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超創機大戦  作者: 馗昭丹
陰世界騒動
67/77

芒霊との激戦〜馬鹿乱入

暦達が休憩している頃、智達は…。


『オォォォォン』


「……」


瑠璃亜のいう手薄なところの援護に向かっていた智と勇だったが、トモ・ユミルとユウ・ユミル(トモフレーム装着)と比べて機動力や飛行能力で劣るアカネ・ユミルに合わせて速度を落としたところを木彫りの熊の様な姿をした熊芒霊と鮭芒霊、鯉芒霊達に行く手を遮られ、先行した瑠璃亜達と分断されてしまっていた。


『カァァ!』


「うわっ!?」


智はトモ・ユミルの機動性を生かして熊芒霊と鮭芒霊の目を引きながら戦い、茜と勇は智の援護をしつつ、共同して鯉芒霊を仕留めるなど、息のあった連携を見せていたが、朧げな姿をした鴉芒霊の介入を受け、やや劣勢になっていた。


『オォォォォン』


「…面影はどこだ」


智は熊芒霊の前足による連続攻撃を避け、熊芒霊の面影を探るが、熊芒霊は流れるような動きで巧みに戦い、智に面影の位置を悟らせない。

熊芒霊は空で隙を窺っている鴉芒霊と地で身を隠しながら援護してくれる鮭芒霊達と連携して弱点を補い合い、隙のない動きで智達に攻撃させない様にしている。


『オォォォォン』

『カァァ!』


「…くっ」


熊芒霊の猛攻、鮭芒霊達の遠近感を惑わせる援護射撃、姿を消している鴉芒霊の攻撃に流石の智も攻撃に移れずに翻弄される。


『オォォォォン』

「…!」


熊芒霊の右前足が大地を抉り裂いたと思えば、熊芒霊の右前足で掬いあげられていた鮭芒霊が回転しながら魔光球を連射し、その後には側面の鮭芒霊達の援護射撃と熊芒霊の攻撃が重なり、それに合わせるようにして鮭芒霊が離脱する。

側面からの鮭芒霊達の斉射がトモ・ユミルの装甲を掠め、トモ・ユミルが僅かに動きを鈍らせる。


『カァァ!』

「ち…!」


熊芒霊と鮭芒霊の攻撃でトモ・ユミルが少しでも動きを止めれば、何処からともなく鴉芒霊が迫り、鋭利な嘴と鑢状の翼でトモ・ユミルの装甲を削り裂きにくる。


「させるか!」

『カァァ!』


智は咄嗟に反応して鴉芒霊の突撃を回避し、反撃に転じようとするも、トモ・ユミルが反撃の動きを見せると同時に鴉芒霊は足で掴んでいた爆弾や貯水タンクなどをトモ・ユミルに投げ飛ばして目を眩ませ、隙を見て離脱する。

トモ・ユミルが動きを止めた一瞬を狙い、側面から熊芒霊が突撃、更に後方から鮭芒霊達が三連斉射を加えるが、間一髪でトモ・ユミルに回避される。


「このぉ!」

『カァァ』


トモ・ユミルと連動する形で、近くに潜んでいたユウ・ユミルが鴉芒霊の死角から魔導ライフルで追撃するが、鴉芒霊はシャドウ・シフトを展開して影となり、魔導ライフルの弾が鴉芒霊の形をした影をすり抜ける。


『オォォォォン』


-ズガァァァァァァン-


突撃に失敗した熊芒霊が前足で大地を抉り裂きながら反転して離脱、熊芒霊に基礎を破壊され倒れてきた高層ビル群がトモ・ユミルとユウ・ユミルに襲いかかる。


『オォォォォン』


-ボォォン-

-ズゥゥン-


更に鮭芒霊達が魔光球を交互に斉射してトモ・ユミルとアカネ・ユミルとユウ・ユミルの動きを牽制しつつ、高層ビル群の倒れる角度を微調整し、トモ・ユミルとユウ・ユミルの回避する先々に高層ビル群を倒れさせる。


「勇!」

「うん!」


しかし、トモ・ユミルとユウ・ユミルはそれを上回る速度で移動し、ぶつかり合う高層ビル群の隙間を潜り抜けて脱出に成功する。


-ズゥゥン-

-ズガァァァァァァン-


『オォォォォン』


-ドゴォォォン-


トモ・ユミルとユウ・ユミルが脱出する先を読んだ熊芒霊は、凄まじい衝撃波を大地に放って天高く跳躍し先回りするが、着地する直前にトモ・ユミルとユウ・ユミルが抜けてきた為、迎撃態勢が整っていなかった。


