレス機の右背部装甲を破砕し、反対から放たれた射撃がクナト機の右脚部を貫いて破砕する。

クレスとクナトは反撃しようとするが、イズロツの動きは速く…。


-ドドゴォォン-


「ぐうっ!?」


ヴィクスの攻撃に咄嗟に反応してトンファーで防御したものの、次の瞬間にはクレス機の左腕部が粉砕されており…


「クレス!」

「!?」


-バシュゥゥッ-


「ほう、良い反応だ」


-シュシュン-


「すまないクナト!」

「礼は後だ、下がれ!」


追い討ちのレーザー・ブレードをもう一つのトンファーを犠牲にして回避し、クナトの援護射撃に乗じて距離を取る。


「んにゃ…統弥んがやられてクレス女史とクナっちが手玉に取られてる…、こりゃおねいさんが援護しなきゃでしょ!」


他の夜光隊の援護射撃をしつつ、クナトの腕前観察をしていた香我美は、エース二人を圧倒する黒と濃紺のイズロツを見て闘争心が刺激され、イズロツにフルステルスモードの機動連装砲を放ちつつ、16cm可変口径超電磁砲の照準を合わせる。


「…ふ、見えているぞ」


-ドドゴォォン-

-ドドォォォン-

-ビシュゥゥゥン-

-チュドゴォォォォン-


「!!?」


-ヒュゴォォォォォッ-


しかし、次の瞬間には黒と濃紺のイズロツがVSLKを四方に連射してフルステルスモードの機動連装砲を残らず撃墜し、朧月のいる方角に向けて背部超出力レーザー砲を放ち、香我美は思念波障壁を展開して辛うじてレーザーを回避するが、朧月のフルステルスモードが解除される。


「次は君が相手か」


黒と濃紺のイズロツのパイロットはそういうや、イズロツの背部ユニットが展開して七つの円柱が射出され、姿を消して朧月に向かっていく。


-シュン-

-ドゴゴゴゴゴォォォォン-


「…がっ!?これは…!落とされる…!」


朧月の全方位から雷の様な超高速射撃と衝撃波が襲いかかり、瞬く間に朧月の装甲が破壊されていく。

朧月が展開する強力な思念波障壁をも容易く貫く射撃は、朧月の堅牢な装甲にすら有効打を与えており、このままでは撃墜されると確信した香我美は、コクピット内にある虎枠に囲まれたレバーを引く。


-ゴォォ-

-シュシュシュシュン-


「私も…伊達に修羅場は潜っていないにゃん☆」


猛攻を受けて構造崩壊を起こした朧月の外殻から主砲を持ったZWが射出され、それに気づいた七つの円柱が容赦なく射撃するも、思念波動能力で大体の位置と攻撃を掴んでいた香我美はそれを的確に回避して見せる。


「全方位思念波動領域、もう隠れんぼはさせないにゃん☆」


朧月から射出されたZW…朧月の本体が16cm可変口径超電磁砲を背部の専用コネクタに接続して収納し、思念波障壁を広域展開して七つの円柱の位置と動きを把握する。


「認識できるようにしたところで退避できるとは限らん、むっ…!?」


「にゃ…!?」


-ズドゴォォォォン-


「づっ!ほ、板築女史を守れ!日頃の恩!身体張って返したるわぁぁ!」


-ドドゴォォン-


怪物(ベルシト)相手に慣らした極阿の戦法じゃぁ!」


賊徒部隊を壊滅させた他の夜光部隊が朧月の援護に参加し、朧月に迫っていた超高速射撃を思念波障壁とシールドを犠牲にしてでも防ぐ。


「決死の防御か、私に価値を見せるとは…!」


装甲を粉砕されてもなおも身体を張って盾になる極阿軍兵士達の執念はヴィクスを惑わせるのに十分であり、若干だがスレイヴ・シリンダーの攻撃が緩む。


「…板築先輩が朧月の本体を使うなんて、怪物(ベルシト)凶人(マガト)以来の超ヤバめの相手かな」


朧月の外殻が撃墜された所を目撃したミィナは、嘗ての驚異が脳裏に蘇り、香我美の朧月の援護に向かう。


「統弥君を倒し、香我美ちゃんとクレスちゃんとクナト君を同時に相手して圧倒するやなんて…、桂川さんみたいやね」


咲耶は新極阿シティから五人の苦戦を見て純子のシゴキに準え、静かに戦況を見て待機していた。


「…シリンダーの反応が鈍い、エネルギー容量も少ないときたか、そちらはお前たちに任せる」


「了解した、あとは俺たちに任せろ」


ヴィクスはイズロツの高機動とVSLKでクレスとクナト、援護に来た極阿の勇士たちを適当にいなしつつ、香我美の朧月や援護に駆けつけた夜光隊を相手に全方位攻撃を続けながら呟き、量産型イズロツ隊が朧月と夜光隊の相手を引き継ぐ。


