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超創機大戦  作者: 馗昭丹
陰世界騒動
65/77

惇と冴琉〜魅鳥、芒霊を倒す

陰日本創世連合新潟支部にある医務室にて…


「…う…」


医務室のベッドの上で眠っていた惇は、目に突き刺さる様な眩い光と周囲の雑音に気がつき、顔を逸らしながら目を覚ます。


「…ん?…身体が動かない?」


惇は身体を動かそうとするが、両手足が全く動かない事に気づく。


「さて、これから君を強化してやるネ!」


白いパワードスーツらしきものを装着した者が両手をわきわきしながら言う。


「わあ!?アンタ誰!?ここどこの悪のアジト!?」


白いパワードスーツを装着した者を見た惇は、ベッドから飛び上がりそうになりながら驚く。


「イー!」

「ギー!」


「戦闘員まで居るぅ!?」


白いパワードスーツを装着した者の両脇に黒い全身タイツを装着した者が現れ、惇は素っ頓狂な声で叫ぶ。


「ひひ、この者の口を開けるネ!」


白いパワードスーツを装着した者は、瓶詰めされた赤い球体を一粒摘みながら言い、戦闘員達が惇の口を強引に開けさせる。


「これを食べれば君も超人ダヨ、クヒヒ」


「あんおほひふふ!(断固拒否する!)」


白いパワードスーツを装着した者は、摘んだ赤い球体を惇の口の間近に近づけながら言い、惇は拒否の言を発した後に顔を逸らそうとしたり、口を閉じようとしたりして抵抗するが、やがて戦闘員らしき者達によって頭を固定され、口をこじ開けられる。


「….ぉぐ!?酸っぱ…!って梅干し食べてスッパマンネタかい!?」


「あう!…痛たた…」


赤い球体を食べ、その味と食感に覚えのあった惇は、緩くなっていた足の拘束を解いて白いパワードスーツを着た者を蹴る。

惇に蹴られた白いパワードスーツ(?)を着た者はよろめきながら言い、戦闘員らしき者達は白いパワードスーツを着た者を支える。


「目覚めた様だな、元気でよろしい」


惇の声に反応するかの様にしてカーテンが開かれ、金髪の女医らしき人物が現れる。


「….どうも、エリヴォンさん」

「ちす」

「うす」


エリヴォンが現れるや否や、白いパワードスーツを装着していた人物と戦闘員らしき人物達は、腕時計みたいな端末にあるボタンを押して瞬時に更衣を済ませ、制服姿になっていた。