トモ・ユミルとユウ・ユミルは熊芒霊の放つ衝撃波をいとも容易く回避して二手にわかれ、熊芒霊と鮭芒霊達を撹乱しつつ攻撃する。


-カシャン-


『オォォォォン』

「させないっての!」


-バコォォォォッ-


『オォォォォ…ン』


-ポォォォォッ-

-チュドゴォォォォォォン-


別行動をしていた鮭芒霊達が援護射撃を加えようとしてトモ・ユミルとユウ・ユミルに砲口を向けるが、上から降下してきたアカネ・ユミルによって砲口を叩き潰され、鮭芒霊が放とうとしていた魔光球が暴発して鮭芒霊の上半身が吹き飛び、周りにいた鮭芒霊達も吹き飛ばされて横転する。


アカネ・ユミルが叩き潰した鮭芒霊の上半身から敬礼をした軍人の様な面影が現れて空中で静止し、面影の誘導を受けた鮭芒霊の下半身が尾鰭で大地を叩きながら面影の方に向かうが…


「しつこい!」


-ブン-

-バコォッ-


『ギャァァァァァァ!!!』


-バキバキバキバキ-

-ボォォォォン-


面影を見逃さなかった茜は、一気に間合いを詰めてアカネ・ユミルのステッキで鮭芒霊の面影を粉砕。面影を粉砕された鮭芒霊は形態を維持できずに崩壊する。


横転して離脱に間に合わず、倒壊した高層ビルに巻き込まれて下半身が下敷きになった鮭芒霊は、アカネ・ユミルによって頭部を粉々に破壊された後に面影を潰されて崩壊し、周囲に居た鮭芒霊達もアカネ・ユミルの追撃を受けて頭部や尾鰭などにダメージを受ける。


『オォォォォン』


-ブン-

-ガァァン-


「…っ!」


-ズゥゥン-


鮭芒霊を深追いしすぎたのか、アカネ・ユミルのすぐ近くに移動してきた熊芒霊が、左前足で家を破壊しながらアカネ・ユミルを攻撃する。咄嗟に反応した茜はアカネ・ユミルのステッキを振るって熊芒霊の左前足を上手く弾き、直撃を避けたが衝撃を相殺しきれずにアカネ・ユミルは吹っ飛んでビルに衝突する。


「くっ!うぅ…」


熊芒霊の力は芒霊の中でも馬鹿力に位置する程であり、そこに因果の黄昏による芒霊の力を増幅する作用が働き、とんでもない力と化している。ビルに衝突したアカネ・ユミルは背部を始め腕部及び肩部にダメージを受けており、すぐには動けなかった。


『オォォォォン!』


-ゴォォォォォ-


熊芒霊は衝撃で身動きの取れないアカネ・ユミルに突進してくる。


「舐めないでよね、こんな傷なんて」


茜は自身の怪我を治癒しつつ、アカネ・ユミルの腰部に突き刺さった鉄骨をステッキに引っ掛けて引き抜きながら言い、アカネ・ユミルは鉄骨を熊芒霊に向かって投げた後に跳躍する。

それに合わせるようにしてユウ・ユミルが接近し、アカネ・ユミルの腕を引いて背に乗せ、飛翔する。


-ズドゴォォォォォン-


アカネ・ユミルが跳躍した直後に物凄い勢いで突っ込んできた熊芒霊が数件のビルを粉砕、アカネ・ユミルが居ない事に気付くや否やすぐに転進して跳躍し、ユウ・ユミルとアカネ・ユミルを追尾する。


「成田さん、怪我が…」


「…こんな傷なんてなんでもないわ、こんな傷なんて…、ほら」


「…す、凄い、もう傷が塞がってる…」


心配そうに尋ねる勇には構わず、茜は治癒の終えた自身の姿と修復の終えたアカネ・ユミルの状態を確認しながら呟く。

成田茜は生まれつき高位治癒術を持つ術士であり、その治癒・再生能力は他の治癒術士をと比べて遥かに高い。成田茜を主に持つアカネ・ユミルも茜の高位治癒術の影響を受けており、その自己修復力は他のユミルを凌駕している。