同時にスレイヴ・シリンダーを背部ユニットへ戻していき、隙を狙ったクレスがツインニードル・ダートを射出し、クナトがある角度をつけてヴィクスのイズロツを狙撃するが、ヴィクスはツインニードル・ダートをVSLKで粉砕し、クナトの狙撃を回避する。


-ドドゴォォン-


「ちぃ…!一矢も報えないとは…!」

「クレス、退却なさい」


「ですが…!」

「柊、クレスと統弥を連れて退却を」


「は、はい!」

「姫様…、無念です…」


大破した夜刀集弐型でなおも戦おうとするクレスを見かね、椿はクレスと柊に回線を繋いで退却を命じ、柊はクレス機と統弥機を回収して退却していく。


「…一人芝居が過ぎたか、本隊が到着する前にお暇させていただこう」


そうこうするうちに、新極阿シティに向かっていた賊徒達は殆どが壊滅して後退、椿の夜刀集弐型と老側近らの夜光が戦線を押し上げてきており、更に後方から急速に接近しつつあるZW編隊、複数の未確認機がイズロツの索敵網に引っかかった為、ヴィクスは潮時とばかりに七つの円柱をイズロツの背部ユニットに収納し、高速巡航形態に変形させると、次の瞬間には超高機動を発揮して極阿近海から離脱してしまう。


「くそ、追えてたのに撃つまで持っていけなかった…!…彌沙那(みさな)ならシールドくらい使わせてただろうけどな…」


クナトは悔しそうに言うが、次の瞬間にはターゲットを捕捉して狙撃していた。


「…そっちもか!」


-ギュゥゥゥン-

-シュン-

-シュン-

-ボォォォン-


クナトの放ったレーザーに気付いた賊徒は咄嗟に対レーザー・シールドで防御するが、レーザーの跳弾が他の賊徒のZWの頭部モノアイ・カメラを綺麗に射抜き、更に夜光の思念波障壁で歪曲されたレーザーがその夜光を叩き斬ろうとしていた賊徒のZWのコクピット部分を焼き溶かすと、賊徒のZWから脱出ポッドが射出される。


「はっ!外してやんの!極阿のスナイパーも大したことねぇな!」


「はいはい、コイツで黙ってなって!」


-ズガァァァン-

-バキィィィィン-

-ドゴォォォォォン-


シールド防御した賊徒がわざわざ回線を繋いでクナトを挑発するが、クナトは相手にしていない感じで言いながらヤトガタナⅢのレールガンを放ち、弾丸が賊徒のZWが構えたシールドの僅かな隙間に入り込んでZWの胴体部分を貫き、爆砕する。


「…ちっ、この辺で限界かよ、あとは……新型に乗った桂川さんに任せても良さそうだな」


-ズガァァァン-

-バキィィィィン-

-ドゴォォォォォン-


クナトは夜刀集弐型の損傷具合と彼方で僅かに煌めいた光を見て呟き、香我美の朧月を執拗に狙撃していた賊徒のZWをしれっと撃ち落としてから極阿シティへ後退していく。


-ズギュゥゥゥン-


「お、おい!?新極阿シティに向かった奴らが!」


-ズゥゥン-


「ぐおっ!?どっからだ!?」


遠距離からの射撃を受けた賊徒のZWが追加装甲を砕かれてよろめき、賊徒が慌てて索敵する。


「こんの空き巣狙いがぁ!オバチャンらの留守狙ったツケは高くつくでぇぇぇ!徹底的にシバいちゃるからのぉぉ!!!」


-ウゥン-

-ドォォォォン-


桂川が怒号を発しながら賊徒のZWに向かっていく。

桂川の搭乗している夜光に似たZW…夜光弐型が頭部サブ・クアッド・アイ・カメラとメインカメラのツイン・アイ・カメラを発光させ、背部ウイングから思念波障壁で形成された光の翼を使って加速する。


「ふざけんじゃねえ!」


-ズガァン-

-ズガァン-


「効くかぁぁぁぁ!!!!」


-ヴゥゥン-


「っ…!?」


賊徒は桂川の夜光弐型に向かってリニア・ライフルを放つが、桂川の大喝の具現ともいうべき思念波障壁の波がリニア弾を消し飛ばし、賊徒は桂川の気迫の凄まじさに気圧されて硬直する。