白いパワードスーツを装着していた人物はウェーブのかかった前髪と眼鏡、サイドテールが特徴的な少女で、戦闘員らしき人物は爽やかそうな双子の少年だった。


「…お前の趣味をどうこう言うつもりはないが、お遊びも程々にな」


エリヴォンは少女に言う。


「むむむ…」


「「なにがむむむだ」」


少女は真剣に悩んだ様に呟き、双子の少年はステレオで少女に言う。


「あの…俺様はなんで此処に?」


先ほどのやり取りで頭の整理が追いつかない惇は、四人に恐る恐る尋ねる。


「君は栗坂勢気、敷島芙蓉、小林史彦、澤口高志らと共にゴーレムの迎撃に出たが、ゴーレムに叩きのめされ、ここまで吹っ飛んできた」


エリヴォンは簡潔に述べる。


「あっ!そうだった、…んで勢気と敷島さんは無事ですかね?俺様が抜けて苦戦…とかありませんでしたか?澤口の野郎が喧嘩ふっかけてきたとか…」


その後が心配だったのか、惇は勢気と芙蓉の身を案じて尋ねる。史彦の名が上がらなかったのは単に彼の印象が規定値を超えていなかっただけである。


「ああ、無事に戻ってきたよ、澤口も共闘したらしい、小林が目を回してこちらに来たが、すぐに回復して帰って行ったよ」


「ふう…そうでしたか、良かった良かった…」


エリヴォンは微笑んで言い、惇はエリヴォンの言に安堵しながら言う。


「…ところで俺様はどの辺りに落ちたんです?なーんか身体が……変…?」


惇は身体の違和感に気付いてエリヴォン達に尋ねる。


「それについては私が教えてあげよう、医務室の窓から見えるあの木の辺りで…、君は天から落ちてきたのだよ、布切れ一つ身にまとわぬ生まれたままの姿でね」


「ええっ!?」


少女は惇が落ちてきた地点を指しながら言い、惇は慌てて自分の姿を確認する。

鏡に映った惇の姿は、上がカッターシャツで下がジャージであり、少々違和感があった。


「…それと…運ぶまでに時間があったからさ、君の事を色々と調べさせてもらったよ」


「ふぁっ!?」


少女は邪な笑みを浮かべながら言い、惇は背筋にゾワッとしたものを感じてベッドの上で丸くなる。


「まっ、まさか!俺様のアレを見たの!?見たのね!?」


惇はハッとなって少女に尋ねる。


「アレ…?ああ、身体の落書きの事?右手に敷島さん、お尻に敷島さん専用蹴り場所だっけ、それと股間には防塵シートで包まれた控えめの小口径単装ほ…」


「キャァァァァァ!!!!」


少女の言に惇は全身を赤くしながら叫び、床に転がって悶え苦しむ。


「色々と出た調査結果だけど、合ってるか確認して欲しいな。…大橋惇、年齢は17、極太眉毛から海苔眉の惇、過剰反応に加えて無駄に熱く、見せつける様に謎の踊りをする為、ウザ惇のアダ名あり、女装少年との交際経験有り、告白直前に事実を知り愕然、WRF適性検査前に誰かの飲み物と間違えて利尿剤入りのお茶を飲み干し、検査中にお漏らし、以後お漏らし癖がつく、斑鳩先生に出会った時の衝撃のままに抱きつこうとしたらスリッパでどつかれ、以後は同志に勧誘されてシングルナンバーズになる、そして…」


「やめれぇぇ!!つかなんでそんなことまで知ってんの!?恥ずかし!!!死のう!!」


あまりの恥ずかしさに惇は全身を真っ赤にしながら目を隠し、窓にダッシュするが、双子の少年に取り押さえられる。


「…やれやれ、私が来るまでにそんな事を調べていたのか、プライバシーの侵害だぞ真島冴琉(マジマ・サエル)