ほんの僅かの時間で茜とアカネ・ユミルのダメージが回復し、それを見た勇は驚く。


「…聖光弾のチャージは上々、範囲良し、その隠れ蓑を焼く!」


熊芒霊がユウ・ユミルとアカネ・ユミルを追撃してきたのを確認し、夜影に紛れた怪しげな影が近くで一瞬だけ揺らめいたのを見た智は確信した様に言い、トモ・ユミルの両翼端から光る何かを射出した後に魔導ライフルを天に向けて放つ。


-ドゴォォォォォォン-


天に向けて放たれた魔導ライフルの弾が光る何かを貫くと、爆発音と共に眩い光が放たれる。

至近距離で眩い光を浴びた熊芒霊の体表がみるみるうちに焦げていき、熊芒霊は反射的に大地に衝撃波を放って跳躍し、遠くへ飛んでいく。


-シュゥゥゥン-


攻撃の隙を窺い、影の状態のままトモ・ユミルに近づいていた鴉芒霊は、眩い光に照らされて月影の母衣を焼かれ、シャドウシフトを強制解除される。

ほんの一瞬で聖光は収まったものの、その威力は十分すぎる程で、鴉芒霊の羽根を焼き焦がし、隠れ蓑を失った上に羽根が焦げて空間に溶け込む事が出来なくなった鴉芒霊は、慌てて障害物を回避する。その鴉芒霊の姿を捉えるや、智の口端が僅かに吊り上がる。


「近くで隙を窺っていたのが命取りだったな、いけスワロウ!奴を逃がすな!」


-シュシュン-

-ドドドドドドォォン-


『クエェェェェ…!』


姿を暴かれて回避行動に移ろうとした鴉芒霊の周囲に予め射出・展開していた六基のソードスワロウが現れ、鴉芒霊は四方八方からの集中砲火を浴びせられる。

鴉芒霊は素早い回避行動でソードスワロウの集中砲火を回避していたが、回避に専念するあまり智の誘導に容易く引っかかり、集中砲火を浴びてボロボロになっていく。


鴉芒霊の身を守る羽根は全て灰と化し、障壁を発生させる器官は聖光によって潰されており、鴉芒霊の防御力は著しく低下していたが、鴉芒霊は回避とダメージコントロールに専念してしぶとく粘る。


『クエェェェェ…!』


-バサァ-

-ドォォォン-


「勇、其方に行くぞ」


「ええい!」


-ヴゥゥン-

-バシュゥゥ-

-ザシュゥゥゥッ-


ソードスワロウの構築する弾幕の比較的薄い方向を強行突破した鴉芒霊にアカネ・ユミルと分離したユウ・ユミルが迫り、羽根状の剣・フェザー・セイバーを振り下げて鴉芒霊の頭部を両断。更にユウ・ユミルのホークカリバーが鴉芒霊の右翼を焼き貫き、頭部と右翼を失った鴉芒霊は錐揉み旋回をしながら墜落する。


「成田、トドメだ!」


「いい加減にやられなさい!」


ユウ・ユミルから離れて降下し、鴉芒霊が墜落する先を計算して先回りしたアカネ・ユミルがステッキを構え、墜落してくる鴉芒霊の胴体にめがけてステッキを打ち込む。


-バコォォッ-


『クェェェェェェ!!!!』


全力で打ち込まれたステッキが鴉芒霊の胴体ごと面影を粉砕し、鴉芒霊は断末魔をあげて崩壊する。


『オォォォォン』


-ガシッ-

-ビキィィィン-


『オォォォォン!!!』


-バキバキバキバキ-


「が、合体した…!?」


光に焼かれて焦げた体表を捨てて脱皮し、損傷の激しい鮭芒霊を喰って自己修復していた熊芒霊は、更に援護に駆けつけた鮭芒霊達に近づき、両前足で二体の鮭芒霊の尾を掴んで振り上げ、熊芒霊に尾を掴まれた鮭芒霊達は目を光らせてシールドと斧型ライフル、鎧に変形・合体し、熊芒霊がパワーアップする。


『オォォォォン!』


-ズゥゥン-

-ドドドドドドドドドドドドォォン-


もう一体の鮭芒霊は熊芒霊の後ろ足で胴体を踏みつけられ、下半身から卵の様な弾丸を数多噴射して射線上の建造物を物凄い勢いで粉砕していく。

卵の様な弾丸は、鮭芒霊から放たれて少し経つと破裂し、卵の中に詰まっていた液体が周囲に飛散して建造物に付着すると、潮の香りに似た腐敗臭を出しながら建造物を溶かしていく。