少し後には、桂川の夜光弐型が彗星の如き光の矢となり、賊徒のZWを粉砕したかと思えば、夜光の思念波障壁の形状変化と機体の方向転換を行なって減速しつつ、速やかに態勢を整える。


「その降臨する姿は地に堕ちる彗星の如く、姿を見せし時は羽衣を纏い…風に乗り…華麗に戦場(いくさば)を舞う…、…新型は訳わかんねえ性能してんな、久慈昌和(くじ・まさかず)、突貫する!」


桂川の夜光弐型の変態機動を見ていた久慈は、あまりの操縦の見事さに思わず呟いてしまうが、次の瞬間には頭を切り替えて乱戦の中を突っ込んでいく。


「援軍が来たか、しかも新型だ」

「どうする?アレ落としてから俺たちで新型同士の取っ組み合いでもするか?」

「馬鹿言え、離脱するぞ」

「…だな、ヴィクスも居ねえし」

「了解だ、さっさと帰って一杯やろうぜ」


朧月と夜光隊に猛攻を仕掛けていた量産型イズロツ隊は、桂川の夜光弐型を見るや否や、攻撃を中止して戦場から離脱していく。


「な、なんだあのZWは…!」

「敵の新兵器か!?」


桂川の夜光弐型を見た賊徒達は、情報に無い機影と先ほどの攻撃に戦慄する。


「動きを止める方が悪いにゃん☆」

「止まる奴がいるかよ!」


-ギュゥゥゥン-

-ズガァァァン-

-シュン-

-ドゴゴォォォン-


戦慄して動きを止めた賊徒のZWが香我美と太田の狙撃を受けて爆砕する。


「さて、桂川さんと朧月に気を取られてたら、沈む…よ!」


-バシュゥゥッ-


「同感…ですね!」


-ズガァァァン-

-バキィィィィン-


「き、機関部に直撃!!ば!爆発す…」


-ドゴォォォォォン-


「なっ!?なんだと!?」


賊徒達の艦隊には、賊徒達の前衛を突破したミィナと椿が交戦を開始しており、既に一隻の軽巡洋艦が沈んでいた。


九条親衛隊や太田隊勇士達のZWも次々と賊徒の艦艇へ攻撃を仕掛けていく。


「そこへ艦艇沈めの達人・狭山徳弘(さやま・のりひろ)、貴艦隊を沈めに参上ってな!」


「アホな事抜かしてんと早よ降りろや!パーツ込み込みで重いんじゃぁ!」


艦隊の対空砲火を潜り抜けながら降下ポイントを探っていた徳弘の言に回避運動で忙しい義和は若干苛つき気味の口調で言い、徳弘の裏愚椎冴を投下する。


「おまっ!?切り放すん早過ぎじゃ義和ぅぅ!!」


投下された徳弘は叫びながら裏愚椎冴を器用に操縦して艦艇の直上を取って降下する。


更に…


「おらおらおらぁ!森本栄樹(もりもと・えいき)が相手すんぞぉ!命の要らない奴からかかってこいやぁぁ!!」


-バシュゥゥッ-


「ぐわぁ!?」


「くっそ、徳弘のアホの相手してたら昌和に抜かされたわ、小諸義和(こもろ・よしかず)が相手したるでぇ!」


-ズゥゥン-


「ぬおっ!?こいつら!強ぇぇっ!?」


桂川と久慈に続き、栄樹と義和の夜光が賊徒達のZWを次々と蹴散らしながら突進してくる。


「調子こいてんじゃねえ!食らえ!」


「甘いにゃん☆」


-カチン-

-ズガァァァァン-

-バキィィィィン-

-ドゴォォォォォン-


「安定感抜群の朧月ほどじゃないけど、本体の狙撃もなかなかのものだにゃん☆」


大斧で義和の夜光を斬りつけようとしたZWのコクピット部分に朧月の16㎝可変口径超電磁砲の弾が直撃し、賊徒のZWが四散・爆砕する。


「刈り取ったらぁぁ!」


-ヴゥゥン-


「甘いんじゃぁ!」


-ガッキョォォォン-


「ぐわっ!?」


大型の鎌を構えた賊徒のZWが義和の夜光に迫るが、義和はすぐに反応し、夜光の思念波障壁を発生させて賊徒のZWにタックルを見舞い、賊徒のZWをガンツェスから切り離した後に海へ蹴り落とす。

蹴り落とされた賊徒のZWは、態勢を整える前に香我美の狙撃を受けて爆発する。


「おお、ええバイクやんけ、遠慮なく貰っとくか」


賊徒のZWが乗っていたガンツェスにすかさず義和の夜光が跨り、夜光の可変有線コードを瞬く間にガンツェスの端子部へ接続し、輪廻印の対ZWウイルスをガンツェスに感染させて瞬く間に操縦系統を乗っ取る。