-ペシッ-


「…スンマセン、惇君やり過ぎました」


エリヴォンは呆れながら呟き、冴琉は我に返って謝る。


「………」


しかし、惇には聞こえておらず、惇は無言で泣きながら窓に行こうとするが双子に取り押さえられたまま動かないでいた。


「…惇君、この調査結果は私のプライバシーポリシーに誓って誰にも言うつもりはないから安心しなよ」


惇の様子を見て少し罪悪感に駆られた冴琉は、惇の前に立って自信ありげに言い、双子は惇をベッドに座らせる。


「ふーんだ、俺様…もう…嫁に行けない…」


双子によってベッドに座らされた惇は、布団に包まって拗ねる。


「あら…、拗ねちゃったよ、ところで調査結果に間違いは無かったかい?」


「「お前は少し黙ろうか」」


冴琉は拗ね出した惇を見て言い、冴琉の言動を見かねた双子はステレオで冴琉に言う。


「ふう…若いな…」


エリヴォンは惇と冴琉のやり取りを見て遠い目をしながら呟く。


…冴琉によって精神的打撃を受けた惇が立ち直るのは夕刻になってからである。


_______________________


夕刻…


聖マルグリット学院の敷地内…


「………」


生徒達が各々帰宅していく中、暦は中庭付近で立ち止まり、周囲を見回していた。


「…(木、雲、噴水…夢で見た風景はここに違いない、ここに誰かが来るはず)」


暦は周囲を確認しつつ、自分に接触しそうな気配を探っていく。


「………」


待つこと数刻…。

日が沈み、月が昇り始める。


「…朧月…」


薄雲に覆われた月を見て、暦はふと呟き、迫ってきた気配に気づいて振り向く。


「…因果の黄昏が開く…、兵達(つわものたち)の怨嗟…、誘いの歌…」


「………」


暦は気配のする方向を見るが、そこに姿はなく…何者かの言葉だけが暦の耳に入る…。

薄っすらと地面に映る影が徐々に暦の影に近付き…。


そして…


-カァァン-

-ズシャァァッ-


暦の影に近づく影が死神の様な形になり、大鎌を振り下げるが、暦の影がそれをトンファーで受け止める。

近くに控えていた苅藻、命の影が死神の様な影を斬り裂き、死神の様な影が消滅する。


「…来るぞ苅藻、命」

「…準備はできています」

「「いつでも戦えますよ」」


暦は光るお守りを握りながら言い、HU-Xに搭乗した苅藻と命が答える。

その直後に日の沈んだ先から血に塗れた様な月が昇り、そこから因果の黄昏が開かれ、暦達を呑み込んでいく。


「ユミル!」


因果の黄昏に呑み込まれた暦は、胸に手を当ててコヨミ・ユミルを召喚。

展開した魔法陣の中心からコヨミ・ユミルが現れ、コヨミ・ユミルの胸部が暦の心臓部

と重なった途端、暦はコヨミ・ユミルの胎内に瞬間移動する。


-バサァッ-


暦を迎え入れたコヨミ・ユミルは、翼状光と翅状光を展開して飛翔する。


『シギャァァァッ!!』


「隼芒霊…!」


コヨミ・ユミルを発見した隼芒霊が凄まじい速度で突進してくるが、コヨミ・ユミルに容易く回避される。


-ズガァァァン-

-バキィィィン-

-ボゴォォッ-


「クエェェッ!」


地表からの魔導ライフルの斉射が隼芒霊の嘴と左翼先端部に命中し、隼芒霊がバランスを崩す。


「墜ちろ!」


-ズドドォォン-

-ヒュン-

-バキィィィン-

-ボゴォォッ-


「クエェェッ!」


-ドゴォォォォン-

-ズゥゥゥゥン-


暦は二丁のコンデム・リヴォルヴァーを連射して追い打ちをかけ、もう片方の翼の根元を撃ち貫かれた隼芒霊はそのまま地面に墜落していき、ビルに激突する。


「………」


激突の衝撃で隼芒霊の面影が露出したのを見逃さなかった苅藻は、静かに狙いを定める。


「…そこです」


-ズガァァン-

-バキィィン-


『クエェェッ…!』


-バキバキバキィ-

-ボォォォォン-


苅藻の放った一撃が隼芒霊の面影を貫き、面影を粉砕。

面影を失った隼芒霊は炸爆泥の誘爆に耐えきれずに崩壊・爆発し、大量の泥水を飛散させる。

飛散した泥水が周囲に付着し、瞬時に乾燥して誘爆する。

コヨミ・ユミルとHU-Xは魔導フィールドを展開して距離を取っており、隼芒霊の炸爆泥を回避していた。


「…!」


-ズゥゥゥゥン-


次元の裂け目から巨大な手が現れ、コヨミ・ユミルを掴もうとするが、事前に察知した暦は回避しつつコンデム・リヴォルヴァーで反撃を加える。


-ズドドォォン-

-ヴゥゥゥン-


「…対芒霊弾が曲がる…?」


コンデム・リヴォルヴァーの弾が大幅に逸れ、暦は少し驚く。

暦が驚いた僅かな隙を逃さず、手は拳となり、コヨミ・ユミルに向かって突進する。



-ドゴォォォォン-


「…ぐっ!?」


拳はゲートらしきものを潜って一瞬でコヨミ・ユミルに迫り、コヨミ・ユミルに激突する。

しかし、コヨミ・ユミルは激突直前に円状盾を構えつつ強固な魔導フィールドで防御しており、すぐに態勢を整える。


-ゴォォォォォ-


態勢を整えたコヨミ・ユミルに光球を放ちつつ、再び拳が迫る。


「…舐めるな!」


激突のダメージで闘争心に火がついた暦に反応し、コヨミ・ユミルの姿が攻撃的なフォルムに変化し、コンデム・リヴォルヴァーが一回り大きくなる。

迫り来る光球を回避・迎撃しつつ、ゲートを潜ってすぐ近くまで迫ってきた拳を瞬時に捉えた暦は、拳の側面に回り込み、大型化した二丁のコンデム・リヴォルヴァーを撃ち込む。


-ズドドォォン-

-ヴゥゥゥゥゥゥゥゥン-

-チュゥゥゥゥゥン-


暦の闘争心に火がついた事でコンデム・リヴォルヴァーの弾が大型化し、ドリルの様に回転しながらフィールドを削り裂いていく…。


-バキィィィン-

-チュゥゥゥゥゥン-


コンデム・リヴォルヴァーの弾が拳のフィールドを貫通し、着弾と同時に拳の装甲を穿ち抜ける。


-ズゴゴォォォォン-


コンデム・リヴォルヴァーの弾が拳の装甲を貫き、大穴を開けられた拳が失速する。


「…援護します」

「いい加減に墜ちろ!」


-ズガガァァン-

-ドドドドドド-

-チュンチュンチュン-


苅藻と黒田兄妹のHU-Xが魔導ライフルと専用アサルトライフルを放って拳に集中砲火を浴びせる。先程のダメージでフィールドが張れなくなったのか、HU-Xの攻撃が拳に通っている。