熊芒霊はもう一度鮭芒霊の胴体を踏み付けるが、既に卵を出し切って虚脱状態になっていた鮭芒霊は、卵の代わりに口から面影と涎に似た泥を吐き出してぐったりと横たわる。


卵を出さない事に腹を立てたのか、熊芒霊は狂った様に鮭芒霊を踏みつけるが、面影を吐き出してぐったりとしている鮭芒霊はされるがままで微動だにせず、やがて熊芒霊の馬鹿力に耐えきれずに胴体が踏み潰される。


熊芒霊は近くにいた鮭芒霊を強引に足下に引き寄せて胴体を踏み付けるが、今度は雄型の鮭芒霊だった様で、胴体を踏みつけられた鮭芒霊は白い強酸を噴射し尽くした後に面影を吐き出してぐったりとする。


鮭芒霊から噴射された白い強酸は、やはり潮の香りに似た腐敗臭を出しながらあらゆるものを溶解し、匂いだけで付近に存在する金属や木材をボロボロに腐食してしまう。


熊芒霊は鮭芒霊を何度も踏みつけて連射を試みるが、一度噴射した鮭芒霊は面影を吐き出して力尽きてしまうので、連射はできなかった。


更に踏みつけた鮭芒霊の悉くが雄型だったので、噴射した方角にある悉くの物体が溶けており、匂いによる腐食や溶解が続いている。

足場のアスファルトや土も溶けて沼の様になっており、熊芒霊は足を取られて極度に動きが鈍るが、鮭芒霊は水場を得て動きが俊敏になっていた。


_______________________


熊芒霊が鮭芒霊にストンピング攻撃を加えている頃、少し離れた場所では魔戦殻同士が戦っていた。


-ガキィィィン-

-ヴゥゥン-


「くそっ!ゾディアギーニは正式な魔戦殻なんだぞ、武器もスペックも圧倒している筈なのに…!」


-ドゴォォォン-


「ぐっ!」


「素人が!間合いがなっちゃいねぇんだよ!」


大型のバヨネットライフルと身体中に搭載されている様々な火器を使いこなしながら戦う、白黒の迷彩色が特徴的な魔戦殻・アーミーアルオンは、大型盾と光の槍を武器に戦う青い魔戦殻・ゾディアギーニを高い技量で圧倒しており、ゾディアギーニの反撃を全て回避して的確な攻撃を与え続けている。


ゾディアギーニの装甲には攻撃を受け続けたであろう小さな切り傷や銃弾の跡が数多あり、対するアーミーアルオンの装甲には傷一つ無い。

その代わりに残弾がなくなって使い捨てられたであろう火器や排出された薬莢らしきものが辺りに散らばっていた。


「舐めるな!」

「甘ぇよ」


-ヴゥゥン-

-ドドドドドドドゴォォォン-


「ぐあっ!?」


ゾディアギーニの操主は隙を見て光の槍を繰り出すが、アーミーアルオンは容易く回避してゾディアギーニの懐に入り、接射に等しい距離でアルオン・ライフルを連射してゾディアギーニをたじろがせる。


「オラァァッ!!」


-ガァァン-


「ウオラァァァ!!!」


-ズドゴォォォォォン-


「がっ!?」


シールドを構えようとしたゾディアギーニに対し、アーミーアルオンは背部のアルオン・アックスを投げてわざと防御させて視界を防ぎ、その隙に背後に回り込んだアーミーアルオンがゾディアギーニに強烈なタックルを見舞ってゾディアギーニを横転させる。


-ドゴォォォン-


-ジュゥゥ-

-チリチリチリチリ-


アーミーアルオンの着地した近くで陽炎の様な揺らめきが立ち登り、それが近くで戦っているユミルや芒霊達の戦闘で生じた風に乗ってアーミーアルオンを吹き抜ける。


-ズゥン-


「こいつで終わりにしてやる、逝け!」


「ぐっ…」


-バキィィン-


「何っ…!?」

「!?」


アーミーアルオンが横転したゾディアギーニの胴体に乗りかかり、コクピットがある胸部にアルオン・アックスを振り下ろすが、ゾディアギーニの装甲に当たった瞬間、ボロボロに錆びていたアルオン・アックスが粉々に砕け散る。