「ひぃぃ!どうなってんだこれぇ!うわぁぁぁ!?」


ガンツェスに搭乗していた賊徒は拘束された上で強制的に脱出ポッドを起動させられ、ガンツェスから排除される。


「ふざけやがって!叩き潰したらぁ!」


「むっ!?」


「義和ぅぅ!!」


-バシュゥゥッ-


義和がガンツェスに跨った隙を狙った賊徒が襲いかかるが、奪ったガンツェスに跨って援護?に来た徳弘の裏愚椎冴が側面から賊徒のZWの両腕部を斬り落とす。


「腕部ロスト!?ああ慌てるな!深呼吸ぅ…」


両腕部を斬り落とされた賊徒のZWは、一回転した後に両腕部が無い事を確認して挙動不審になる。


「おまっ!?ツッコミ待ちか!!」


-ズガァァァン-

-バキィィィィン-


「脱出ぅぅ!!」


-ドゴォォォォォン-


業を煮やした義和は、ガンツェスのレールキャノンをぶっ放して賊徒のZWを粉砕するが、被弾の直前に脱出ポッドが放たれており、賊徒は無事に離脱する。


「さっきのはなんやねん義和ぅ!」


「うわっ!?どこの暴走族やねんおま!」


ガンツェスを上手く乗りこなして器用に艦艇を撃沈していく徳弘が義和の真近くを通過し、義和は思わず回避しながら叫ぶ。


-ギショォン-


「一番乗りじゃい!」


-バシュゥゥッ-


-ズゥゥン-


海中から浮上して新極阿シティ外周部に上陸した賊徒のZWだったが、次の瞬間には胴体部分から大型重突槍の矛先が生えて機能停止する。


その背後には…


「…ウチらの土地は土足禁止なんよ、荒くれ者さん」


大型重突槍を持った咲耶の夜光がおり、咲耶は笑顔のまま冷たく言う。


-チュンチュンチュン-


「怪我人が眠ってる上に機体も傷ついてしもたけど、お願いなあ」


「へい、毎度おおきに、ありがたく引き取らせてもらいます」


咲耶は賊徒のZWを散弾を防ぐ盾がわりに使ってからジャンク屋に引き渡す。


「コクピットに怪我人や!はよ担架持ってこお!」

「怪我人の引き取りじゃあ!応急手当て急げ!」

「病院運ぶぞ!どけや!」


ジャンク屋に続いて救急隊が駆けつけ、手際良く賊徒を回収して応急手当てをし、病院へと運んでいく。


「さて…、作戦も新しい段階に入ったみたいやなぁ、私達は私達の仕事しましょか」


「…外のドンパチがフェイント、コッチの放火魔どももフェイント、毒を仕込んでた水道局員達もフェイント、ゴミん中の爆発物及び毒ガスの類いもフェイントですか…、今回は結構大掛かりですね」


「そうやなぁ、でも…輪廻ちゃんが言うにはこれはお近付きの印みたいなものっていうてたなぁ、…本気だしたら千年単位で苦しめにくるらしいわぁ」


「…千年単位で苦しめる…か、歴史書にある負遺物(バウモ)混沌期と呼ばれる時代を作ったトワール機構みたいですね…」


「…そう、かなり危ない相手らしいなぁ、輪廻ちゃん一人で大丈夫やろか…」


咲耶はそう呟きつつ、集結しつつあった砲戦型夜光隊に次々と指示を与えていく。


_____________________


「パンチの効いた攻撃!ショットナックル!」


拳型の頭部形状をしたZWがワイヤーで繋がれた腕部を飛ばし…


「か〜ら〜の、ハサミ攻撃で挟み込み!」


チョキ型の頭部形状をしたZWが背部対ZW大型鋏で襲いかかり…


「トドメにぃ、壁ドンだ!」


掌型の頭部形状をしたZWが右手部にある口径にエネルギーを集中させて突進してくる。


-ズゥゥン-

-チュドゴォォォォン-


掌型の頭部形状をしたZWがガンツェスの残骸を掴むと、右手部に集中させていたエネルギー波が放たれ、残骸が跡形も無く消え去る。


「くそ、こいつら…外観はアレでワンパターン戦術の筈なのに攻防共に隙が無い、このままじゃ…!」


「ちっ、コイツ…俺達の連携をこうも連続で回避するたぁただモンじゃねぇな…!」


「もうこのチームで周回キツくないっすか?無課金クランッスよ俺ら」


「同じ役割ばっかで正直疲れてきたンスけどねぇ…!」


拳型、チョキ型、掌型の頭部形状をした三機のZWは、流れるような連携攻撃と波状攻撃で極阿軍の江里口の夜光をしつこく狙っていたが、江里口も前大戦の死線を潜り抜けてきた猛者であり、なかなか上手く決まらない。