しかし、拳の装甲は非常に頑丈に出来ており、集中砲火を浴びてもビクともしなかった。


「…墜ちろ!」


-ズドォォン-


暦は術式に集中しつつ、月光炉による治癒活性化でコヨミ・ユミルのダメージを徐々に回復。動きを鈍らせた拳に向けてコンデム・リヴォルヴァーを放つ。


-バキィィィン-

-チュゥゥゥゥゥン-


-ズゴォォォォン-


コンデム・リヴォルヴァーの弾が拳の中心を貫き、その衝撃でできた亀裂が先程の二発の穴へとつながり、拳が崩壊する。


「…苅藻、命、まだだ、指が来るぞ」

「…了解しました」

「うわ…」

「指も独立してるのかよ…!」


暦の言の通り、崩壊した拳から二本の指がパージされ、高速でコヨミ・ユミルやHU-Xに突進してくる。


親指らしきものは反転して光球を放ち、小指らしきものは爪を鋭い刃の様に形成しながら突進する。

親指らしきものが連射する光球を回避するコヨミ・ユミルを目掛けて刃の様になった小指らしきものが何度も突進を繰り返す。


-シャァン-


「…これ以上、お嬢の手を煩わせる訳にはいきません」


-パシィィィィッ-

-ズゥゥゥゥン-


「「くらえ!」」


-バシシュゥゥ-


コヨミ・ユミルの胸部を貫こうとしていた小指らしきものは、寸前で苅藻のHU-Xの十手引き落としを受けて動きを鈍らせ、動きを鈍らせたところを黒田兄妹のHU-Xのバリアブル・セイバーで両断され、消滅する。


「…砕けろ!」


-ズドドォォン-

-チュン-

-バキィィィン-


-ゴォォォォォ-


「…ふん!」


-バシュゥゥ-


しつこく光球を連射する親指の方は、コヨミ・ユミルのコンデム・リヴォルヴァーの直撃を受けてバランスを崩した後、間合いを詰めていたコヨミ・ユミルのミスリル・ブレードで一刀両断にされる。

一刀両断にされた親指らしきものは消滅し、暦達は次の敵に備えて陣形を整える。


『オォォォォォン!』


-シュシュン-


暦達が陣形を整えた直後に魔光球が迫るが、暦達は最低限の動きで回避する。


『オォォォ……ヴェェッ』


-ボロン-


「…面影を確認、排除します」


鮭芒霊は魔光球を放つ為に口の中にある砲口を伸ばそうと口を大きく開いて展開しようとするが、口を大きく開けすぎたのか、展開した砲口の先端部にボディビルダーの様な外観をした面影が引っかかっており、それを見た苅藻はHU-Xの魔導ライフルの引き金を引く。


-ドドドドドド-

-チュンチュンチュン-

-ビシッ-


『ギャァァァァァァ!!』


-バキバキバキキ-

-ボォォォォン-


苅藻と命の斉射が鮭芒霊の面影を粉砕し、面影を失った鮭芒霊は崩壊・破裂し、鮭芒霊を形成していた大量の泥水が飛散する。


「新たな反応…!」


鮭芒霊を撃破した後、命は新しい反応を捉えてHU-Xのライフルを構える。


「………、魅鳥!」


暦は回復に集中しつつ、魔導レーダーと視覚をリンクさせて遠隔索敵範囲を広げていき、その途中に朋鳴邸の近くで鯉芒霊から逃れる朋鳴魅鳥の姿を捉える。

鯉芒霊は魅鳥を執拗に追い回しており、障害物など御構い無しに突っ込み、破壊しながら魅鳥を狙っている。


「…お嬢、何処へ?」

「魅鳥が危ない、朋鳴邸へむかう」

「…了解」


暦は魅鳥の危機に気付くや否や、苅藻達に言いつつ、コヨミ・ユミルを飛翔させ、魅鳥の元へとむかう。

苅藻達もHU-Xを加速させ、コヨミ・ユミルに遅れない様に追従するが、コヨミ・ユミルとHU-Xでは機動力が違い過ぎており、忽ちの内においていかれてしまう。


『ウオォォォォォォン!』

「…っ!?」


数件の建造物を纏めて貫き、塀を吹き飛ばして先回りした鯉芒霊は、目の前に現れた魅鳥にセイズ呪歌を浴びせ、セイズ呪歌を浴びせられた魅鳥はその場で動きを鈍らせる。

…魅鳥も成長しており、近頃では芒霊のセイズ呪歌をまともに浴びても恐怖に呑まれなくなっている。魅鳥の目も芒霊に立ち向かう意思を持っている感じで、目の前の鯉芒霊に対しても怯んでいない。