-バキィ-


「銃もいかれてやがるだと!?ちぃぃ!」


アーミーアルオンはアルオン・アックスが砕けた直後にアルオン・ライフルを放とうとするが、腐食したアルオン・ライフルも砕けてしまい、更にアーミーアルオンのマニピュレーターも砕けて武器が取り出せなくなり、慌てて逃げようとする。


「くそっ、なんだこりゃあ!?」


しかし、アーミーアルオンがゾディアギーニから離れて着地した瞬間、微妙に溶けた大地に脚を取られ、アーミーアルオンの脚部が凄い勢いで腐食・溶解していく。

アーミーアルオンは脚部をパージしてウイングを展開し、翅状光を発して飛翔するが、既に機を逸していた。


「…ゾディアギーニを傷つけた者は滅ぶ…」


ゾディアギーニはアーミーアルオンが離れた後に立ち上がり、変な動きをしているアーミーアルオンの隙を見逃さず、右手に持つ光の槍に凄まじい魔力を集中させる。


-コォォン-


「必滅の槍…展開完了、必滅対象…前方魔戦殻に確定、貫けぇぇぇっ!」


-ズゥゥン-

-ゴォォォォォ-


禍々しく輝く光の槍を展開し終えたゾディアギーニが投擲の構えを取り、渾身の力で大地を踏みしめて豪快に槍を投げる。


「ひっ!?必滅の槍!?うあぁっ!?」


ゾディアギーニが投げた禍々しく輝く槍を見た瞬間、アーミーアルオンの操主は恐怖のあまり錯乱する。


-バシュゥゥ-


「うぎゃぁぁぁ…っ!!」


-ヴゥゥン-


直後に光の槍がアーミーアルオンのコクピット部分を貫き、アーミーアルオンが光の輪の中に囚われる。

同時にゾディアギーニの操主の掌に光の輪に囚われた小さいアーミーアルオンの虚像が浮かび、掌の中央に収まるサイズになっていく。


「…滅せ」


ゾディアギーニの操主は、魔力を込めて掌の上に浮かんだアーミーアルオンの虚像を握り潰すと、ゾディアギーニの操主の掌から虚像が消滅し…。


-シュゥゥゥゥン-


禍々しい光に包まれたアーミーアルオンが瞬時に圧壊する。


『…ザマァ…ネェ…ぜ…』


肉体を失ったアーミーアルオンの操主が最期の思念波を拡散し終えると…


-チュドゴォォォォォォン-

-シュゥゥゥゥン-


圧壊したアーミーアルオンが爆砕し、開いた空間の穴に飲み込まれて消滅する。


「…くっ…やはり素人が使うものではない……消耗が…激しすぎる…」


-ズゥゥン-


必滅の槍の使用で操主が消耗し、魔力に乱れが生じたゾディアギーニが膝をつく。


『……』


-ズゥゥン-


「…狼型の妖械(ようかい)…!」


魔戦殻同士の戦いで弱った獲物を狙っていたかのように、近くに潜んでいた5m前後の狼型妖械が群れをなして現れ、陣形を整えながらゾディアギーニに迫る。


しかし…


-ズゥゥン-


「!?」


突然、ゾディアギーニと狼型妖械達の間に巨大な壁が突き刺さり、ゾディアギーニの操主は驚く。


-ゴォォォォォォォ-


「CHESTOOOOOO!!!!!」


狼型妖械達の直上から、束ねられた7本の長い後ろ髪と六基の鋼翼を持ち、二本角を生やした頭部が特徴的な機体が急降下し、手に持った巨大な棒状の鞭が振り下ろされる。


-ズガァァァァァァン-

-チュドドドドドドドゴォォォォン-


巨大な棒状の鞭は狼型妖械の群れを叩き潰し、その衝撃は大地を陥没させ、それによって生じた爆発が周囲にいた狼型妖械達を纏めて吹き飛ばす。


「な…なんだ…?援軍?」


壁の内側にいたゾディアギーニの操主は、飛散する狼型妖械達の残骸を見ながら呟く。


-ヴゥゥン-

-バシュゥゥ-


「なんだアレは…!」


一撃で狼型妖械達と一部の芒霊を吹き飛ばした機体を見て、智は飛んできた狼型妖械を斬り捨てながら言う。


「HAAAAAA!!!!!」