しつこく追い回しているうちに、賊徒達の方が疲れを見せてきていた。


しかし…


「そこのグーチョキパー!!冗談は外見だけにしときぃや!戦場はジャンケンやないんやでぇ!!」


「ひえぇぇ!?なんだコイツはぁ!?」


「無理ゲーやろ!?これ!!」


「反応追いつかんとかもうオワタ\(^-^)/やん!」


桂川の夜光は拳型、チョキ型、掌型の頭部をしたZWが目に映るや、凄まじい勢いで向かって行き、瞬く間に斬り捨てていく。


「か、桂川さん…アイツらをこうも容易く…」


桂川に救われた江里口は、桂川のあまりの強さに思わず呟いてしまう。


「アンタが大将?」

「な、何もんのつもりだ!クソガキがぁ!」


ミィナは賊徒の統領らしき人物が搭乗していそうな厳ついZWを発見するや、直接回線を開いて尋ねると、賊徒の統領らしき人物は狼狽して怒鳴る。


「…散り際くらい黙りなよ、数万の賊を束ねたアンタの漢が下がるよ」

「だ、黙れぇぇぇ!!!」


ミィナは凍てつくような口調で言うと、賊徒の統領らしき人物は、自身の専用ZWに搭載されている大型のプラズマ・アックスを振り回す。


「アタシは極阿軍八傑衆次席、禮静流継承者、閃光のミィナこと、ミィナ・C・禮静!」


ミィナは賊徒の統領らしき人物が搭乗するZWの攻撃を回避しながら名乗りをし終えると、すれ違いざまにヤトガタナⅢの一閃を放っており、次の瞬間には賊徒の統領らしき人物が搭乗したZWが真っ二つに両断されていた。


「アンタらの大将討ち取ったけど、まだやる気?」


「「オオオォォォォォ!!!」」


「ヒウッ」

「い、一撃…!?」


ミィナは両断した賊徒のZWの頭部を掲げた姿を広域投射しながら言うと、極阿軍の士気は更に上がり、賊徒達は更に動揺する。


「捕まったか、ざまぁねぇな、おい!退却だ!」


「ケッ、捕まるとかバカじゃねぇの?サクッと殺ってから退却すんべぇよ!」


「お、おい!ボスを見捨てるんか!?」


「あ?捕まったらボスでもなんでもねぇだろ、早くしろ」


大将を捕らえられた賊徒達は、統制を失ってそれぞれに退却したり、抵抗を続けたりしていたが、中には退却する賊徒達を追撃して同士討ちを始めたりする部隊もあり、既に極阿での戦闘は終わりを見せつつあった。


「クソ…!あいつら早速裏切りやがった…!このままじゃ狩られちまうな…」


(いれずみ)のシゲさんよぉ、俺らそろそろ足の洗い所じゃねぇか?」


「そうっすよ、ボスが捕まっちまった今、戻っても助からない可能性大っす、ここは極阿に投降しましょう」


「しょうがねぇ、極阿のダチに話通して世話んなるか、だが…その前にあの裏切りもんを潰すぞ!」


「「了解です!」」


仲間割れの中で戦意を失い、武装解除して極阿軍に降伏する賊徒約千人、うち数部隊は賊徒の意地を見せてから投降したという。



_____________________


「…帰還のついでに夜天宵(ヤテンショウ)の性能テストを…と思いましたが、流石に遅過ぎた様ですね」


後詰として極阿近海にまで迫っていた輪廻は、遠方から映された広域動画を見て、少々残念そうに呟くが、その双眸は黒い影を捉えており…


-ビシュゥゥゥン-

-バチュゥ-

-ギュゥゥゥン-


次の瞬間には夜天宵とヴィクスのイズロツがすれ違い様に射撃と斬撃を繰り出すが、双方とも回避して追撃の射撃を同時に繰り出したのを最後にそのまま過ぎ去っていく。


「クス…、ヴィクス・トワールでしたか、結構なお手前でしたね」


「…私にシールドを使わせるとは…、鳥羽輪廻…只者ではないな」


輪廻は夜天宵のヤトガタナⅣでイズロツの追撃の射撃を切り払っており、ヴィクスはイズロツの左腕部に展開したレーザー・シールドを収束させながら呟く。

_____________________



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