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超創機大戦  作者: 馗昭丹
序章
7/77

月下の出会い


「………」


-ヴゥゥゥゥゥン-


芒霊との戦闘が終わり、因果の黄昏が消滅して通常空間に戻ると…コヨミ・ユミルと鵺も何処かへと去っていた。



「………」



場に残された暦は夜空を見上げる…。



「………」



…先程までは新月だった筈が…夜空には満月が浮かんでいる…。


「………」


地上に視点を移すと…


先程の戦闘で殆ど破壊された筈の街並みが全て元通りになっている…。


芒霊を撃破した付近も全て元通りになっており、まるで最初から何も起こっていなかった様である…。



「…?」


「…!」


暦は視線に気づき、振り返るや、暦と視線が合い、スケッチブックを持った少女は少し驚く。


しかし、その驚きは恐怖や動揺よりも…妄想が現実になってしまったという様なものに近かった…。



「………」


「………」



暦とスケッチブックを持った少女は互いに見つめ合う。



「…私達を…描いていたのでしょう?」


「……うん」



暦は少女を見るや、確信めいた口調で言い、少女は少し驚きつつも頷く。



「…私は天郷暦(テンゴウ・コヨミ)、貴女は?」


「…秋葉…(アキハ・シズク)です」



暦と雫は、極めて自然な口調で自己紹介をする。



「………」


「………」



微風が吹くも…二人はお互いを見つめ合ったまま動かない。



「…雫、貴女とは初めて会うけど…、…初めて会った気がしない…」


「…私もです…、暦とは初めて会いましたけど……ずっと前から知っていた感じがする…、…ずっと、離れていた親友と再会した感じ…」



二人は互いを見ながら言う。



「………」


「………」



二人は互いを見つめ合う…。



「…いきなりだけど…、…雫のスケッチブックに描いてある絵…、見ても良い?」


「…うん、でも…」



暦は雫の持つスケッチブックを見て言い、雫はやや恥ずかしそうな口調で言う。



「…栞を挟んでいる所までは見ないことにする」


「…うん、ごめんね」



暦は雫からスケッチブックを受け取り、挟んである栞の柄を見て雫の言いたい事を察し、微笑みながら言う。


-ボォ-


「…暦、これで見える?」


「ええ、有り難う、雫…」


雫はポケットから魔道具か何かを取り出し、スケッチブックを照らす。



「………」


暦は開いていた頁を見る。


一枚目は暦と雫が見つめ合う姿が描かれており、とても下書きとは思えない程完璧に描かれていた…。



-ペラ-


二枚目は蒼月を背に羽ばたくコヨミ・ユミルと、リボン状の術式符を打ち付けられたベレー帽を被り、紅で縁取られた濃紺のローブを身に着けたが如きユミル、箒らしきものを担いだ蒼銀のユミル、薙刀らしきものを持った白と紺色のユミルが描かれていた…。



-ペラ-


三枚目は白金の鎧を纏ったユミルと漆黒の鎧を纏ったユミルが共に大空を羽ばたいてる姿が描かれており…


-ペラ-


四枚目は癖っ毛のある茶髪の美少年が、長身の銀髪にインテリ眼鏡が特徴的な知的少年に明るく話しかけている場面が描かれている。


-ペラ-


五枚目は三日月型の鍬形兜に鎧、大小二振の刀を腰に差したユミルとそのユミルにしがみついている少年、人差し指を立てて何かを言っているらしい眼鏡の少年が描かれている。


-ペラ-


六枚目は、廃墟都市を背景に、蜂型の機体と四本脚の獣の如き機体、翼を持った機体が描かれていた…。


-ペラ-


七枚目は、茶髪の少女と長身の少女、黒髪ストレートの少女が親しげに握手している場面が描かれている。


-ペラ-


八枚目は、何処かの学園を背景に若い神父が紅髪のシスターと黒銀の髪の少年と共に過ごしている場面が描かれていた。


-ペラ-


九枚目はバットで緑色の何かを打っている黒髪の少年と四人の少年がやけに熱く力強いタッチで描かれており…


-ペラ-


十枚目は白い軍服を羽織った黒髪眼鏡の女性、銀髪の少年、黒銀髪の少年、紺髪の少年、茶髪の少年、翠髪の少女、着物姿の黒髪少女、金髪の少女が描かれていた。


「…(…どれも…夢で見た事がある場面ね、…この人達とも…近い内に会える気がする…)」


暦は雫のスケッチブックに描かれている絵を見ながら…心の何処かで曖昧さが薄れていく感じがしていた。



-パタ-


「雫、見せてくれて有り難う」


暦はスケッチブックを丁寧に閉じ、微笑みながら雫にスケッチブックを返す。


「…うん、私が描いた絵を見て…何か助けになった?」


雫はスケッチブックを受け取り、微笑みながら暦に言う。


「ああ、私の中にあった曖昧なものが確かなものに変わったよ」


暦は微笑みながら雫に言う。


「…クスッ、良かった…」


雫は安堵したように言う。



「…雫も…私と同じ夢を見ているの…?」

スケッチブックを見て確信に変わった暦は雫に言う。



「…私の場合は絵を描いてる時に何かが見えてくるの、…それで…知らない間にその場面を描いてる…かな…」


雫は微笑みながらも少々恥ずかしそうに言う。



「雫の場合はそうなのか、私の場合は…夢で見えるよ」



暦は微笑みながら言う。



「………」


「………」



暦と雫は、改めて同類の匂いを感じ、時間を忘れて親しげに話し込む…。


二人は瞬く間に意気投合し、遅くまで話し込んでいたという。


___________________


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