-ゴォォォォォォォ-


「「!?」」


六基の綱翼を持った機体は天に向かって咆哮しながら全身から凄まじい熱風を放出し、追ってきた一つ目の人型妖械達を熱風で溶かしながら吹き飛ばす。

トモ・ユミルとユウ・ユミル、アカネ・ユミルが魔導フィールドを展開しながら後退し、ゾディアギーニは冷却装水を展開して熱風を防御する。


『オォォォォン』


トモ・ユミルが新手に意識を向けた隙を見て、熊芒霊が猛攻を仕掛けてくるが…


「…残念、新手はこっちだったりする」


瑠璃亜は紅乙女の光の矢を構えながら呟き、熊芒霊に向けて光の矢を放つ。


『オォォォォン』


-ズゥゥン-


しかし、熊芒霊は迫ってきた光の矢を鮭芒霊が変形したシールドで防ぎきり、光の矢を防ぎきったシールドがライフルに変形して魔光球を放ち、泥沼の中に潜んでいる鮭芒霊達もスイスイと泳ぎながら顔を出して一斉に魔光球を放つ。


「はっ!?」

「勇!」


先程の爆発で気を取られていた勇は、熊芒霊から放たれた魔光球に対する反応が遅れ、勇が気づいた時には近くに魔光球が迫っていた。

智は急いでユウ・ユミルに向かっていくが…。


「期待のバッタァァァ栗坂!飛び入りの神主打法!!!」


「へ…?」

「何…!」


魔光球を回避する事に集中しようとしていた勇の眼前に、いきなり何者かが喧しく叫びながら割り込み、勇と智は驚く。


-カッキィィィィィン-

-バキィィィィィン-

-ズゴォォォォォォン-


「打ったぁぁぁぁ!!!大きい!大きい!ホォォォォォムラァァァォン!!!!!」


『ギャァァァァ!!!!!』

『グオオォォォォン』


-バキバキバキバキィ-

-ボォォォォォン-

-ズゥゥン-


何者かによって数多の魔光球が打ち返され、その打ち返された魔光球は炎の球に変化して一瞬で鮭芒霊の口から尾までを貫き、鮭芒霊の尾を握っていた熊芒霊の右前足から右肩部をも貫通して空へと消えていく。

面影を失った鮭芒霊は断末魔をあげて崩壊し、右足前を貫かれた熊芒霊は転倒する。

更に泥沼を泳ぎながら顔を出していた鮭芒霊達にも打ち返された火の玉が激突し、その衝撃で面影が揺れてなんらかの障害が起きたのか、鮭芒霊達が泥沼の表面にプカプカと浮かぶ。


増援に駆けつけた瑠璃亜達がそれを見逃さず、無抵抗に浮かぶだけになった鮭芒霊達を次々と仕留めていく。


「えと…ありがとうございます」


「おう、俺様は勢いと気合の大馬鹿野郎!栗坂勢気ってんだ!!夜露死苦ぅ!!!」


勇は割り込んできた勢気の暑苦しさに少々引きながら礼を言い、勢気は無駄に暑苦しく自己紹介をする。


「邪魔だ」


-ガシィッ-

-ブゥゥン-


「おおぉぉ!?」


勢気の暑苦しさと勇の困惑する姿を見かねたのか、智はトモ・ユミルで勢気の陽炎零式の肩部を掴み、怒り狂った様に暴れる熊芒霊に向かって投げ飛ばす。


『オォォォォン!!!』


-ブゥゥン-

-ガッキョォォォォン-


「痛ぇ!?」


-ズゴォォォォォォン-


「ぐほぉあ!!?」


トモ・ユミルに投げ飛ばされた勢気は、熊芒霊の左前足による渾身の一撃を食らって真横に吹っ飛び、高層ビル群の瓦礫に激突する。


「ま、まともに食らっちゃったけど…大丈夫かな?」


「勇、あれには構わず戦闘に集中しろ」


「う、うん(…大丈夫かな…?)」


熊芒霊によって叩き飛ばされた勢気と右前足を再生中の熊芒霊を見て勇は言い、智は吹っ飛ばされた勢気など気にも留めない様子で勇に言う。

智の言に勇は若干心配そうに首を傾げるが、鮭芒霊の放った魔光球を見て気を引き締め、芒霊との戦闘に集中する。



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