『オォォォォォン』


動きを鈍らせた魅鳥を喰らうべく、鯉芒霊が尾びれを天高く持ち上げて地面に叩き込み、

左右の鰭で向きを調整しながら突っ込む。

しかし、魅鳥の方が一瞬早く、回避行動をとって鯉芒霊の捕食を避ける。


「…っ!」


鯉芒霊の鰭と鱗が間近を過ぎり、魅鳥は制服を裂かれて傷を負い、背中から僅かに血が流れる。


魅鳥の白い背中に彫られた薄く小さい羽根の様な刺青が血に染まっていく…。


魅鳥は怪我に怯むことなく、必死に鯉芒霊から逃れようと走るが、鯉芒霊は建物を薙ぎ倒しながら方向転換して魅鳥を捉え、再度突撃の為に尾びれを持ち上げて地面に叩き込み、突撃する。


そこへ…


「退けぇぇぇ!!」


鯉芒霊の真横からコヨミ・ユミルが凄まじい勢いで突っ込み、鯉芒霊を吹き飛ばす。

コヨミ・ユミルに吹き飛ばされた鯉芒霊は、建物を薙ぎ倒しながら転倒し、ピチピチと飛び跳ねながら方向転換するが、今度はHU-Xのライフルが火を吹き、鯉芒霊の頭部が蜂の巣にされる。


『オォォォン…』


しかし、下顎にある面影は無傷で、鯉芒霊は蜂の巣にされた頭部を自己修復していく。

自己修復中の鯉芒霊は、魅鳥の事を諦めた様子であり、コヨミ・ユミルとHU-Xに意識を向けている。


しかし…


「…魅鳥!」

「はあ…はあ…ええい!」


-ビシュッ-

-ザクッ-


『ギャァァァァァァ!!!!!』


弱った鯉芒霊のすぐ側まで迫っていた魅鳥が父親から貰ったドス…小雨丸を抜き、鯉芒霊の下顎にある面影を斬りつけて本体から切り離した後に、面影の背中にあたる部分を突き刺して面影を破壊する。


面影を破壊された鯉芒霊は、形態を維持出来ずに崩壊・爆発し、大量の泥水が飛散する。

魅鳥は半壊した建物の影に隠れて鯉芒霊の爆発に備えていたが、爆発する寸前に迫ってきたコヨミ・ユミルの魔導フィールドが魅鳥を覆い、鯉芒霊の爆発で飛散した泥水を防ぐ。


「魅鳥、無茶をする…!」

「…暦さん、援護…ありがとう御座います」


暦はユミルの掌に魅鳥を乗せながら言い、鯉芒霊を倒した事で全身に入っていた力が抜けた魅鳥は、コヨミ・ユミルの掌に上でへたり込みながら礼を言う。


「HU-X、医療キット展開、魅鳥様に応急処置を施します」


魅鳥の背中の傷を見て応急処置の必要ありと感じた苅藻は、HU-Xの医療キットを展開して魅鳥の背中に応急処置を施していく。

芒霊が歌うセイズ呪歌により、傷が悪化した魅鳥だが、苅藻の応急処置とコヨミ・ユミルの歌うガルドル呪歌と暦が持つ治癒の術により、背中の傷の治癒に成功。

傷が癒えた魅鳥は苅藻と暦に謝り、丁寧に礼を言ってコヨミ・ユミルの掌の上で大人しくしようとするが…。


「…?」


魅鳥の持つ小雨丸が光を帯び、それが魅鳥の背中に彫られた薄い翼の様な刺青と共鳴しだし、魅鳥は少々困惑する。


「…(…魅鳥の目覚めが近い…、その前に…)」


そんな魅鳥の様子を見ていた暦は、コヨミ・ユミルの掌に術力を集中させ、魅鳥を聖域内に保護する。


「…(………、治った…?)」


コヨミ・ユミルの聖域内に保護され、小雨丸と魅鳥の共鳴が収まっていく。


「…(…これで魅鳥は戦わずに済む、…雫の見様見真似で方陣術を使ってみたが、なかなか面白いものだな、…雫の位置はこの先か)」


暦は遠くの数か所の戦闘を順に見ながら思案し、自らが描いた方陣を見て少し感心する。


「…(初めての方陣でハムスターを描かれるとは…、お嬢もなかなか見所がありますね)」


暦の描いた方陣を見て、苅藻は微笑みを浮かべながらHU-Xを操縦する。


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